『なでしこジャパン』の下の世代、『ヤングなでしこ』の存在を知っていますか？U-20代表と呼ばれている20歳以下の若い選手達です。2012年8月19日より、FIFA U-20ワールドカップが日本で開催されました。各選手はこの大会で自分の力をアピールし、ビッグクラブへの移籍やA代表への選出を目標にしています。今回はヤングなでしこのセンターバックとして活躍する木下栞選手のプレーの魅力に迫ります！

【木下 栞】きのした・しおり

国籍：日本
生年月日：1992年8月17日（20歳）
出身地：大阪府
身長：165cm
体重：54kg
在籍チーム：日テレ・ベレーザ
ポジション：DF 背番号：18

木下栞のストロングポイントはセンターバックでありながら抜群の攻撃センスを持っていることでしょう。右足から放たれる20～40メートルの中長距離のロングパスを強力な武器としています。単純にキック精度が高いだけでなくビルドアップに優れており、広い視野でフィールド全体を見渡して相手の嫌がるスペースにボールを供給できる選手です。最終ラインから一気に前線に向けてロングフィードを蹴り込んで、ペナルティエリア内のフォワードに合わせるプレーも珍しくありません。

ロングパスだけでなくセンターフォワードにクサビとなる縦パスを入れることができるので、1本目のパスで中盤の選手が一気にゴールに近いエリアまで押し上げることができます。トップに効果的な縦パスを供給できるディフェンダーがいることで、ボランチが1度下がってディフェンスからボールを貰う必要がなくなり、2列目のアタッカーと接近したポジションを取れるようになり、攻撃的なコンビネーションプレーが期待できます。

木下は足元のボールコントロールに優れており、高いキープ力を持つプレーヤーです。チャンスと見ると最後尾からドリブルで攻め上がり、ダイナミックな攻撃参加で中央突破を仕掛けます。ヤングなでしこは4-2-3-1というフォーメーションを採用していますが、サイドからの展開に比べると中央の攻撃人数は手薄になる傾向があります。木下が前線にオーバーラップすることで、ボランチと連携して中央の攻撃にアクセントを付けることができます。

木下はディフェンダーの視界の外から意外性のあるタイミングでバイタルエリアに飛び出してくるので、相手のディフェンスはマークを捕まえることが難しくなり、フリーでボールを持たせてしまいます。木下はペナルティエリア外からミドルシュートでゴールを狙える非常に危険な選手です。予選リーグのニュージーランド戦では強烈なミドルシュートをクロスバーに直撃させて、あわやゴールというシーンを作り出しています。

木下栞はスイーパーとして最終ラインをコントロールする守備陣のリーダーです。1対1のディフェンスに強さを見せる土光真代にフォワードのマークを担当させてストッパーとしての役割を担わせ、自分は少し下がり目の位置からディフェンスラインを統率します。フィジカルの強さを前面に押し出したハードワーカーというタイプではなく、鋭い読みを生かした出足の早さで攻撃をインターセプトする頭脳的なセンターバックです。

常に相手のプレーの1歩2歩先を読んだ動き出しで巧みなポジショニングを取り、サイドアタックで中央を揺さぶられてもボールウォッチャーにならず、人とスペースのマークを的確に掴みます。しかし、ボールコントロールに自信を持ち過ぎる余り、攻撃時に最終ラインでボールを持ち過ぎることが課題です。今大会でもフォワードに激しいチェックをかけられてボールを失いそうになるシーンが何度か見られました。攻撃力が自慢の選手ですが、守備時ではセーフティーな選択ができるようになればチームへの信頼性も増すでしょう。

積極的な攻撃参加を売りにするリベロのようなセンターバックは『なでしこジャパン』には見当たりません。自らのストロングポイントを磨いて、男子サッカー元日本代表の田中マルクス闘莉王のような存在になることを期待します。また、木下栞は可愛らしい容姿も人気があり、女優の剛力彩芽さんに似ていると評判です。華を持つディフェンスのスタープレーヤーとしてなでしこを引っ張って欲しい逸材です！