かの百田尚樹氏(こないだまでNHK経営委員で、やしきたかじんの遺産問題の重要人物であり、おそらく本業は作家と思われる)が、自民党の若手議員約40人が25日に行った憲法改正を推進する勉強会「文化芸術懇話会」の初会合で、次のような発言をしたと伝えられている。ちなみにこの勉強会は安倍総理に近い若手議員の集まりだったと毎日新聞は伝えた。
沖縄県の地元紙が政府に批判的だとの意見が出たのに対し、百田氏は「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない。あってはいけないことだが、沖縄のどこかの島が中国に取られれば目を覚ますはずだ」と主張した。
自民党:安保法案で報道批判続出…改憲派の勉強会 毎日新聞 2015年06月25日 23時45分(最終更新 06月26日 13時44分)
なんじゃこりゃ。
いくらなんでも、これは酷い。私的会合といえども与党・自民党内でセッティングされた会合での発言である。その一事に鑑みても、威力業務妨害とか名誉毀損とか、侮辱罪とかで対抗してしかるべき暴言といえるが、驚いたことに百田氏のパトロンであったはずの、かの「最高指揮官」閣下が「百田発言は遺憾」と申し述べたというではありませんか!(遺憾という言葉の意味がちゃんと呑み込めていらっしゃるかという不安もなきにしもあらずではありますが…)
安倍晋三首相は26日午前の衆院平和安全法制特別委員会の集中審議で「報道が事実なら大変遺憾だ。(勉強会は)党の正式会合ではない。有志の会合だ。発言がどのように報道されたかは確認する必要がある」と述べた。
憲法学者の皆さんに総スカンを喰らい、それではとてヤナギ腰の船田元・憲法審査会筆頭理事を袋叩きにしたところで国民にとっては「はあ?」な状況が続いて来たわけで、おそらく質問内容等の工夫等によって「下駄」を履かせているであろう主要メディアの世論調査でさえ内閣支持率はガクンと急降下。下駄履き調査でさえ不支持率が迫ってくる状況に、攪乱戦法に打って出たということか。
DKが見抜くほどの茶番劇
ニュースが流れた当時は、百田発言は酷いものだとそのことばかりに目が行っていたのだが、DK(男子高校生)とこの件でおしゃべりしていたら教えられた。
「これって、泣いた赤鬼じゃね?」
思いっきりストンと腑に落ちた。なるほどね。もともとハチャメチャな発言で鳴らした百田氏だから、この程度の発言で彼の存在にキズがつくとは思えない。「飲み屋しゃべっているようなもの」「冗談だから取り消さない」などと息巻いているそうだから、彼自身も勲章が増えたくらいにしか感じていないのだろう。傍若無人な発言をやればやるほど、ヒールとしては磨きがかかるというもの。
政権に対しては及び腰のマスコミも、相手が百田氏であればそれなりに叩くこともできるだろう。安保法制が行き詰まっている中、百田叩きで国民の関心をそらす効果を狙っているのかもしれない。
そしてヒールが大炎上したところで正義の味方が登場して繰り出す鉄拳は、
大変遺憾だ。
あれれ、正義の味方の攻撃もあんまりパッとしない。それにもうすでに遺憾だと言ってしまっている。ここはとにかくヒール役の青鬼にせいぜい盛り上げてもらうしかない。というのが「いまココ」的な現在の状況なのかもしれない。
まあ、この問題が国会でこの問題を取り上げたところで、「だから私的な集まりでのことだし、私は遺憾と言っている」と総理に返されたら、もうそれ以上追及のしようはない。「酷い話じゃないですか」「うん、あってはならない話ですね」と、なんとも間抜けなやりとりになってしまう。ということは、やはりそう遠くないうちにこの話は下火になるしかない。
だからそれまで盛り上げて、安保法制の失点をうやむやにしたいという茶番に過ぎぬ。百田発言はたしかに酷いが、あんまり釣られて騒がない方がよさそうだ。
(その点、天下の公共放送NHKは、若田議員の処分について谷垣禎一幹事長の発言を伝えたものの、ネットのNEWSウェブでは、百田のひの字も登場しない。さすがというか何というか……)
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