水風船じゃありません。水風「戦」。2チームに分かれてコートの中を走り回って相手に水風船をぶつけあう。残った人数が多い方が勝ち。もちろん相手を全員アウトにしたら大勝利。ゴールに置いたシャチの浮き輪をゲットしても勝ち!
コートはわーわーキャーキャー歓声がうず巻き、参加者はみんな水浸し。応援している方にもじゃんじゃん水が飛んできて、いやあもう楽しいったらないのです!
震災後にボランティアが子供たちと始めたのがきっかけになって、いまやいわき市は、水風戦のメッカ。高校野球の甲子園、ラグビーの花園みたいな聖地なのです。
7月19日土曜日、そんな水風戦がいわき市久之浜で開催されました。会場は「きらきら広場 あそぼう会」。水鉄砲や焚き火など多彩なワークショップが行われるテントのそばに特設コートが作られました。
ほらね、すでに地面は水浸し。
コート内には何カ所かシェルターが設置されていて、身を隠すこともできるのですが、子供たちはとにかくコートを走り回ってぶつけあう方が好きみたい。
そうそう、こんな感じ。
水風船をつくるところからすでに競技は始まっています。メガネの男性は静岡県から駆けつけた大石さん。今日は水風戦の青チームの監督役ですが、いつもは多彩な出で立ちでクラウンをやったりバルーンアートをやったり。久之浜の子供たちに大人気!
水風船、つくったぞ~
用意はいいかい?
行くぞ~~~
コートの向こうには太平洋に突き出した久之浜名物の殿上山。コートの反対側を写した写真には被災された「はたや」さんの建物も見えていましたね。ということは、ここは防災緑地帯としてかさ上げが行われている場所。
かつては民家が立ち並んでいた町並みを、津波被害の後、何メートルも盛り土してかさ上げ工事が進められている場所なのです。
かさ上げ現場での「きらきら広場」は、今年の春以降、毎月行われているそうです。なぜそんな場所で? 小学校のグラウンドとか公園とか、他にも場所はあるのに。
それは、町を守るための防災力地づくりや、復興のための区画整備(かさ上げ)について、これから町の将来を担う子供たちに知ってもらいたいから。砂煙が舞う工事現場はあまり近づきたくない場所かもしれないけれど、未来の町がつくられている現場。子供たちに親しい場所であってほしいから。だから、工事が休みの日を選んで、子供たちに思いっきり遊んでもらっているのだそうです。
町の復興は工事現場の大きな重機や、作業員のみなさんが主役ではないのです。彼らの仕事は復興のためのベースづくり。本当の復興は、この町に暮らす人たち、とりわけ未来の町を生きる子供たちの手で進められるものなのです。
2015年7月19日、見渡す限りのかさ上げ工事現場の一角に子供たちの歓声が響き渡りました。楽しくて大興奮の水風戦。そこにこんな意味があることも、知っていただけたらありがたいと思うのです。
今回のきらきら広場 あそぼう会
元気いっぱい“水風戦” 久之浜防災緑地で「あそぼう会」
いわき市の久之浜・大久地区復興対策協議会は19日、同市の久之浜防災緑地で「きらきら広場 あそぼう会」を開き、両地区の住民らが水遊びなどを楽しんだ。
両地区の将来を担う子どもたちに県や市などが進める海岸防災林整備と震災復興土地区画整理の両事業を知ってもらうことなどを目的に開催した。
会場には竹を使った水鉄砲作りや参加者が持ち寄った食材を焼くたき火のほか、2チームに分かれて水風船をぶつけ合う「水風戦」が繰り広げられ、子どもたちが水風船を両手に元気いっぱい走った。
イベントを堪能した参加者らは防災緑地や海岸を見学。津波から命を守ってくれる将来の防災林に期待を込めた。
(2015年7月20日 福島民友トピックス)
最終更新: