10月6日(火曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
※ 情報を追加して更新します
事故原発でのトラブル情報「通報基準・公表方法」を更新。10月6日から適用開始
○主な更新箇所は以下の通りです。
<廃炉作業の進捗に伴う新たな項目の追加>
・側溝放射線モニタ警報発生時の基準を追加
・サブドレン・地下水ドレン集水設備/サブドレン他浄化設備・移送設備を追加
・陸側遮水壁を追加
<その他>
・外部への放射性物質放出影響の記載の適正化
・滞留水移送の基準の一部変更
・地下水バイパスの基準の記載の適正化
・その他項目の記載の適性化 など
これに伴い、滞留水移送に関する記載などが本日分の「日報」から変更されている。
1~4号機建屋地下の高濃度滞留水を移送する新装置の運用を午前0時より開始
※1~4号機各建屋の滞留水については、水位制御を向上させる目的から、1~4号機各建屋(タービン建屋、原子炉建屋、廃棄物処理建屋[1号機廃棄物処理建屋を除く])へ新たな滞留水移送装置を設置。
これまでに、新たに設置した滞留水移送装置の系統性能試験(通水試験)、各ポンプの流量調整等を終了し、10月6日午前0時から当該装置を使用した滞留水移送の本格運用を開始。運用開始後の漏えい等の異常は確認されていない。
なお、新たに設置した滞留水移送装置は、建屋滞留水の水位制御の向上や運転員の被ばく低減等を目的として、運用開始後は移送ポンプ自動運転(各建屋滞留水移送の開始/停止を判断するためのしきい値を設定し、移送ポンプの起動/停止を自動制御)による滞留水移送を行う。
使用済燃料プール水の放射能分析結果(採取日10月5日)
※2014年8月29日に発生した3号機使用済燃料プールにおける燃料交換機の操作卓等の落下について、10月5日採取した使用済燃料プール水の放射能分析結果は以下の通り。
【使用済燃料プール水の放射能分析結果(採取日10月5日)】
・セシウム134:190Bq/cm3
・セシウム137:780Bq/cm3
・コバルト60 :0.59Bq/cm3
分析結果については、前回と比較して有意な変動はなく、燃料破損の兆候は確認されていない。
1リットルあたりに換算する
・セシウム134:190,000Bq/L
・セシウム137:780,000Bq/L
・コバルト60 :590Bq/L
(参考:8月3日採取分)
・セシウム134:170,000 Bq/L
・セシウム137:660,000 Bq/L
・コバルト 60:1,400 Bq/L
1号機
新規事項なし
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・1号機ディーゼル発電機(B)室の滞留水を1号機タービン建屋地下へ断続的に移送実施中
※ 建屋地下からの滞留水移送は停止中
2号機 タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中。「通報基準・公表方法」の変更で移送の「運転/停止」が新規事項として記載されなくなる可能性
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中
※ 9月24日、原子炉建屋地下、廃棄物処理建屋地下、タービン建屋地下からそれぞれ集中廃棄物処理施設へ移送されていたものを停止した後、9月26日に移送を再開した際にはタービン建屋地下からのみの移送として表記されていた。あるいはこの時点で移送方法、あるいは発表の内部的な雛形が変更になったのかもしれない。
※「断続的に移送実施中」との表記は運転/停止の有無を日報上で発表しない可能性が考えられる(「増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の~」の表記を参照)。
3号機 タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中。「通報基準・公表方法」の変更で移送の「運転/停止」が新規事項として記載されなくなる可能性
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・FSTR建屋から3号機廃棄物処理建屋の滞留水移送については断続的に実施中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中
※「断続的に移送実施中」との表記は運転/停止の有無を日報上で発表しない可能性が考えられる(「増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の~」の表記を参照)。
4~6号機
新規事項なし
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)停止中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・RO濃縮水処理設備運転中
地下水バイパス 海洋排出の準備進む(通算84回目)
※地下水バイパス一時貯留タンクグループ2の当社および第三者機関による分析結果[採取日9月24日]については同等の値であり、ともに運用目標値を満足していることを確認。
地下水バイパス一時貯留タンク詳細分析結果(9月2日に採取し、すでに海洋排水されたものの分析)
福島第一原子力発電所 地下水バイパス 加重平均サンプル分析結果(2015年8月分)
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