7月13日(月曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
※ 情報を追加して更新します
6号機の原子炉保護系の電気施設が、配電設備点検の不手際により停止
※2015年7月13日午前9時15分頃、6号機原子炉保護系のMG-SET*(A)が自動停止するとともに、「原子炉A系自動スクラム」警報が発生。6号機原子炉保護系のMG-SET(A)停止に伴い、原子炉建屋換気空調系が自動停止し、非常用ガス処理系が自動起動。本件による主要設備の動作状況への影響はない。
その後、原子炉保護系のMG-SET(A)の自動停止については、本日実施していたメタクラ(M/C)6Cの点検作業に起因したものであることが判明し、当該点検を行うにあたっては、事前に必要な安全処置を実施していたが、本日の作業として、リレー等の試験を実施する際に、誤って安全処置の一部を復旧したため、原子炉保護系のMG-SET(A)が自動停止した。詳細な原因等については、今後調査を実施する。
原子炉保護系のMG-SET(A)については、今後準備が整い次第、起動操作を行うとともに、非常用ガス処理系から原子炉建屋換気空調系への復旧操作を行う。
なお、現在の6号機は既に原子炉内から燃料が取り出され、使用済燃料プールに全ての燃料が保管されている状態で、プール冷却等に問題はなく影響はない。また現時点で5・6号機プラントパラメータおよびモニタリングポスト指示値に有意な変動はない。
*MG-SET:電動機で発電機を駆動する装置
※ 原子炉保護系とは、定常状態から圧力、流量、温度などが変化した際に、原子炉の安全性を維持するために制御棒挿入で緊急停止するなどの措置を行うシステム。
→文末に原子力規制委員会の用語解説をリンク
※ MGセット:駆動電動機(モーターのM)と発電機(ジェネレーターのG)を直結した装置。外部の電源からは独立した電源を実現できる。電圧や周波数など外部の電源とは異なる電源を作ることができる。原子炉内のポンプなどに多用されている。
※ 非常用ガス処理系:沸騰水型原発で冷却材喪失事故が発生した際に、格納容器内の気圧を保つとともに、空気を処理するシステム。格納容器から漏れでた放射性物質をフィルタ等で除去した後に、主排気筒(原子炉の側にそびえる巨大な煙突状の排気施設)から外部に放出される。
→文末に原子力規制委員会の用語解説をリンク
1号機 ~タービン建屋地下の高濃度滞留水の移送を停止
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
加えて、
・1号機ディーゼル発電機(B)室の滞留水を1号機タービン建屋地下へ断続的に移送実施中
・1号機タービン建屋地下→1号機廃棄物処理建屋へ高濃度滞留水を移送実施(2015年7月12日午前10時7分~午後4時12分)
※ タービン建屋地下滞留水の移送は停止中
2号機
新規事項なし
1号機の冒頭4項目に加え、
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年7月7日午後3時2分~)
※ タービン建屋地下滞留水の移送は稼働中
3号機 ~タービン建屋地下の高濃度滞留水の移送を再開(移送先は高温焼却炉建屋)
1号機の冒頭3項目に加え、
・使用済燃料プール循環冷却系停止中
(6月30日には、6月29日午後1時46分SFP代替冷却系を起動と報告されている)
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年7月13日午前10時10分~)
※ タービン建屋地下滞留水の移送は稼働中
4~6号機
新規事項なし
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)停止中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・RO濃縮水処理設備停止中
地下水バイパス
新規事項なし
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
7月12日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<H4エリア周辺地下水 E-1/E-9の全ベータ濃度>
採取日 7/3 7/4 7/5 7/6 7/7 7/8 7/9 7/10 7/11
E-1 1,100 1,700 1,500 1,400 1,700 2,000 2,000 1,800 1,900
E-9 5,500 ー ー 3,600 ー 4,000 ー 3,100 ー
※ 単位はBq/L。(ーはデータの発表なし)
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側 ~3,4号機ウェルポイント汲み上げ水でトリチウムが過去最高値
新規事項なし
<過去最高値> 3,4号機ウェルポイント汲み上げ水
トリチウム(H3):2,400Bq/L(2015年7月8日採取)
これまでの最高値:2,100Bq/L(2015年6月17日採取)
地下貯水槽
新規事項なし
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