ロンドンオリンピックで銀メダルに輝いた『なでしこジャパン』。U-20女子ワールドカップで銅メダルを獲得した『ヤングなでしこ』。女子サッカー界が大きな注目を集めている今、更に一つ下の世代に『リトルなでしこ』と呼ばれる17歳以下の日本代表の存在があります。今回はU-17女子ワールドカップで活躍したフォワードの増矢理花選手のプレーの魅力に迫ります。

【増矢 理花】　ますや・りか

国籍：日本
生年月日：1995年9月14日
身長：160cm
体重52kg
在籍チーム：JFAアカデミー福島
ポジション：FW

U-17女子ワールドカップでは日本のエースとして挑んだ増矢理花。背番号こそ10番ですが、プレースタイルは典型的な背番号9のストライカーです。ゴールへの嗅覚が鋭く得点感覚に優れたプレーヤーで、ペナルティエリア内の一瞬のスピードと動き出しでDFと勝負し、ゴール前のフィニッシュには必ず増矢の姿があります。

チームメイトの成宮唯や杉田妃和のように単独で突破をしかけるタイプではなく、質の高いオフザボールの動きからクロスボールやスルーパスにピンポイントで反応してゴールを決めるいわゆるワンタッチゴーラーです。豊富なシュートパターンを持っており、どんな体勢からも正確にゴールマウスを捉えるシュート精度が持ち味。ゴール決定率はチーム1でペナルティエリア内からフリーでシュートを放てば、ほぼ一発で仕留める力を持ちます。

ほとんどのプレーをワンタッチからツータッチで処理し、バイタルエリアでパス&ランを繰り返しながらディフェンスラインの裏に飛び出していくのでDFのマークが難しい選手です。フィニッシュに絡む動きだけでなく、細かいポジションチェンジとフリーランを繰り返してDFのおとりになるプレーを得意とします。

増矢の動きにディフェンスが釣られることにより、バイタルにスペースが生まれるので後方のアタッカーが突破を仕掛けることができます。U-17女子代表は単独で突破を仕掛けるプレーヤーが少ないので、選手の連動性が攻撃の鍵になります。予選リーグで大量点を生み出したリトルなでしこ攻撃力を引き出したのは、増矢の見えない場所での動き出しの貢献が大きいと言えます。

準々決勝のガーナ戦ではディフェンスにゴール前で守備を固められてしまった為、スペースに飛び出していくプレーを封じ込まれて仕事をさせて貰えませんでした。チーム事情から1トップを任せられていましたが、増矢のようなシャドーストライカーは安定したポストプレーヤーとコンビを組ませることで威力を発揮する選手です。点取り屋として十分な働きができなかったのが残念ですが、今後の飛躍に期待したいと思います。