5号機5階の弁ボックス内に水溜り。原因は調査中ながら、「異常がないことを確認し、安定して使用済燃料プール冷却が可能」と発表
7月19日(土曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。
5号機オペレーティングフロアの弁ボックス内に、燃料プール内と同程度に汚染された水溜り
補機冷却海水系の弁が破損し海水漏れが生じた5号機で、今度はプール内水と同程度に汚染された水の水溜りが原子炉建屋5階のオペレーティングフロアで発見された。原因は調査中。冷却を再開したところ水漏れは見られないという。
詳しい調査結果の発表が待たれる。
※7月19日午前1時25分頃、5号機原子炉建屋5階オペレーティングフロアの2箇所の弁ボックス内にある燃料プール冷却浄化系の弁付近に水溜りがあることを当社社員が発見。
水溜りの範囲は、それぞれの弁ボックスで、約75cm×約50cm×深さ約9cmと約75cm×約50cm×深さ約18cmであることを確認。
当該弁2箇所(A系およびB系)の水溜りについて、放射能分析結果は以下の通り。
(A系:水溜り深さ約9cm)
・コバルト-60 2.1×100 Bq/cm3
・マンガン-54 7.3×10-2 Bq/cm3
(B系:水溜まり深さ約18cm)
・コバルト-60 3.4×100 Bq/cm3
・マンガン-54 7.3×10-2 Bq/cm3
このコバルト-60の放射能濃度レベルは、使用済燃料プールにおける濃度と同程度であることを確認。
弁ボックス内の水をくみ上げて弁ボックス内の清掃を行い、燃料プール冷却浄化系の健全性を確認するため、同日午後3時31分に残留熱除去系による原子炉冷却から使用済燃料プール冷却に切り替えを実施。
その後、当該弁からの漏えいはなく、異常がないことを確認し、安定して使用済燃料プール冷却が可能であることを確認。
弁付近の水溜りの原因については、今後調査を継続する。
1号機~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆2号機
1号機と同じ4項目
◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年6月16日午後2時42分~)
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動(4号機原子炉建屋および共用プール建屋の天井クレーンと燃料交換機の年次点検により、一時中断)
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・残留熱除去系による原子炉停止時冷却運転(炉心冷却)と非常時熱負荷運転(使用済燃料プール冷却)を交互に実施中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
地下水バイパス ~グループ3タンクのトリチウムは340Bq/L(第三者機関)
※1~4号機原子炉建屋等への地下水流入抑制対策として設置した地下水バイパス設備について、地下水バイパス一時貯留タンクグループ3の当社および第三者機関による分析結果[採取日7月9日]については同等の値であり、ともに運用目標値を満足していることを確認。
東京電力と第三者機関(日本分析センター)による詳細分析結果は下記リンクに。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
平成26年7月18日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア ~地下水観測孔E-10、E-1でそれぞれトリチウム、全ベータの濃度上昇
H4エリアタンク周辺の地下水観測孔E-10のトリチウムの値は、1,800 Bq/L(7月15日採取値)から21,000 Bq/L(7月17日採取値)に上昇。(過去最大値:54,000 Bq/L(1月21日採取値))
また、E-1の全ベータ値は、13,000 Bq/L(7月17日採取値)から150,000 Bq/L(7月18日採取値)に上昇。(過去最大値:710,000 Bq/L(平成25年11月10日採取値))
これらの原因としては、降雨が影響したものと考えられる。
その他の分析結果については、前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
それぞれの詳細データは下記資料で発表されている。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年7月19日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: