来年は本格的に放射能のないコメ作りを。
自分たちの活動や、つくるコメの安全性おいしさをお客さんに伝えていくことも課題になる。
谷平安一さん(福島県いわき市大久)農業
久之浜地区は海の町。西隣の大久地区は農業の豊かな実りに恵まれた山の町。おいしいお米の産地として知られてきた。
しかし、そこに文字通り降ってわいた放射線のわざわい。情報が混乱する中、今後も農業を続けられるのか、多くの人たちが不安をいだいた。その年の耕作を中止せざるをえない人も少なくなかった。放射能に負けないコメ作りを続けてきた人たちの集会で谷平さんが語っていたのは、「できる限り可能性を突き詰めよう」ということだ。谷平さんは、耕作を中止した農家からも田んぼを借り受けてコメをつくった。
それでも、「例年より収量は少なかったんだな」と意外な言葉も。理由は簡単だ。放射能を抑えるために様々な可能性を探ってきたから、これまで通りのコメ作りができなかった。だから収穫が少なくなったというわけだ。
谷平さんは経験を踏まえた上で、今年のコメ作りに向かう。「本格的に」という言葉には、そんな思いが詰め込まれている。
写真と文●井上良太
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