ロンドンオリンピックで銀メダルに輝いた『なでしこジャパン』。U-20女子ワールドカップで銅メダルを獲得した『ヤングなでしこ』。女子サッカー界が大きな注目を集めている今、更に一つ下の世代に『リトルなでしこ』と呼ばれる17歳以下の日本代表の存在があります。今回はU-17女子ワールドカップで活躍したサイドハーフの井上綾香選手のプレーの魅力に迫ります。

【井上 綾香】 いのうえ・あやか

国籍：日本
生年月日：1995年1月15日
身長：162cm
体重48kg
在籍チーム：河内SCジュベニール
ポジション：MF

井上綾香はドリブル突破を武器とする典型的なサイドアタッカーです。早さと上手さに加え、強さも兼ね備えたパワフルなドリブラーでDFに体をぶつけながら強引にサイドをこじ開ける力強さがあります。テクニックとアイデアで勝負する左サイドの籾木結花が『柔』だとしたら、パワーとスピードで押し切る井上は『剛』のサイドアタッカーと言えます。

サイドから内に切れ込むカットインも豪快なものがあり、ペナルティエリア外からDFを蹴散らすような強烈なミドルシュートをゴールネットに叩き込みます。右足の正確なクロスも武器であり、ニュージーランド戦では高さのあるDFに対してグランダーの速いクロスでゴールを脅かし、センターフォワードにヘディングの強い白木星を入れたメキシコ戦ではニアサイドにピンポイントクロスを入れてアシストを決めています。

自らドリブルで仕掛けるプレーだけでなく、ディフェンスラインの裏を取る鋭い飛び出しも特徴です。サイドバックとセンターバックの間に入り込んでスルーパスを受ける動き出しが絶妙で、予選グループリーグのメキシコ戦ではニアサイドに飛び込むと、インサイドシュートで落ち着いてゴールを決める冷静さも見せました。

キープ力と突破力に優れる井上が右サイドに張ることで、相手DFがサイドに引き寄せられて中央が空いてくるのでバイタルエリアにアタッカーが飛び込んで行くスペースが生まれます。井上はオフサイドラインぎりぎりでペナルティエリアに飛び込んで来るので相手ディフェンスは裏に気を取られて中央を疎かにしてしまいがちです。リトルなでしこにミドルシュートのゴールが多いのも、井上のサイドアタックを恐れてDFがサイドに引っ張られていることが一つの要因です。

縦に強いドリブル突破と正確なクロスボールを特徴とする井上綾香。フィジカルコンタクトにも優れているのでディフェンス面を鍛えれば有能なサイドバックに成長する可能性を秘めています。サイドアタックに磨きをかけてA代表の近賀ゆかりを脅かすような選手になることを期待します。