2014年2月27日 今日の東電プレスリリース

iRyota25

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東電の「日報」への記載はタイムラグがあることもあるのですね。ALPSのA系統が停止したことが27日付けで報告されています。というわけで、今日も「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」を、前日からの変化や変更を中心にチェック。東電の日報でアンダーライン表示される新規事項は、本文を引用する形で掲載します。

 福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年2月27日
www.tepco.co.jp  
 東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響について|東京電力
www.tepco.co.jp  

「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」の一覧ページ。過去の「日報」との比較に役立ちます。

冒頭特記事項

トップに記載されたのは、その「ALPSのA系統停止」の件。

※2月26日午後0時21分、多核種除去設備(ALPS)において、インバータ故障警報が発生し、3系統(A系,B系,C系)あるうちの1系統(A系)のブースターポンプ*No.2が停止。これに伴い、A系が循環待機運転に移行。今後、現場状況等を調査する。

*ブースターポンプ:鉄共沈処理(有機物の除去、α核種の除去)や炭酸塩沈殿処理などをした水を吸着塔へ送るポンプ

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年2月27日

1号機

新規事項の記載なし。

・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

2号機

1号機の4項目に加え、
・2号機タービン建屋→3号機タービン建屋へ高濃度滞留水を移送中(平成26年2月22日午前10時37分~)

さらに新規事項として、
炉心の上からシャワーのように水をかけて冷やすスプレイ系を、今後の作業・工事の際に停止する必要があることを見越して、全量注水系(お風呂に水を溜めるようなイメージか)に切り替える試験をしてきたが、安全を確認したので元のスプレイ系・注水系の併用に戻したとの報告。

※2号機原子炉注水については、今後の作業や工事において、炉心スプレイ系を停止して給水系で全量注水する対応が必要となることから、事前に給水系の全量注水試験を実施し、原子炉冷却状態への影響を確認することとしており、原子炉注水総量(4.5m3/h)を維持しながら、段階的に炉心スプレイ系から給水系に乗せ替える操作を実施。
2月17日より、給水系にて全量注水を行ってきたが、監視パラメータは安定しており、原子炉冷却状態に異常がないことを確認したことから、2月27日午前10時50分、原子炉注水流量の調整を以下の通り実施(原子炉注水総量は変更なし)。
 炉心スプレイ系原子炉注水流量:0.0 m3/hから2.5 m3/h
 給水系原子炉注水流量:4.5 m3/hから2.0 m3/h

なお、調整後の原子炉注水流量は安定しており、圧力容器底部温度等に有意な変動は確認されていない。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年2月27日

3号機

1号機の4項目に加え、高濃度汚染水のバケツリレーについて記載。
・3号機タービン建屋→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年1月24日午後2時37分~)

さらに新規項目として、使用済燃料プール代替冷却系のクーリングタワーでの冷やし方を、水の散布とファン冷却の併用から、ファン冷却のみに切り替える(冬の寒さ対策として)作業が、A系統のファンベルトのゆるみから延期していたのを、ファンベルトの調整完了で散布停止の影響の影響調査に入ったとの記載。

※ 2月24日、使用済燃料プール代替冷却系の二次系冷却塔へのろ過水散布水停止の影響を確認するため、現在使用している冷却塔B系をA系に切り替えて行う予定であったが、冷却塔A系のファンベルトに緩みが確認されたため中止。その後、冷却塔A系のファンベルト調整が終了したことから、2月26日午後2時に冷却塔をB系からA系へ切替えて散布水停止の影響調査を開始。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年2月27日

そろそろ3月になろうかという今頃なぜ、などとは言うまい。今後の寒波と、来冬に向けての前向きなテストだということでしょう。冬期の気象条件の中で、試せることは出来る限りテストしておきたいということだと思います。

4号機〜6号機

新規事項なし。

◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

新規事項なしとはいえ、一昨日にはこの3機とも冷却関係のトラブルを起こしていたんですよね。それぞれの事象は収束したとは言え、ちょっとあっさりし過ぎじゃないか?という感情は残ります。

