漏れた水は「たったの1m3」と言わんばかりの記事の扱い。詳細説明はなく。側溝ないから海への流出はないとする東京電力の日報をしっかり読んでみたら。。
4月13日(日曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。
プラスチックタンクに穴があいて、中の汚染水が全部漏れ出す
プラスチックタンクに入れていた水が全部抜けちゃいました。空っぽになっちゃったからもう流出はしていません。タンクには下の方に穴があいてたみたいです。採取した水のベクレルはこんな感じです。
タンクの大きさが1m3なんで、漏れた水は一番大きく見積もっても1m3。近くに側溝がないから海に流れ出すことはないと思います。
――といった報告。
※ 4月13日午前8時40分頃、協力企業作業員によるタンクパトロールにおいて、H5タンクエリア脇に設置したプラスチックタンクに貯水した水が抜けていることを発見。
当該タンク下部には傷があり、水はほぼ抜けているため、タンク内水の流出は止まっている。
流出した水の表面線量はバックグランドと同等であった。プラスチックタンク内の水の分析結果(4月13日採取)は以下のとおり。
・セシウム134:440 Bq/L
・セシウム137:1,200 Bq/L
・全ベータ:1,400 Bq/L
・ストロンチウム90:11 Bq/L *簡易測定結果
プラスチックタンク容量は約1m3であることから、最大の漏えい量は1m3と推定。
漏えい水は、当該タンク周囲(約15m×約3mにおける1/4程度の範囲)に留まっており、周囲に側溝が無いことから海への流出は無いものと考えている。引き続き、漏えい状況および原因等を調査中。
Hエリアなどタンクが設置されているのは、原子炉建屋よりも一段高台になった場所。さらに海側(地下水の下流側)では「地下水バイパス」のための水の汲み上げが進められています。
高濃度の汚染水が地面にしみ込んで地下水と混ざってしまったら、地下水バイパス計画もおじゃんになってしまう可能性があります。
漏れた量は少ないし、水がこぼれたところは土ごと除去するから地下水への影響はないということなのでしょうが、「今回はたまたまラッキー」だったと考えて掛からないと、Hエリアでのタンクからのさらに大規模な水漏れが起こらないとも限りません。これまで何度も繰り返されてきたように。
1号機~6号機
新規記載なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆2号機
1号機と同じ4項目
◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年3月12日午後3時48分~)
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備の状況
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
加えて、集中廃棄物処理施設での汚染水の移送を報告
・4月13日午後1時57分、集中廃棄物処理施設において、サイトバンカ建屋からプロセス主建屋への溜まり水の移送を開始。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
<最新のパトロール結果>
4月12日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。また、堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による水位監視(トレンドによる監視または警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側の状況
サンプリングについて記載
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機サブドレン観測井の状況
新規事項なし
地下貯水槽の状況
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年4月13日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: