東電社員が警報付ポケット線量計(APD)を装備せずに現場パトロール! ガラスバッジは装着していたからと東電は釈明するが、現場での短時間での被曝を把握することはできない
7月29日(火曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。
1号機原子炉圧力容器てっぺんからのRVH系に代わる窒素封入系の試験を実施
※1号機におけるジェットポンプ計装ラックラインを用いたRPV内への窒素封入試験を7月28日午前11時17分より午後3時40分にかけて実施。
窒素封入量の変更後は、原子炉格納容器HVH温度、原子炉格納容器圧力、原子炉格納容器水素濃度等の監視強化を行っているが、試験においては、プラントパラメータ等の異常は確認されなかった。
翌日以降も同様の試験を実施し、異常が無い場合には通常監視に移行する。
▼圧力容器内への注水系が使えなくなるかもしれない
▼ほかに注水に仕えるラインは圧力容器てっぺんからのRVHくらいしかない
▼RVHは水素爆発防止のための窒素注入に使用中
▼ほかに圧力容器につながるラインとして白羽の矢を立てたジェットポンプ計装系で窒素封入のテストを実施
▼いまのところ問題は生じていないが、何しろ肉眼はもとよりカメラですら見ることのできない圧力容器の中のこと。今後もテストを繰り返す
という流れ。詳しくは下記のコラムをご覧ください。
5号機5階弁ボックスに水溜りができたことで、5,6号機の類似箇所の調査を行うことに
※5号機原子炉建屋5階にある2箇所の燃料プール冷却浄化系の弁ボックス内の水溜まりが発見されたことを受け、
その発生原因の調査を行うため、
5号機では7月29日、30日に、また6号機では7月30日、31日に原子炉建屋オペレーティングフロアに設置されている類似箇所の調査を行う。
水溜りの発覚は7月19日のことでした……。
設備パトロール中の「東京電力社員」が警報付ポケット線量計(APD)を装着せず!
※7月29日午後1時15分頃、設備パトロールを実施していた当社社員が警報付ポケット線量計(APD)を装着していなかったことがわかった。なお、ガラスバッジは装着しており、個人線量の測定への影響はないと考えている。
1号機 ~タービン建屋地下の滞留水を移送
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
加えて、タービン建屋地下の高濃度滞留水の移送について。移送は約16時間実施。
・1号機タービン建屋地下→1号機廃棄物処理建屋へ高濃度滞留水を移送実施(平成26年7月28日午後5時26分~平成26年7月29日午前9時30分)
2号機~6号機
新規事項なし
◆2号機
1号機の4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送中(平成26年7月22日午前9時50分~)
◆3号機
1号機の4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年6月16日午後2時42分~)
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動(4号機原子炉建屋および共用プール建屋の天井クレーンと燃料交換機の年次点検により、一時中断)
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・残留熱除去系による原子炉停止時冷却運転(炉心冷却)と非常時熱負荷運転(使用済燃料プール冷却)を交互に実施中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール ~キャスク(大型容器)の内包水・洗浄水を移送
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
加えて、燃料移送用のキャスク(大型容器)の内包水・洗浄水の移送について記載
・4号機使用済燃料プールから共用プールへの燃料移動作業において発生する構内用 輸送容器(キャスク)内包水(4号機使用済燃料プール水)および構内用輸送容器(キャスク)内洗浄水については、沈降分離処理し、共用プール低電導度廃液受タンクで貯水しているが、
7月29日午前10時40分から午前11時13分にかけて、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)への移送を実施。なお、本移送は今後も適宜実施していく。
4号機からの使用済み燃料の移送は9月まで停止しているのに、キャスク水の移送は7月22日に続いて実施。
共用プールから陸上の保管場所への移送で使用したキャスクからの排出水の移送の可能性も考えられるかもしれない。
水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
地下水バイパス
新規事項なし
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
平成26年7月28日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側 ~地下水観測孔1-12,1-16でセシウム濃度が急上昇
※地下水観測孔No.1-12および地下水観測孔No.1-16について、7月28日に採取した水のセシウム134およびセシウム137の分析値が、前回値と比較して高い値で検出された。地下水観測孔No.1-16については、過去最高値となっている。当該観測孔については、7月30日に再度試料を採取し、傾向を監視していく。
<地下水観測孔No.1-12の測定結果:7月28日採取分>
・セシウム134:44 Bq/L〔前回分析値(7月24日採取):2.8 Bq/L)〕
・セシウム137:130 Bq/L〔前回分析値(7月24日採取):8.1 Bq/L〕
<参考:過去最高値>
・セシウム134:74 Bq/L(平成25年10月21日採取分)
・セシウム137:170 Bq/L(平成25年10月21日採取分)
<地下水観測孔No.1-16の測定結果:7月28日採取分>
・セシウム134:30 Bq/L〔前回分析値(7月24日採取):検出限界値(1.7 Bq/L)
未満〕
・セシウム137:86 Bq/L〔前回分析値(7月24日採取):1.3 Bq/L〕
<参考:過去最高値>
・セシウム134:3.1 Bq/L(平成25年12月13日採取分)
・セシウム137:6.5 Bq/L(平成26年6月26日採取分)
<最新のサンプリング実績>
その他の分析結果については、前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
サンプル採取日である7月28日までは、ほぼ1週間にわたって降雨ゼロだった(近隣の浪江町の気象庁観測地点データ)。高濃度を示した原因はどこにあるのか? 同じく28日に採取された2号機サブドレンでも高濃度のセシウム134が観測されている。関連はあるのか?
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年7月29日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: