めまいがした。ミラーハウスに入った時みたいな、無重力状態の場所に放り出されたみたいな(そんな経験はないが)、自分のアタマが変になっちゃったような感覚。
ぼちぼちとは報じられてはいるけれど、これほど酷い話はない。しっかり記しておかなきゃならない。決して風化させることなく記しておくのは国民の責務だと思う。日本中すべての人がブログでもFacebookでも何でもいいから、この狂気の沙汰について声を発信しよう。何しろ一国の大臣さんがこうのたまったのだ。
現在の憲法、これをいかにこの法案に適用させていけばいいのかという議論を踏まえまして、閣議決定を行ったわけでございます。
6月5日の衆議院特別委員会での中谷防衛相の答弁
国の法律の根幹である憲法を、「この法案」に「適用させる」???
大臣さまがおっしゃるくらいだから、知らない間にそんなことになったのか?
念の為に日本国政府の法令データ提供システム「イーガヴ」で日本国憲を調べてみた。(ひとまず安心した。知らない間に憲法がすり替えられたりはしていないようだ)
まずは第98条のこの言葉。
第九十八条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
憲法こそが最高法規だとちゃんと書かれている。よって、憲法をいわば格下の安保法制の法案に適用させようとすることは、憲法違反であるのみならず、最高法規である憲法を貶める行為に他ならない。
次に99条。
第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
国民には思想、良心、信教、結社、言論、表現の自由などがあるが、天皇以下、国務大臣はじめおよそ公務員にはこの憲法を尊重し擁護する義務がある。職名と合わせて同じ条文に記載されているのだから、この義務を果たさないものは、その職にあるべからずと考えるのが自然だろう。
つまり、憲法と憲法の背景にある理念を著しく損ねた中谷防衛相は、公務員そして国務大臣として当然守るべき義務に大きく違反。憲法が法治国家としての根幹であることを重く見れば、大臣には辞めて頂かねばならぬ。
責任は中谷大臣1人にとどまらない。答弁の内容をもう一度よく見てみると、憲法を法案に適用させようとしたのは中谷大臣ではなく、閣議であったと読み取れる。つまり、国務大臣が集まって行われる閣議そのものが、憲法違反、いやむしろ憲法破壊の企てを持って開かれていたということになる。閣議は全員一致が原則だから、この閣議に出席した全閣僚が憲法擁護の義務に反したということだ。
辞表を胸に疑義を唱える閣僚が1人もいなかったことは残念を通り越して驚きだ。
さらに、言うまでもなく閣議を主催するのは言うまでもなく内閣総理大臣である。
中谷大臣の答弁が真であるならば、憲法破壊を企てる閣議を主催した安倍総理には公務員として重大な義務違反があったということになる。しかも、過失による義務違反ではない。企図した法案に憲法を引き寄せる、つまり憲法の存在そのものの破壊を明確に目的とした閣議が行われたということなのである。こんなおぞましいことがあっていいのか。
きわめて重大な発言だ。しっかり糺さなければならない。与党が圧倒的議席数をもっていたとしても、全国民が反対の意思表明を行えば動かないものはないはずだ。
最終更新: