東日本大震災・復興支援リポート 「奇跡の一本松のいま」

iRyota25

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2012年10月25日の陸前高田市

江戸時代の豪商、仙台藩、そして住民の協力で植えられた7万本を超えるクロマツの防潮林。白砂青松の美しい浜辺は、年間100万人の人が訪れる観光資源としても貴重な、陸前高田の象徴でした。

2011年3月11日、10メートルをはるかに超える津波によって、高田松原のほぼ全ての松がなぎ倒されてしまいます。激烈な津波の威力に耐え、倒れることなく奇跡的に1本だけ残った松の木は「奇跡の一本松」「希望の松」「ど根性松」などと呼ばれ、人々の希望のシンボルになりました。しかし、大地震の地殻変動による地盤沈下で、松の木の周りの土壌には海水がしみこみ、健康状態が悪化。さまざまな対策が施されるも、2012年5月にはついに枯死が確認されました。

その後、9月12日、最後に残った松の木は伐採され、防腐処理を施された上で、来年3月までには保存処理が施された松が帰ってくる見込みなのだそうです。

また、震災前に集められていた高田松原の松ぼっくりから芽生えた苗木が、市内の高台で栽培されているといいます。「高田松原を守る会」では、防潮堤などが整備された後に、育てた松を移植して、震災前の松原の姿を復活させたいとしているとのことです。

いまが一番さみしい時間、というわけです。

根っ子だけ残された奇跡の松。塩害を少しでも抑えようと周囲にめぐらされた矢板や、巻かれたコモ、雨よけなど、多くの人たちの思いを受けて、いつか“子孫たちの代の松”として復活してほしいものです。

近くの駐車場のポールは、原形をとどめないこの姿。完全にぺちゃんこに潰れています(ちなみに右斜め奥が海の方向です)。こんな衝撃を与えた津波に耐えたというだけでも、奇跡の松のど根性はすごいですね。残念ながら地盤沈下には勝てず、今生の別れとなってしまいましたが、松ぼっくりから育った松が、いつの日かきっと立派な松原に成長してくれることでしょう。

●TEXT+PHOTO:井上良太(株式会社ジェーピーツーワン)

※ リンクを追加します。

松です。元気に育ってほしい松たちです。 by yumenoshippo01
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