[説明に納得いかない]共用プール地下1階の配管貫通口から水が流入。東京電力は、排水口に流れているから建屋外への流出はないと説明
7月3日(木曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。
協力企業の車両からエンジンオイルが漏洩
※7月3日午前6時頃、発電所構内にある協力企業厚生棟前の路上において、協力企業が使用している車両から油(エンジンオイル)が漏れていることを協力企業作業員が発見。漏えいした油は、地面に約1m×約8mの範囲で溜まっていることから、吸着剤および中和剤により処置を実施。なお、午前6時10分に双葉消防本部へ連絡。その後、午前6時31分に油の漏えいが停止していることを確認。漏れた油は、吸着剤および中和剤等の散布にて処置を完了。午前7時30分に双葉消防本部より「危険物の漏えいには該当しない」との判断を受けた。
共用プール建屋地下1階で配管貫通口から水が流入。「床の排水から連続して排水されているので建屋外への流出はない」とはどういう意味か?
※7月3日午前11時10分頃、共用プール建屋地下1階において、配管貫通口より水が流入(連続滴下1箇所および鉛筆芯1本程度2箇所の合計3箇所)していることを当社社員が発見。当該エリアの配管貫通口から流入した水は、床面に約1m×約1.5m×約1mmの範囲に広がっており、床面に設置されている排水口(床ファンネル)に連続で排水されているため、建屋外への流出はない。
納得できない説明。床面の排水口からどこへ流れているのか分からない。流れ込んでいる水がどんな水なのかも分からない。そもそも配管貫通口から水が流入すること自体、問題なのではないか。
報道関係一斉メールでは次のように発表されている。
本日(7月3日)午前11時10分頃、共用プール建屋地下1階において、配管貫通口より水が流入(連続滴下1箇所および鉛筆芯1本程度2箇所の合計3箇所)していることを当社社員が発見しました。
現在、漏えいの状況および原因等を確認しております。
※4号機使用済燃料プール内に保管している燃料については、平成25年11月18日から取り出し作業を行っておりますが、燃料取り出しに使用している4号機原子炉建屋および共用プール建屋の天井クレーンと燃料交換機の年次点検を行うため、平成26年7月1日から9月上旬にかけて燃料取り出し作業を中断しております。
福島第一原子力発電所共用プール建屋地下1階における水の流入についての続報です。
当該エリアの配管貫通口から流入した水は、床面に約1m×約1.5m×約1mmの範囲に広がっており、床面に設置されている排水口(床ファンネル)に連続で排水されているため、建屋外への流出はありません。
流入した水の分析結果は以下の通りです。
・セシウム134 :2.1×10^1 Bq/L
・セシウム137 :6.0×10^1 Bq/L
・全ベータ :1.7×10^2 Bq/L
今回の分析結果については、付近のサブドレン水の分析結果と比較しても同等の放射能濃度であることを確認しました。
また、当該配管貫通口近傍は滞留水を取り扱う配管がないことから、流入水はフォールアウトの影響を受けた地下水と判断しました。
今後、流入箇所の止水処置等について検討します。
・セシウム134 :21 Bq/L
・セシウム137 :60 Bq/L
・全ベータ :170 Bq/L
この数値は雨水にしては高すぎる。滞留水にしては低すぎる。だから、フォールアウト(降下物:死の灰)の影響を受けた水という推定の妥当性は高いだろう。しかし数値だけで「判断」していいものなのか。
この漏水は今回初めて発見されたのか? 共用プールではこれまで頻繁に作業が行われてきたはずなのに。依然として理解に苦しむ説明だ。
1号機~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送中(平成26年6月29日午前9時52分~)
◆3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年6月16日午後2時42分~)
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動(4号機原子炉建屋および共用プール建屋の天井クレーンと燃料交換機の年次点検により、一時中断)
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール 〜燃料移送に使ったキャスクの中の水や洗浄水を集中廃棄物処理施設へ移送〜
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
加えて、燃料移送に使ったキャスク(大型の円筒状容器)の中の水や洗浄水の高温焼却炉建屋への移送を発表。
・4号機使用済燃料プールから共用プールへの燃料移動作業において発生する構内用輸送容器(キャスク)内包水(4号機使用済燃料プール水)および構内用輸送容器(キャスク)内洗浄水については、沈降分離処理し、共用プール低電導度廃液受タンクで貯水しているが、当該タンクが満水レベルに達したことから、7月3日午前10時3分から午前10時35分にかけて、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)への移送を実施。なお、本移送は今後も適宜実施していく。
水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
地下水バイパス
7月2日の海洋排水の排水量を記載
同日午後5時42分、排水を終了。排水終了後、漏えい等の異常がないことを確認。なお、排水量は1,858m3。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
平成26年7月2日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側
新規事項なし
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年7月3日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: