【なでしこジャパン】 日本VS中国・・・格下に1-0辛勝!選手の個性を重視した戦術を求める 《アルガルベ杯》

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2013年3月6日より、アルガルベ杯がポルトガルで開催されています。女子サッカーの国際大会としては、オリンピック、ワールドカップに次ぐ格付けを誇るアルガルベ杯。今回は5位決定戦、日本VS中国の対戦レポートをお届けします!

5位決定戦は中国とのアジア対決となった

予選グループで1勝2敗の成績を残したなでしこジャパン。順位決定戦を中国代表と5位を争うことになりました。かつて世界の強国と呼ばれた中国代表も2011年女子W杯、2012年ロンドン五輪の出場を逃しており、大胆な世代交代を図って代表チームの強化を進めています。

日本のシステムはこの大会を通して4-4-2。DFは左から有吉、熊谷、長船、加戸。ボランチは宇津木と山崎。サイドハーフは左に川村真理、右に中島。フォワードは大儀見と大滝の2トップという布陣。日本の狙いはキープ力に長ける大儀見と大滝をポストに使い、2~3列目が積極的に前線に飛び出して組織でディフェンスを崩すことにありました。

対する中国のシステムは4-2-3-1。前線から最終ラインまでの距離をコンパクトに保ち、中盤で激しいプレッシングをかけてボールを囲い込み、縦に速いカウンターで一気にゴールを狙う作戦に出ます。運度量とスピードを前面に押し出して組織で戦う戦術は日本と酷似していました。

セットプレーから大儀見のゴールで1-0の辛勝

スピードと運動量をストロングポイントにしている両チーム。日本も中国も組織的な守備でプレスをしかけ、中盤で互いの動きを潰しあうような消耗戦になりました。日本はトップの大滝麻未と大儀見優季にクサビのボールが入らないことでタメが作れず、2列目が押し上げられずに中盤が間延びしてしまいます。

中国の速いチェックを受けたボランチの宇津木と山崎は前を向いてボールを持つことができませんでした。サイドへの展開力に欠ける日本は、サイドバックの有吉と加戸がオーバーラップする機会を失い、バイタルエリアに攻撃の人数をかけることができずに苦しみました。

大儀見はトップからズルズルと中盤に下がってボールを貰いにきますが、キープしても中盤で孤立してDFに潰されてしまいます。後半23分、フリーキックのチャンスを得た日本。中島が左足で糸を引くようなボールをペナルティエリアに供給。ファーサイドでフリーになった大儀見がダイレクトボレーで豪快にゴール!これが決勝点となって日本は辛くも中国から1-0の勝利を挙げました。

ゲームメーカー不在の日本、ビルドアップに問題を抱えた

今大会を通じて大きな問題だったのはボランチからの展開力にありました。ほぼレギュラーとして出場した宇津木瑠美のビルドアップ能力が進化したことは大きな収穫と言えます。しかし、宇津木とボランチのコンビを組んだ山崎、田中陽子、田中明日菜は前線に効果的なパスを配球できず、ゲームの流れを止めていました。

宇津木はアンカーとしてディフェンスラインをカバーする守備的な役割を担っていましたが、パートナーである山崎や田中明日菜との縦関係を築くことができませんでした。4-4-2システムの場合、ボランチのどちらかが攻撃者としてフォワードを追い越していく動きを見せないと、中央を崩すことができません。

ボランチがバイタルエリアに侵入して、中央にDFを集中させることができなければサイドにスペースができず、サイドバックがオーバーラップする機会も得られません。ボランチは左右にパスを散らしながらも、ペナルティエリアに飛び出していくフリーランを求められます。ボランチの攻撃参加はなでしこの組織的なパスサッカーの要となる最重要パーツと言えます。

4-4-2システムへの固執をチームバランスを失った要因か?

今大会、代表に召集された選手には大きな収穫と発見がありました。DFの加戸由佳、FWの田中美南はA代表でも戦力になることが証明されました。その一方で田中陽子はボランチとしてチームに上手くフィットできず、悔しい代表デビューとなったかもしれません。フォーメーションを4-4-2から4-2-3-1へ変更し、田中陽子をトップ下に配置するなど、選手の個性と適性を生かすためにより柔軟なシステムに挑戦する必要があったのではないでしょうか。

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