地下水観測孔No.1-12および地下水観測孔No.1-16のセシウム濃度は低下したものの、前々回採取分よりはかなり高いレベルのまま
7月31日(木曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。
車輌汚染検査・除染作業を担当していた協力企業作業員が熱中症で搬送
※7月31日午前9時13分頃、福島第一原子力発電所構内で車輌汚染検査・除染作業を実施していた協力企業作業員が、西門研修棟休憩所の身体汚染検査後に倒れたことから、入退域管理棟救急医療室にて医師の診察を受けた。診察の結果、熱中症と診断され、緊急搬送の必要があると判断されたため、同日午前10時45分に救急車を要請。なお、当該作業員に身体汚染はない。その後、午後0時5分に福島労災病院へ到着。
近隣の浪江町の気象庁観測点のデータでは31日午前10時の天候は晴れ、気温31.5℃、風速1.6メートルだった。浪江町では最高気温33.5℃を記録した。
協力企業作業員の口周りに放射能汚染
※7月31日午前11時25分頃、入退域管理棟において、汚染検査を行った協力企業作業員の口周りに汚染が確認された。内部取込みの可能性があることから、念のためホールボディカウンタを受検。
1号機
新規事項なし
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
2号機 ~高濃度滞留水の移送を停止
1号機と同じ4項目に加え、午前10時5分、タービン建屋地下の高濃度滞留水の移送を停止したことを記載
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送実施(平成26年7月22日午前9時50分~7月31日午前10時5分)
3号機~6号機
新規事項なし
◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年6月16日午後2時42分~)
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動(4号機原子炉建屋および共用プール建屋の天井クレーンと燃料交換機の年次点検により、一時中断)
・ 使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール
新規事項なし
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
水処理設備および貯蔵設備 ~サイトバンカ建屋からの溜まり水移送を停止
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)停止中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
加えて、7月30日午後7時9分、サイトバンカ建屋からプロセス主建屋への溜まり水移送を停止
・集中廃棄物処理施設において、サイトバンカ建屋からプロセス主建屋へ溜まり水を移送実施(7月30日午前10時11分~午後7時9分)
地下水バイパス
新規事項なし
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
平成26年7月30日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側 ~地下水観測孔No.1-12とNo.1-16のセシウム濃度が低下。それでも前々回採取分よりは高いレベル
※ 7月28日に採取した地下水観測孔No.1-12および地下水観測孔No.1-16の汲み上げ水については、セシウム134およびセシウム137の値が、前回値と比較して高く、地下水観測孔No.1-16については、過去最高値が検出されたため、7月30日に再度採取していたが、その結果、セシウム134およびセシウム137の値は、前回値(7月28日採取分)の3分の1~5分の1程度に低下していたため、今後も監視を継続。
なお、地下水観測孔No.1-12および地下水観測孔No.1-16の位置する1・2号機取水口間では、海洋への流出防止を目的として、ウェルポイントにおける地下水の汲み上げを継続する。再測定の分析結果は以下のとおり。
<地下水観測孔No.1-12の測定結果:今回(7月30日)採取分>
・セシウム134:13 Bq/L
・セシウム137:40 Bq/L
<参考:前回(7月28日)採取分>
・セシウム134:44 Bq/L(お知らせ済み)
・セシウム137:130 Bq/L(お知らせ済み)
<地下水観測孔No.1-16の測定結果:今回(7月30日)採取分>
・セシウム134:6.1 Bq/L
・セシウム137:16 Bq/L
<参考:前回(7月28日)採取分>
・セシウム134:30 Bq/L(お知らせ済み)
・セシウム137:86 Bq/L(お知らせ済み)
高い濃度を記録した28日採取分からは低下したものの、前々回24日採取分に比べるとかなり高いレベルのまま。
<地下水観測孔No.1-12の測定結果:前々回、7月24日採取分>
・セシウム134:2.8 Bq/L
・セシウム137:8.1 Bq/L
<地下水観測孔No.1-16の測定結果:前々回、7月24日採取分>
・セシウム134:検出限界値(1.7 Bq/L)未満
・セシウム137:1.3 Bq/L
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年7月31日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: