5月27日(水曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
RO濃縮塩水(高濃度のベータ核種を含む汚染水)を貯蔵していたフランジ型タンク(高濃度汚染水漏洩を起こしたH4・H6エリアのタンクも同タイプ)の解体作業を開始
※福島第一原子力発電所構内で設置している今後使用しないフランジボルト締めタイプのRO濃縮水貯槽(以下、「フランジ型タンク)という)については、5月27日より解体作業を開始。フランジ型タンクの解体作業にあたっては、ダスト飛散防止対策(仮設天板の設置や局所排風機の運転等)を実施するとともに、タンク内部の残水処理作業時やタンク解体作業時のダスト濃度測定を行いながら、慎重に作業を実施していく。
RO濃縮塩水(高濃度のベータ核種を含む汚染水)の処理を概ね完了したと発表。なお多核種処理設備で処理待ちの高濃度汚染水、ストロンチウム処理水と言い換えられている汚染水、さらにRO濃縮水のタンク底部残水はいまも処理待ちで残っている
※5月27日午前9時15分、RO濃縮水処理設備が対象としているRO濃縮水の処理が完了(タンク底部残水除く)し、処理運転を停止。これにより、2015年5月末に完了予定であった、タンク底部残水および海水成分の多いRO濃縮水を除いたRO濃縮水の処理が完了。
処理完了時点の多核種除去設備による処理水貯蔵量は約44万m3、ストロンチウム処理水貯蔵量は約18万m3。また、RO濃縮水のタンク底部残水は5月21日現在で約9,500 m3と推定。海水成分の多いRO濃縮水については、引き続き、増設多核種除去設備で処理を行っているが、同設備についても、処理対象のRO濃縮処理水の処理が完了次第、処理運転を停止する予定。
同日午前10時51分、増設多核種除去設備が対象としている海水成分の多いRO濃縮水の処理が完了(タンク底部残水除く)し、処理運転を停止。これにより、タンク底部残水を除く全てのRO濃縮水の処理が完了し、汚染水によるリスク低減という目的を達成。
なお、RO濃縮水のうち、事故後、早い段階で発生した海水成分の多いRO濃縮水については、カルシウム・マグネシウムの影響で、定格流量運転ができず、当初は処理に5月末からさらに数ヶ月を要すると想定していたが、処理が順調に進み、5月27日に処理を終えたもの。
No.3軽油タンクについて「特定原子力施設に係る実施計画」の定めを逸脱する状況を脱す
※No.3軽油タンクについては、2014年10月30日から2015年3月の期間で点検を予定。点検に伴い、No.3軽油タンク内の軽油を全部抜き取るため、特定原子力施設に係る実施計画(以下、実施計画という。)III章第2編第62条(非常用ディーゼル発電機燃料油等)の表62-1で定める運転上の制限(ディーゼル燃料油No.3軽油タンクレベル:2,180mm以上)を満足できない状態となるが、実施計画III章第2編第74条(予防保全を目的とした保全作業を実施する場合)を適用し、あらかじめ必要な安全処置を定めた上で計画的に点検作業を実施する。あらかじめ必要な安全処置としては、No.3軽油タンクから補給を行っていた5A、5Bおよび6Aの各非常用ディーゼル発電機のデイタンクに、No.6軽油タンクから補給を行えるようにするとともに、非常時の必要油量を確保するため、No.6軽油タンクレベルの設定値(運転上の制限値)を1,291mm上から2,346mm以上に変更。また、設定値(運転上の制限値)を逸脱しないように、No.6軽油タンクレベルの管理値を2,536mmとして運用。10月30日午前7時17分に当該タンクの点検作業を開始。(既出)
その後、2015年5月27日、当該タンクの点検を終了。また、No.3軽油タンクの点検に伴い実施していたNo.6軽油タンクから5A、5B及び6Aの各非常用ディーゼル発電機のディタンクに補給を行うための安全処置については、No.3軽油タンクからの補給ラインへ切替えを行うとともに、No.6軽油タンクレベルの設定値(運転上の制限値)を2,346mm以上から1,291mm以上に変更し解除した。
なお、No.3軽油タンク及び系統からの漏えい等の異常がないことを確認し、同日午後1時に実施計画III章第2編第74条(予防保全を目的とした保全作業を実施する場合)の適用を解除した。
1号機~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※タービン建屋地下滞留水の移送は停止中
◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年5月26日午前11時11分~)
※タービン建屋地下滞留水の移送は稼働中
◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年5月26日午前11時20分~)
※タービン建屋地下滞留水の移送は稼働中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・原子炉から使用済燃料プールへ燃料移動中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール
新規事項なし
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
水処理設備および貯蔵設備 増設多核種除去設備、モバイル型ストロンチウム除去装置、第二モバイル型ストロンチウム除去装置、RO濃縮水処理設備「停止中」
・増設多核種除去設備停止中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・RO濃縮水処理設備停止中
その他の項目について新規事項
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)停止中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
地下水バイパス
新規事項なし
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
5月26日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、測定箇所の上部で高所作業を行っていたことからパトロール員の安全確保のために測定を一部実施しなかった箇所を除き、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<H4周辺地下水E-1の全ベータ値>
4月21日採取 15,000Bq/L
4月22日採取 8,300Bq/L
(中略)
5月20日採取 2,100Bq/L
5月21日採取 悪天候により採取中止
5月22日採取 2,600Bq/L
5月23日採取 3,100Bq/L
5月24日採取 5,100Bq/L
5月25日採取 3,300Bq/L
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<H6周辺地下水G-1のトリチウム値>
3月17日採取分で過去最高値 3,400Bq/Lを記録して以来、それまでの週1発表から毎日発表になっている。
3月17日採取 3,400Bq/L
(中略)
5月20日採取 170Bq/L
5月21日採取 悪天候により採取中止
5月22日採取 180Bq/L
5月23日採取 150Bq/L
5月24日採取 130Bq/L
5月25日採取 170Bq/L
※ 3月10日(最高値の前回測定)の値は 480Bq/L
3月3日はND(検出限界値:10Bq/L)
<H6周辺地下水G-2のトリチウム値>
4月20日採取 380Bq/L
4月21日採取 2,500Bq/L ※大幅に上昇
4月22日採取 2,000Bq/L ※若干減少
4月23日採取 310Bq/L
(中略)
5月19日採取 580Bq/L
5月20日採取 2,800Bq/L ※大幅に上昇
5月21日採取 悪天候により採取中止
5月22日採取 2,200Bq/L
5月23日採取 340Bq/L ※大幅に減少
5月24日採取 180Bq/L
5月25日採取 210Bq/L
※G-2のトリチウム値は、タンクからの汚染水漏れが発生から約1か月後の平成26年3月24日・25日に記録した7,000ベクレルがこれまでの最高値だが、27日には660ベクレルまで減少していた。
<H6周辺地下水G-3のトリチウム値>
漏洩タンクから最も遠いG-3もトリチウム値が上昇
4月27日採取 400Bq/L
4月28日採取 200Bq/L
(中略)
5月20日採取 300Bq/L
5月21日採取 悪天候により採取中止
5月22日採取 430Bq/L
5月23日採取 330Bq/L
5月24日採取 330Bq/L
5月25日採取 350Bq/L
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