GWにおすすめ。東京から日帰りで行く久之浜(PLAN-2)

iRyota25

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海辺から住宅街に向かいます。細い路地のアスファルトが火災で焼け焦げています
海辺から住宅街に向かいます。細い路地のアスファルトが火災で焼け焦げています

住宅地の中には、跡地に花壇や祭壇を設けているところもあります。色とりどりの花を囲むのに使われているのは、家の瓦や食器、庭石など、思い出深いものたちなのでしょうか。

海のすぐ近くにも関わらず、奇跡的に社殿が流されなかった稲荷神社の周辺は、津波の勢いが激しかったところだといいます。建物が撤去された跡に祭壇が設けられた敷地が点々とみられます。
三月のひな祭りのメッセージや色紙が飾られた祭壇の様子は、涙でよく見ることができませんでした。

いったん十字路に戻り、商店街だった通りを南に向かいます。無傷に見える建物が通りに沿って3棟。遠くに見えるのは土蔵です。手前に向かい合って残っている二棟の左側は駄菓子屋さんのあかもの屋さん、向かいは食品スーパーのはたやさん。どちらのお宅も1階は津波で大きな被害を受けています。

そして、この商店街は津波とともに火災でも大きな被害を受けた場所。街灯に注目してください。

火災で焼かれガラスが溶けています。
震災の当日、町の消防団の人々は火を消すために奮闘しましたが、繰り返し出される津波警報のたびに避難を余儀なくされ、消失面積が拡大していったのだそうです。消したいのに消せなかったくやしさ。ここは自分たちが生まれ育った町なのに。
溶けた街灯のガラスは、町の人たちの無念を物語っているようにも見えます。

商店街を200メートルほど南に歩いて振り返ると、意外なほどの高度感に驚かされます。
でもこの辺りでも、激しい勢いの津波で1階が水没するほどの被害に見舞われました。

久之浜の復活に向けて、震災直後にボランティアさんたちの拠点ともなっていた諏訪神社です。
こちらの社務所を前線基地として、側溝の泥出し、解体される住宅の片付け、数々のイベント企画など、町の再生と発展を目指すさまざまな活動が展開されました。

さらに南へ進むと、浜風商店街のアイドル的なおかあさん、斉藤キヨ子さんが九死に一生を得た自宅店舗があります。町の人たちの心を鼓舞する言葉が胸を打ちます。この場所は1階の天井まで浸かる津波に襲われる中、80代の女性がひとりで生き延びた場所。そこにこんな言葉が並んでいるのです。

人間のすごさを感じさせられる場所です。


さて、ここまで歩いたら、そろそろ浜風商店街に向かいましょうか。久之浜は町がコンパクトなので、町の見学時間はゆっくり歩いて回っても1時間半くらい。商店街には、これまで見て回った町に住んでいた方たちがお店を出していらっしゃいます。

商店街へは来た道を少し戻って、高木屋旅館さんの角を西に曲がります。ちょっと分かりにくいので地図をご確認ください。

浜風商店街は駅向こう。いわき市立久之浜第一小学校のグラウンドにあります。
高木屋旅館前を西に進み、南荒蒔の交差点を渡って、常磐線の線路は南側の小久街道踏切で渡ります。

だまし看板!
だまし看板!
この踏切を渡ります
この踏切を渡ります
踏切の名は小久街道踏切
踏切の名は小久街道踏切

線路を南に迂回していくと、踏切のところに浜風商店街の案内看板。しかし、方向が正反対です。
この看板、逆方向から来る人のために設置されたものなのに、なぜか風で回ってこちら向きになっていることが多いのだとか。要注意ですよ。

線路を渡って5分ほど。高木屋旅館さんからだと10分ちょっとで小学校に開設された「浜風商店街」に到着です。

商店街は震災の記憶を伝えてくれるベース

商店街のほぼ真ん中にある「久之浜ふれあい情報館」には、震災当日の写真や、かつての町並みを再現した模型など、現在までの久之浜のあゆみを伝える資料が取り揃えられています。
さらに、地震と津波の後に発生した火災に商店街が呑み込まれていく様子を撮影した写真も。とてもつらい写真ですが、あの日、久之浜の町で何が起きたのかを伝えています。

浜風商店街に入居しているお店が付箋で示されています
浜風商店街に入居しているお店が付箋で示されています

それだけではありません。ふれあい情報館でお話を聞いていると、商店街のお店の人たちがやってきて、あの日のこと、いまの生活のこと、将来のことなど、たくさんお話を聞かせてくれるのです。

初めての人でも、まるで「お帰りなさい」と呼びかけるかのような親しみを込めて、お店の方たちの方から話しかけてくれます。

「伝えたい」という皆さんの気持ちを大切に、たくさんお話を伺ってください。

コーヒーでも飲んでいかない?

商店街で声を掛けられたら、ぜひお茶していってくださいね。

浜風商店街にお店を出しているのは、上の写真の皆さん。
入り口から順に紹介すると、

あかもの屋さんは駄菓子屋さん。かつての子どもの「おとな買い」も大歓迎!
からすや食堂さんはラーメンとカツカレーと餃子が絶品。目指せ全メニュー制覇!
シューズショップさいとうさんには、津波から生還したキヨ子さんがいます!
石井魚店さんは町で人気の魚屋さん。丁寧につくられた干物は最高です!
プラネットさとうさんは電器屋さんですが、商店街のお茶っこベースです。
スガハラ理容さんに行けば、津波から復活した奇跡のハサミで調髪してもらえるかも。
白土設計事務所のご主人は津波で全身傷だらけになりながら消防団を指揮した人!
リカーランドてんぐやさん。津波で商品はダメになったけど、復活にむけ前進中。
商店街のまとめ役、食品スーパーのはたやさんの人気商品はお弁当やお惣菜。

最終更新:

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  • H

    habihabi64

    どこにもないガイドブックで、子供達を連れて浜風商店街に行きたいと思いました。伺った際にはしっかり「こんにちは」が言えるよう、被害に合われた町でのマナーに気をつけます。そして久之浜で子供達が感じる思いを知りたいです。