すきま腐食が発生していた多核種除去設備(ALPS)A系で犠牲陽極を設置し、処理運転を再開
7月16日(水曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。
多核種除去設備(ALPS)A系の処理運転を再開。すき間腐食対策の犠牲陽極を設置
※多核種除去設備A系については、同設備C系で確認された吸着塔フランジ部の微小なすき間腐食発生の対策(フランジ部へのガスケット型犠牲陽極の設置)を水平展開するため、7月8日午後1時39分に処理運転を停止していたが、
本対策が完了したことから、7月15日午後5時9分に処理運転を再開。
処理再開後の運転状態に異常は確認されていない。
なお、本工事において、吸着塔の状況調査を行った際に、吸着塔2Aの配管フランジ部周辺の2箇所に同設備C系吸着塔と同様な微小なすき間腐食が確認されたが、C系で確認されたすき間腐食よりも小さく、フランジ部の健全性への影響は認められなかった。
1号機~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送中(平成26年7月10日午前10時28分~)
◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年6月16日午後2時42分~)
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動(4号機原子炉建屋および共用プール建屋の天井クレーンと燃料交換機の年次点検により、一時中断)
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・残留熱除去系による原子炉停止時冷却運転(炉心冷却)と非常時熱負荷運転(使用済燃料プール冷却)を交互に実施中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
加えて、4号機からの燃料搬出に使う大型容器(キャスク)の内包水、洗浄水の集中廃棄物処理施設への移送を実施。
・4号機使用済燃料プールから共用プールへの燃料移動作業において発生する構内用 輸送容器(キャスク)内包水(4号機使用済燃料プール水)および構内用輸送容器(キャスク)内洗浄水については、沈降分離処理し、共用プール低電導度廃液受タンクで貯水しているが、7月16日午前10時12分から午前10時44分にかけて、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)への移送を実施。なお、本移送は今後も適宜実施していく。
4号機からの使用済み燃料の搬出は9月まで停止しているはずだが、どうしてこのタイミングで?
水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
地下水バイパス ~7月14日に実施された通算10回目の海洋排出の続報
同日、この際の南放水口付近の海水についてサンプリングを実施し、前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
平成26年7月15日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年7月16日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: