世界自然遺産の島々 ~その6.ヨーロッパ南部~東部編~

tanoshimasan

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 世界自然遺産をご存知でしょうか。ユネスコが登録する世界自然遺産は国際的な自然保護団体である国際自然保護連合(IUCN)によって評価されます。なんだか難しそうな話ですが、人々にとって何物にも代えがたい貴重な自然が、世界自然遺産として守られているのです。 このシリーズでは世界自然遺産の中でも離島に限定して紹介していきたいと思います。日本では屋久島と、小笠原諸島(父島・母島)が世界自然遺産に登録されていますが、世界を見渡しても、両島に匹敵する“世界遺産島”が盛りだくさん!

 せっかくなので、ちょっとまとめてみました。なかなか凄い島ばかりです。いやはや、世界は広し。

その6.ヨーロッパ南部~東部編

ヨーロッパ南部から東部にかけて紹介します。ヨーロッパは圧倒的に文化遺産が多く、建造物を中心に美しい景色が印象的。そのぶん、自然遺産に選定される島々は本土から離れており、まるで別世界のような様相が人気となっています。

一部の島々は、距離的にはアフリカ大陸に近く、生態系も大きく異なります。典型的なヨーロッパとはまた違ったイメージを抱くかもしれませんが、それがまた興味深くもあります!

マデイラ島の照葉樹林(ポルトガル・マデイラ島)

マデイラ島はポルトガルに属する離島です。ポルトガル本土の南西に位置し、緯度は真東にあるモロッコのカサブランカ、日本では八丈島、大分県の中心部と同程度にあたります。ヨーロッパ諸国から見れば、いわゆる“南の島”であるため、南国風情を求めてヨーロッパ各地から多くの観光客が訪れるようです。

本土と同様にサッカーが盛んで、クリスティアーノ・ロナウドの出身地と言えばピンとくる人もいるのではないでしょうか。さて、そんなマデイラ島ですが、世界遺産となっているのは山岳地帯に広がる照葉樹林。かつて、ヨーロッパでは至る所に照葉樹林が広がっていたそうです。ところが、約258万年前から約1万年前(更新世)に訪れた氷河期を経て、そのほとんどが消滅し、マデイラ島含め、ごく一部にしかその植生は残っていません。このため、太古の自然として知られ、学術的価値の高さから注目されるに至りました。「遺存型照葉樹林」と呼びます。

この照葉樹林に代表されるように、マデイラ島は山岳地帯にこそみどころが豊富。中でもむき出しの岩肌が広がる光景は圧巻です。(参考画像はこちら)

(参照ページ:http://hamusoku.com/archives/7247038.html)

 
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ガラホナイ国立公園(スペイン・ラ ゴメラ島)

上のマデイラ島から真南へ500kmほど離れた距離にあるのがスペインの7つの島々・カナリア諸島。その島々を西から数えて3番目に位置する円形の島がラ ゴメラ島です。

このガラホナイ国立公園には、上で紹介したマデイラ島と同様の照葉樹林があり、1986年に世界自然遺産登録となりました。そのため、太古より存在していた植物や昆虫類の残存種がみられるなど、貴重な自然が残っています。スペインの離島ではありますが、アフリカ大陸に近い離島であり、少しスペインのイメージとは離れているかもしれません。雨量こそ少ないものの、貿易風による湿った風の影響のせいか鬱蒼とした雰囲気が感じられます。

(参考画像はこちら)

 
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テイデ国立公園(スペイン・テネリフェ島)

ラ ゴメラ島の隣にあるのがテネリフェ島。屋久島4つ分の面積(2034km2)を持ち、富士山級のテイデ山(3718m)がそびえ立ちます。

世界自然遺産としてもこのテイデ山に注目したいところ。このテイデ山は世界有数の火山島として知られ、日本の桜島や雲仙と同じく特定16火山のうちのひとつに指定されています。火山島としての規模(標高)は世界第3位。富士山級の標高と述べましたが、海底からの高さを含めると、その大きさはおよそ7500mにも及びます。現在、火山活動は休止状態にあるものの、歴史的には噴火を繰り返しており、噴火の程度によっては主要港や集落を壊滅させたこともあるとか。それでも、現在は90万人近い人口がテネリフェ島で暮らしています。人気の高いトレッキングコースや、景観が世界文化遺産に選定された大学都市「サン・クリストバル・デ・ラ・ラグーナ」など、観光資源に富み、年間を通じても多くの観光客が訪れます。

(参考画像はこちら)(参照:http://www.franceotoko.com/2012/06/blog-post_15.html)

 
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エオリア諸島(イタリア)

イタリア南部、地中海上にあるのがエオリア諸島。この島々では火山島として現在も継続的に火山活動が見られ、その噴火様式が世界各国の火山のモデルになるほど。その存在が火山の研究に役立っているという、これまた個性的な島々なのです。

島々は合計7島ありますが、なかでも代表的な存在がストロンボリ島と、ヴルカーノ島。それぞれストロンボリ式噴火、ブルカノ式噴火という様式で噴火活動を行っています。理科の教科書などで、見た覚えがある人も多いのでは。余談ですが、英語で「火山」を意味する “volcano” は、このヴルカーノ島が由来だそうです。火山を眺める観光も人気で、特に夜のストロンボリ島の暗闇に光るマグマを目当てにナイトクルーズなどのツアーが行われているそうです。なかなか見れる光景ではないですね!

そんな猛々しい火山とは裏腹に、島々の落ち着いた集落もまた人気。離島らしい雰囲気に白い石造り建造物群がマッチしており、雰囲気も抜群です。(参考画像はこちら)

 
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バイカル湖(ロシア・オリホン島)

ロシアの南東部にある三日月型の湖。世界で2番目に大きく、琵琶湖の面積の46倍を誇ります。世界でも屈指の生物多様性に富んでおり、その自然美や生物学的価値の高さが評価され、1996年に世界自然遺産に登録されました。はるか昔、バイカル湖は海溝だったとされています。長きにわたる地殻変動を経て大陸に取り込まれ、次第に淡水化していきましたが、深さが湖としては世界最深の1741mに及ぶなど、海溝時代の名残も残っています。

湖には多くの生き物が生息。チョウザメや、バイカルアザラシなどはその代表的存在です。暮らしている生物の80~90%が固有種とされており、現在もなお調査が進められています。バイカル湖上には22もの島があり、オリホン島はその中で最大。奄美大島に匹敵する面積を持ち、およそ1500人の島民が暮らしています。

(参考画像はこちら)

 
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