寒波と低気圧の接近が予想される中、2014年2月8日の「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」では新しい動きがありました。
冒頭特記事項
※低気圧による荒天が予想されることから、物揚場復旧工事に使用しているクレーン船を取水路開渠内に待避させるため、2月8日午前8時45分から午前9時15分にかけて、1~4号取水口付近に設置したシルトフェンスの開閉を実施。
シルトとは、砂より細かく泥より粒径の大きな粒子のこと。フロートから海中にカーテン状の幕を垂らした構造のシルトフェンスを設置することで、汚染された海中にある粒子を沈下させ拡散を低減させる狙いで設置される海中カーテン。
予想される荒天からクレーン船を取水路に避難させるため、汚染物質拡散を低減させる目的の海中カーテンを開きましたという内容です。
1号機〜6号機
昨日の記載内容からの新規事項(アンダーライン表示)はありません。
1号機では、
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
との処置がとられ、2号機3号機も同様。ただし、3号機ではタービン建屋から集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水の移送を続けています。
※2号機タービン建屋から3号機タービン建屋へのバケツリレー的な高濃度滞留水の移送は停止したままです。
4号機では使用済燃料プールから共用プールへの燃料移動が続けられているという記載ですが詳細は公表されていません。
5号機6号機は「冷温停止中」で「使用済燃料プール冷却浄化系運転中」とのこと。
共用プールと水処理設備および貯蔵設備の状況
これらも新規事項はないとのこと。
H4エリアタンクおよび周辺排水路の状況
最新のパトロール結果のみ新規事項としてアンダーライン表記。
<最新のパトロール結果>
平成26年2月7日のパトロールにおいて、新たな高線量当量率箇所(β+γ線(70μm線量当量率))は確認されていない。また、堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
日付以外は前日と同じ内容。サンプリングの分析についても、
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
とのこと。セシウムと異なり、ストロンチウムは分析に日数がかかるので、危険度が高いと指摘されているストロンチウム90を含む「全ベータ」として数値が暫定的に公表されていると理解していますが、ストロンチウム90の濃度については、まだ記載されていません。
1~4号機タービン建屋東側の状況
地下水観測孔No.1-6のサンプルを初採取した分析結果から「トリチウム:110,000 Bq/L」との記載が新規に追加されました。全ベータの記載は変更ありません。
2月6日、地下水観測孔No.1-6のサンプリングを実施(初採取)。分析結果は以下のとおり。
[地下水観測孔No.1-6の分析結果:2月6日採取分]
・トリチウム:110,000 Bq/L
・全ベータ :560,000 Bq/L
また、2月7日に初採取された地下水観測孔No.2-9の分析結果が公開されました。
2月7日、地下水観測孔No.2-9のサンプリングを実施(初採取)。分析結果は以下のとおり。
[地下水観測孔No.2-9の分析結果:2月7日採取分]
・全ベータ :1,700 Bq/L
「その他の分析結果については、前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。」との記載です。
地下貯水槽の状況
新規事項は、最新のサンプリング実績のみ。
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年2月8日分の変更箇所についてピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: