推定原因はタンク蓋の開口部分から雨水が入って水位が上昇、水漏れ。レベル3事象のタンク堰から移送された水のタンクなのに管理対象外
6月5日(木日曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。
ノッチタンク漏えいの推定原因を日報に記載
<漏えいに至った推定原因>
平成25年10月頃、当該ノッチタンク群に堰内雨水(平成25年8月に漏えいが発生したH4エリア堰内雨水を含む)の移送を実施し、その際、ノッチタンク天板からの水位を20~30cmで移送を終了した。その後、タンク天板の開口部から雨水が進入しタンク水位が徐々に上昇したため、タンク天板上部から11cm下にあるボルト穴から滴下に至ったものと推定。漏えい水が混入したノッチタンク群周辺堰内の溜まった水(約4m3)については回収を完了。なお、漏えい発見時において堰外への漏えいがないことを確認しているが、当該堰については、堰内雨水を一時貯留するものであったことから、管理対象外としており、漏えい範囲については、堰外も含めて調査を継続する。
言葉は悪いが、さらに墓穴を掘っている。「堰内雨水を一時貯留するもの」としたタンクなのに昨年10月に移送してから溜めっぱなしで放置していたということになる。一時貯留だから管理対象にもしていなかったと……。
1号機
新規事項なし
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
2号機 ~高濃度滞留水の移送を停止~
1号機と同じ4項目に加え、高濃度滞留水の移送停止を記載
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送実施(平成26年5月29日午前10時35分~平成26年6月5日午前9時7分)
3号機 ~高濃度滞留水の移送を停止~
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
加えて、高濃度滞留水の移送停止を記載
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)へ高濃度滞留水を移送実施(平成26年5月19日午前10時6分~平成26年6月5日午前9時29分)
4号機~6号機
新規事項なし
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備の状況
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)停止中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
地下水バイパス揚水井の状況
新規事項なし
※地下水バイパス揚水井No.1~12のサンプリングを継続実施中。
焼却工作建屋の水位、焼却工作建屋西側サブドレン水の分析結果
<最新のサブドレン水サンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
<最新のパトロール結果>
6月4日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側の状況
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機サブドレン観測井の状況
新規事項なし
地下貯水槽の状況
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年6月5日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: