日本サッカー協会は2月18日、3月6日からポルトガルで開催されるアルガルベ杯に臨むサッカー日本女子代表の23名を発表しました。若手中心で編成された新メンバーには、ベテランの澤穂希、宮間あや、大野忍、近賀ゆかりらの主力組の召集は見送られました。発表されたメンバーは以下の通りです。
GK:海堀あゆみ、久野吹雪、山根恵里奈
DF:岩清水梓、鮫島彩、有吉佐織、川村優理、長船加奈、加戸由佳、熊谷紗希
MF:川澄奈穂美、田中明日菜、宇津木瑠美、山崎円美、中島依美、高瀬愛実、田中陽子
FW:大儀見優季、小川志保、永里亜紗乃、大滝麻未、京川舞、田中美南
佐々木監督が望む若手への期待
佐々木則夫監督は「今回のアルガルベ杯はあえてベテラン組を外して若手を多く起用した。ベテラン組と若手組との融合は今年の秋を予定している」というコメントを述べました。それに加えて「チャンピオンプレートをユニフォームに付けているからには勝ちにいく」と宣言しています。
今大会は今までチャンスを与えれなかった若手を多く試し、2年後のワールドカップで戦える新戦力の発掘と育成に重点が置かれています。注目されているのは、U-20W杯で全国区の知名度を得た田中陽子、田中美南。そして怪我から復帰した京川舞の3選手です。新戦力を基にどのような戦略を立てて勝ち進むのか?佐々木監督の胸中を考察してみたいと思います。
フォーメーションは定番の4-4-2か、それとも4-2-3-1か?
女子日本代表はワールドカップやオリンピックなど、主要な大会は4-4-2システムを採用してきました。左右の攻撃的MFが大きくサイドに開き、中央のスペースにボランチが積極的に飛び込んで得点を狙い、2トップに決定力のある選手を置いてゴールを狙います。4-2-3-1はU-20女子代表が採用したシステムで、前線にキープ力のあるフォワードを1人置いてタメを作り、トップ下の3人がフォワードを追い越すような動きで中盤から前線に押し上げてゴールを狙います。いずれにせよ、選手の個性を最大限に生かしたシステムを採用する必要があります。
対戦相手や戦況によって柔軟にシステムを変更していくと思いますが、基本的には従来の4-4-2システムで戦う可能性が高いでしょう。今回の代表メンバーを見た場合、大儀見優季、永里亜紗乃、京川舞という決定力のあるフォワードが選出されています。フォワードを1人に限定してしまえば得点力も半減するでしょう。さらに田中美南、川澄奈穂美、鮫島彩など、破壊力のあるサイドアタッカーを揃えている点も見逃せません。両サイドから崩して中央に構える2人のストライカーに合わせるのが最良の攻撃パターンではないでしょうか。佐々木監督はDF鮫島のポジションを1つ上げてサイドハーフで起用する方針も示唆しています。
田中陽子、田中美南、京川舞の起用法は?
新戦力として大きな注目を浴びている3選手の起用法はどうでしょうか。田中陽子に関しては4-2-3-1のトップ下か両サイドで起用する構想がありました。U-20W杯で5試合6得点を奪った高い得点力をゴールに近い位置で使おうとする意図があるのでしょう。しかし、本人はボランチに強いこだわりを持っているようです。仮に4-4-2システムのボランチの一角に起用された場合、中盤の真ん中に大きなスペースが空きます。田中陽子が中央から積極的に押し上げて行けば、ゴールに近い位置でボールを持つ場面も増えます。澤穂希の後継者と目される田中陽子が、秘めた得点力を発揮してポイントゲッターとなる可能性もあり得るでしょう。
右サイドを主戦場とする田中美南は4-4-2でも4-2-3-1でも右サイドハーフで起用されるでしょう。フォワードでも出場機会があると報じられていますが、日本でも随一の突破力を誇るサイドアタッカーを生かすにはサイドハーフでの起用が適任だと思います。怪我から復帰した京川舞は2トップの一角として起用されると思います。大儀見優季や大滝麻未など、高さとキープ力に優れたターゲットマンをパートナーとして、シャドーストライカーの本領を発揮するのではないでしょうか。なでしこリーグ4試合連続ゴールを奪う鮮烈なデビューを飾った姿が呼び起こされます。
攻撃の軸は大儀見優季、川澄奈穂美、鮫島彩か?
若手中心のメンバーで挑むアルガルベ杯ですが、勝ちにいくと監督が宣言した以上は攻撃の選手は従来の主力選手を使う可能性が高いと思います。フォワードには大儀見優季をレギュラーに配置し、京川舞や永里亜紗乃らを交互に起用すると思います。中盤の軸は川澄奈穂美、最終ラインは鮫島彩を中心に攻撃を展開すると思われます。フレッシュな若手とリーダーシップのある中堅選手をバランスよくミックスしたチーム編成になるでしょう。新生なでしこジャパンがどのような戦いを見せるのか、興味深い内容になりそうです。
最終更新: