『なでしこジャパン』の下の世代、『ヤングなでしこ』の存在を知っていますか?U-20代表と呼ばれている20歳以下の若い選手達です。2012年8月19日より、FIFA U-20ワールドカップが日本で開催されています。選手はこの大会で自分の力をアピールし、ビッグクラブへの移籍やA代表への選出を目標にしています。今大会で注目度の高い選手を紹介するこの企画。今回はヤングなでしこのボランチとして攻守の要となる猶本光選手のプレースタイルに迫ります!
ポスト澤と呼ばれる逸材
ロンドンオリンピックで銀メダルを獲得したなでしこジャパン。長年チームを牽引してきた澤穂希の代表引退という話が出ています。人気と実力を兼ね備えた澤の後継者を育てることが課題になっていますが、その最右翼として期待されているのがU-20代表の猶本光です。
猶本は人気と実力に加えて容姿も端麗なことから、早くからスター候補として注目されてきました。2010年U-17ワールドカップでは全6試合に出場して2得点を記録するなど、日本の準優勝に貢献した中心選手です。その後、筑波大学への進学を機に浦和レッズレディースへ移籍。A代表の佐々木監督は早くから猶本の才能に注目しており、2012年にはA代表候補に名を連ねるなど同年代では突出した能力を持っています。
ボランチとして全ての能力を備える
猶本光の主戦場は攻守の起点となる守備的ミッドフィルダー、いわゆるボランチです。ボランチにも幾つかのタイプがあります。一対一のマークとカバーリングを得意とするアンカータイプ。中盤の底からゲームをコントロールするパサータイプ。ドリブル突破やミドルシュートでフィニッシュに絡む攻撃型ボランチです。猶本選手は全ての能力を備える万能型ボランチと言えるでしょう。
コンビを組む相手によってプレースタイルを自在に変える順応性を持ちます。U-20代表の場合、ディフェンシブな藤田のぞみと組むときは積極的に前に出てフィニッシュに絡み、攻撃的な田中陽子と組むときは引き気味にポジンションを取って中盤のバランサーになります。
攻撃力は澤穂稀と同等の潜在能力を秘める
U-20代表にはゲームメークを得意とするパサータイプのプレーヤーが少ない中、猶本光は突出したパス能力を有します。フリーの選手とスペースを見つけ出す広い視野を持ち、左右にパスを散らしながらゲームを組み立てます。中長距離のキック精度は抜群で、ワイドな視点からサイドチェンジを繰り出すと、味方の足元にピタリとボールを合わせます。少ないボールタッチで小気味よくパスを回し、リスクを恐れることなく前線に縦パスを入れて攻撃にアクセントをつけます。
バイタルエリアでの攻撃の引き出しも多く、巧みなボールキープからDFの裏をつくスルーパス、鋭い切り返しでDFを抜き去るドリブル、狭いスペースでもダイレクトプレーからワンツーを狙うなど、ディフェンスの意表をつく創造的なプレーで決定機を作ります。特にミドルシュートの威力は抜群で、25~30mのロングレンジまでも射程圏内とし、ペナルティエリア付近では意外性のあるタイミングで左右両足から強烈なミドルシュートを放ってゴールを脅かします。
守備能力は阪口夢穂にも匹敵する
守備でもA代表の阪口夢穂に匹敵するクオリティを持つ猶本光。157cmと小柄な体型でありながら強靭なフィジカルを備え、欧州の大型選手に対してもルーズボールの競り合いに負けることはありません。一対一での身体の使い方が非常に上手く、相手が前に出た瞬間に絶妙のタイミングでボールと選手の間に身体を割り込ませ、ノーファールでボールを奪い取る技術を持ちます。
危機察知能力も長けており、優れたポジショニングから危険なスペースをいち早く察知してパスコースを消し去ります。攻守に渡って最適な距離感で味方をサポートするポジションセンスを持ち、中盤で守備陣を統率すると、ゾーンで相手を囲い込んでボールを奪います。読みの鋭いディフェンスにも定評があり、ゴール前では身体を張ったスライディングで決定的なスルーパスをカットします。
総括
攻守のキーマンとしてチームを牽引する猶本光。守備では安定感を発揮していますが、攻撃では試合によってムラのある印象を受けます。ゲームがこう着状態に入ったとき、猶本にはもっと前に出ていく勇気を持って欲しいです。決定機を演出するラストパス、ゴールを奪うミドルシュートなど、勝利を決定づける力を持っているだけに勿体ない気がします。ヤングなでしこがどこまで躍進できるかは、猶本選手の攻撃参加にかかっていると思います!
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