海側遮水壁内の埋め立てで不要になったから、4号機前のシルトフェンスを撤去。工事予定は9月までとのことだったが…
6月24日(火曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。
海側遮水壁内の埋め立てで4号機前のシルトフェンスを撤去
※平成26年6月23日、海側遮水壁工事(港湾内)における遮水壁内側の埋め立てにより、4号機前面に設置したシルトフェンスが不要となったことから、撤去を実施。
この発表からは、海側遮水壁内側の埋め立て工事が完了したように読み取れるが、6月16日付の参考資料では、埋め立て完了予定は今年9月のスケジュールになっている。
タービン建屋東側の海抜4メートルのエリアでは、雨水を地盤に浸透させないためのフェーシング(舗装など)と、地下水の海への流出を防ぐための海側遮水壁の工事が並行して行われている。遮水壁は約25メートルの鋼管を20センチの隙間を開けて打ち込み、隙間はジョイント部分として鋼管よりも50センチ低い位置まで遮水施工する。工事完了後は、鋼管とジョイント部分の隙間から雨水を海に流す予定だが、現状では4号機前に9本分、鋼管矢板を設置していない隙間があり、雨水はそこから海に排出されている。
工事スケジュールでは、今年9月までに鋼管矢板設置、遮水壁の埋め立てが実施されることになってた。
6月25日、原発地盤の下部透水層への汚染の広がりと、海側遮水壁工事が関連している可能性についてNHKが伝えた。
福島第一原発では今月4日、1号機の海側の井戸の水から1リットル当たり4700ベクレルのトリチウムが検出されるなど、「下部透水層」と呼ばれる深さ25メートル余りの層で地下水の汚染が明らかになっています。
東京電力が詳しく調べたところ、この「下部透水層」の水圧が、浅い地下水の層より低くなっていて、汚染水が広がりやすい状況になっていることが分かりました。
「下部透水層」の水圧が低くなった原因について、東京電力は、同じ25メートル余りの深さまで掘削が行われる、護岸沿いの海側遮水壁と呼ばれる壁の建設工事が影響している可能性があるとしています。
汚染水は「下部透水層」を通じて海に流出しているおそれがあるため、東京電力はことし秋を予定している海側遮水壁の完成を急ぐことにしています。
海側遮水壁工事はまだ終わっていないようだ。それではなぜシルトフェンスは撤去されたのだろうか?
*情報を収集して続報します。
1号機,2号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆2号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
3号機 ~凍土遮水壁工事準備のため使用済燃料プールの冷却を停止~
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中。(平成26年6月16日午後2時42分~)
加えて、凍土遮水壁工事の準備のため使用済燃料プールの冷却を停止したことを発表
※平成26年6月24日午前6時10分、使用済燃料プール代替冷却系について、凍土遮水壁の準備作業の一環として変圧器受電ケーブル移設を実施するため冷却を停止(停止時プール水温度:23.5℃)。停止時間は約10時間を予定しており、冷却停止時のプール水温度上昇率評価値は0.117℃/hであることから、停止中のプール水温上昇は約2℃と評価。運転上の制限値65℃に対して余裕があり、使用済燃料プール水温管理上問題はない。
4号機~6号機
新規事項なし
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
地下水バイパス揚水井
新規事項なし
※地下水バイパス揚水井No.1~12のサンプリングを継続実施中。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
漏洩を起こした後、パトロール強化やサンプリング検査が行われているタンクエリアの位置関係をGoogleMapのキャプチャ画面でチェック。
◆最新のパトロール
平成26年6月23日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側の状況
新規事項は公表されていない。
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年6月24日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: