第12回 島グルメ美食の会~新島の鮮魚と採れたて野菜~【島グルメを堪能する】

tanoshimasan

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美食って何ぞ?

 「とにかく激戦だったんですよ。」 休日の東京・竹芝桟橋。「東京愛らんど」のスタッフ・S姉さんはそんなことを言う。僕と2~3言交わしたあと、ふたたび忙しそうに走り出した。

 伊豆諸島・小笠原諸島の11島を船で結ぶ玄関口、竹芝桟橋。島フリークならお馴染みのこの場所には、「東京愛らんど」という島のアンテナショップがある。日々、島から送られてくる特産品や料理を提供してくれるほか、観光情報の発信にも精力的な「東京離島の何でも屋さん」的存在なのだ。 そんな東京愛らんどでは、年に3~4回程度、気になるイベントを開催している。それが、今回訪れたイベント、その名も『島グルメ美食の会』だ。この日で通算12回を数える同イベント。島々の食材を活かしたオリジナル料理が次から次へと食べられるのだ。第12回目のサブタイトルは「~新島の鮮魚と採れたて野菜~」。新鮮な魚が旨いのはもちろん、何といっても新島の魅力は個性豊かな野菜!もうサブタイトルだけで食欲が込みあげてくる。

 何がステキって、「美食」って響きがもうたまらない。スーパーの特売品をくまなくチェックしながら、極力安めの品を買いあさる一般庶民の僕にとって、「美食」なんて言葉は敷居が高すぎる。「美食」なんて海●雄山の美食倶●部でしか聞いたことないっすよ・・・。 ところが、その『島グルメ美食の会』は参加費3000円でフルコース。たったの3000円っすよ。いや、たしかに1食3000円を安いと言えるかはわからない。わからないけど、新島へ行って飲食店や民宿で同等の内容を期待すれば、いったいおいくら万円かかるだろうか。事実、そのお値打ち感を嗅ぎ付けた島フリークがたくさんいたらしく、35名の定員に対して、応募が1000を越えたそうだ。「とにかく激戦だったんですよ。」なるほど。

        

島の食材でアヒージョ?ジェノベーゼ?

 席に着くと、早速ウェルカムドリンクということで、小笠原産のパッションフルーツジュースが出てきた。今回のイベントはあくまで新島がメインだったが、他の島々の食材がちょこちょこ顔を出してくれるのがニクい。直前まで忙しなく準備していたスタッフさんも落ち着き、いよいよ開会。

 前菜は明日葉のツナサラダ(新島)。

 「収穫しても明日にはまた生えてくる」と言われる明日葉。伊豆諸島の島々ならどこでも育っているが、実はこれも島によって質が違うとか。今回のものは新島の採れたてを空輸したとかで、島でもなかなか食べられない柔らかな新芽を使ったとのこと。なかなかニクいですねぇ・・・。マヨネーズだとクセもマイルドで食べやすい!

 続いて、伊勢海老とサザエ、きのこのアヒージョ(新島)、明日葉のジェノベーゼパスタ(新島)。

 いやいや、まるでどこのホテル料理かと。そう思ったのは、島だとあまり和食以外を口にすることはないからだ。野菜も魚介類も和食に化けることは普通だが、アヒージョ?ジェノベーゼ?横文字なんてそうお目に掛かれない。そしてやはりうまいのだ!アヒージョのオイルも伊豆大島の椿油だとか。椿油って美容のイメージが強いけど、実は食用でイケるんすよ。知ってました?

 ここで、おつまみ4種盛り合わせ。ところてん(神津島)、焼きくさや(新島)、赤イカの塩辛(神津島)、ムロアジのたたき揚げ(新島)。

 おつまみもイイらしい。くさやだけは若干強烈だったが(笑)、東京愛らんど一番の売れ筋である赤イカの塩辛は本当にヤミツキになる。ムロアジのたたき揚げも揚げたてがうれしい。おつまみだけに酒も欲しくなるが、同時にご飯も欲しくなる。まだようやく半分なので、ぐっと我慢。

 さらに、赤芽芋・あめりか芋の大島バター添え(赤芽芋・あめりか芋/新島、バター/大島) そして、新島を語るに欠かせないのがこのあめりか芋!砂質土壌ゆえ稲作ができず、その他の野菜も思うように育たなかった時代、島民の生活を支えた芋である。さつまいもの仲間でとにかく甘い!島民の間では日常食だったのだが、近頃は島外からの注目度が高く、色々な食べ方が提案されているらしい。いやいやうまい。やはり酒が要る。

新島に住みたくなってきた・・・。

 さてお酒なのだが、14種の島酒から自由に選べるシステムになっている。まるでバーのように、カウンターで頼めばなんでも作ってくれるのだ。僕はそのあめりか芋で作られるという芋焼酎「七福嶋自慢」を選んだ。ほのかな甘みがすっと喉に広がる。飲んでも食っても新島。あぁうまいなぁ。

サザエと明日葉のかき揚げ(新島) このあたりで酒も入り、良い感じに幸せになっているのだが、前ではその料理にまつわる新島の方々が、いろいろな切り口で解説をしてくれる。「(新島では)大事な席ではかき揚げにサザエを入れたりしますね」と、島の奥さん。ほーーー!内地では、まぁせいぜいつぼ焼きで食べるくらいだけど、なんとも贅沢な。島に住みたくなってきた・・・。

大根のてっぱつ漬け(三宅島)、シマアジの島寿司(式根島)、明日葉と島のりのおにぎり(明日葉/新島、島のり/神津島)

 待ってました!伊豆諸島じゃ定番の島寿司。ヅケにした切り身に練りがらしがつん!そうそうわさびじゃなくてねりがらし、これがうまいんだ。

明日葉とたたきのお椀(新島)

 もう十分腹いっぱい・・・。年齢のせいか、最近お腹も出てきたというのに。あ、でもお吸い物ならイケるかも。すり身を固めたものが、明日葉のお吸い物の中に。それを崩すと魚のこうばしい香りがふわっ。お吸い物なのにごくごくいってしまった。

 あーお腹いっぱい。そしてとどめのデザート!あめりか芋のタルト~生クリーム&ひんぎゃの塩クッキー添え~(あめりか芋/新島産、ひんぎゃの塩クッキー/青ヶ島産) 甘いものは別腹ですよねえええええ!

 これもあめりか芋の甘さが良い感じ。タルトが十分甘いだけに、甘さ控えめの生クリームがこれまた良い感じ。かと思えば、甘さにちょんとアクセントを入れる塩クッキー。タルトを考案した新島の奥さんが言う。「元々はあたしが食べたくて作りました」その心意気や素晴らしい!(何様なんだか・・・)

これが「美食」ですか。

 気が付けば一人でいちいち感動してた僕。そう、本来テーブルは4人掛けだったのだが、なぜか僕と相席になるはずの人がキャンセルしたらしく、4人前の料理も全て僕がたべることに。

 「せっかくなんでもう一人で全部食べちゃってください(笑)」 と、スタッフのS姉さん。せっかくの競争率なのにもったいない!・・・と思いつつ、「ちょっとラッキー」とか思いながら。

 今回参加して感じたのは、思った以上に創作料理が多く、美味しかったこと。色々な食べ方で新島を伝えていく、そんな島の人々の力強さをぐいぐい感じたのだ。それに、新島の野菜は本当にうまい。この会では登場しなかったが、たまねぎも驚くほどに甘くておもしろい。野菜好きなら間違いなくハマるはずだ。 終始うまいうまいと言いながら、最後に僕は赤芽芋・あめりか芋の大島バター添えを4人前頬張った。いやぁ、雄山先生、これが「美食」ですか。

◇店舗情報◇「SHOP & CAFE 東京愛らんど」 

◆住   所・・・東京都港区海岸1-12-2竹芝客船ターミナル内(地図)

◆ アクセス ・・・JR「浜松町駅」・都営地下鉄「大門駅」より徒歩約7分、ゆりかもめ「竹芝駅」より徒歩2分◆電話番号・・・03-5472-6559

◆営業時間・・・7:30 ~22:30(ラストオーダー21:30) ※ 納涼船の期間中(7/1~9/23)は7:30~23:00◆休   み・・・年中無休

◇島グルメ美食の会◇東京愛らんどが主催する、伊豆・小笠原諸島の食材や料理を存分に堪能するイベント。年に3~4回、不定期で開催され、記事でも触れたが人気が高い。限られた定員に対して競争率はかなりのものだが、応募してみる価値はあるはず。詳しくは東京愛らんどの公式HPをチェック!

 東京愛らんど
islands-love.com  
 日刊楽島コラム
potaru.com

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