共用プール・水処理設備および貯蔵設備の状況

新規事項なし。

◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中

多核種除去設備(ALPS)のB系統は生きているとは言え、ほか2系統は止まっているということを記載して欲しかった。
ちなみにホット試験とは、実際の汚染水を使っての試験ということだそうです。

◇その後リリースされた「報道関係各位一斉メール 2014年」によると、

22時47分に当該ブースターポンプを起動し、運転を再開、とのことです。

 汚染水処理設備にて処理した廃液を用いた試験(ホット試験)を行っていた多核種除去設備(ALPS)において、2月26日午後0時21分、A系のブースターポンプNo.2が停止し、A系が循環待機運転に移行した件の続報です。

 ブースターポンプモータ、インバータ及び付属機器等の調査を行っておりましたが、ブースターポンプ用インバータにて「地絡」が発生したことが分かりました。

 このため、インバータ内部に異常がある可能性が高いことから、当該インバータ等を交換いたしました。

 その後、本日22時47分に当該ブースターポンプを起動し、運転を再開いたしました。当該ブースターポンプ起動後の運転状態に異常はありません。

福島第一原子力発電所 多核種除去設備(ALPS)A系の処理再開について|東京電力 平成26年2月27日

H4エリアタンクおよび周辺排水路の状況

引き続きタンクの監視と、タンク周辺のサンプリングを実施していると記載。新規事項はパトロール結果とサンプリング実績。

<最新のパトロール結果>
2月26日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。また、堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による水位監視(トレンドによる監視または警報監視)においても異常がないことを確認。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年2月27日

※H4エリアIグループNo.5タンクからの漏えいを受け、福島第一南放水口付近、福島第一構内排水路、H4エリアタンク周辺および地下水バイパス揚水井No.5~12のサンプリングを継続実施中。

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年2月27日

1~4号機タービン建屋東側の状況

もっとも海に近いエリアの、主に地下水の汚染状況についての記載。
新規事項は、最新のサンプリング実績について。

<最新のサンプリング実績>
2月25日に採取した地下水観測孔No.2-6について、セシウム134が前回値の検出限界値未満(0.44 Bq/L)より上昇し5.0 Bq/L、セシウム137が前回値0.78 Bq/Lより上昇し12 Bq/Lであることを確認。

当該地下水観測孔のセシウム134およびセシウム137の分析結果は、これまで検出限界値未満か、検出限界値をわずかに超える程度であったが、今回10倍以上の値が確認されたことから、2月26日に再採取し、分析した結果、セシウム134が0.55 Bq/L、セシウム137が1.4 Bq/Lと以前と同等の値に戻った。

2月25日の採取試料の濁度は5ppm以下だったが、わずかの懸濁物も一緒に採取したものと考えている。

また、2月26日、地下水観測孔No.2-8のサンプリングを実施(初採取)。分析結果は以下のとおり。

<地下水観測孔No.2-8の測定結果:2月26日採取分>
 ・全ベータ:1,000 Bq/L

採取試料の濁度が高く、ガンマ核種については測定できていないことから、全ベータ放射能濃度についても参考値とするが、近傍の地下水観測孔No.2-6およびNo.2-9と同等の値であった。

その他の測定結果は、前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年2月27日

濁っていようが、透明度が高かろうが、採取されたサンプルの検査結果という事実に変わりないと素人的には考えてしまうが、地下水そのものの汚染度が高いか、周りの汚染物質が落ちて混ざって高くなった可能性があるか、とでは大きな違いがあるということらしい。

落ちて混ざって高くなるようなものが、海近くの地表にたくさん存在するという問題への対処が進むことを願う。

何しろ、その場所に入って測定したり検査したりできるのは、基本的に事業者たる東京電力だけなのだから。たいへんな作業とは思うが、頑張ってほしい。作業を担っている方がたにエールを送ります。(と同時に、無理をしないでと強く申し上げたい。安全と健康を第一に作業を進められますように!)

地下貯水槽の状況

止水の不備から貯水槽として利用できなくなった地下貯水槽。新規事項としては最新のサンプリング実績を記載。

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年2月27日

 福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年2月27日
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以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年2月27日分の変更箇所についてピックアップしました。
構成●井上良太

 【ぽたるページ】今日の東電プレスリリース「ここがポイント」
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