定住だけでは不十分?
高等学校の無い島ならば、中学卒業と同時に、若者は必然的に去っていく。そのまま社会のレールに乗れば、高校、大学を経て就職が待っているだろう。大学まではともかく、一度企業に勤めてしまえば、その流れに抗って自己都合を通すには相当の勇気が必要だ。そのうち家庭も築いてしまえば、故郷の島でさえ、段々と遠い存在になっていく。それが普通だ。 しかし、島にとってはそれでは困る。もし仮に、島の若者の一人が「この島のために」と、島へ残った(戻った)とする。そこまでは良い。人口の減少が著しい島にとって、「島の若者が島に残る(戻る)」という選択は非常に喜ばしいことだ。高齢化が進む島なら、若い人手は何にも代えがたいほど、ありがたい。
だが、もしそこで結婚相手が居なければどうだろう。極端な言い方をすれば、島の人口減少問題にとって、誰かが定住してくれるだけでは、はっきり言うと不十分なのだ。定住したその島で家庭を築き、島の子供たちをたくさん増やしていく。そこまで出来て100点だ。厳しいかも知れないが、高齢化が進む島々にとって、そこまでしなければ、その先は衰退の一途なのである。
止まらない人口減
国土交通省のホームページには以下のような記述がある。
離島振興対策実施地域の人口総数は長期間にわたり減少を続けています。 その減少率は昭和40年から昭和45年の12.1%をピークに、昭和50年代からは鈍化傾向を続けており、平成12年から平成17年までの最近の5か年では8.2%となっています(表参照)。
年齢階層別人口割合(平成17年国調)は、 14歳以下の年少人口は12.6%(全国13.7%)、15~64歳までの生産年齢人口は54.4%(同65.8%)、65歳以上の老年人口は33.0%(同20.1%)となっており、 特に高齢化比率(老齢人口)の33.0%は、過疎地域、奄美等他のハンデキャップ地域と比べても高いという状況となっています。
人口の推移
離島人口
対前5年比
全国人口
対前5年比
昭和35年
923,062
ー
94,301,623
ー
昭和40年
837,949
-9.2%
99,209,137
+5.2%
昭和45年
736,712
-12.1%
104,665,171
+5.5%
昭和50年
666,341
-9.6%
111,939,643
+7.0%
昭和55年
630,538
-5.4%
117,060,396
+4.6%
昭和60年
597,487
-5.2%
121,048,923
+3.4%
平成 2年
546,505
-8.5%
123,611,167
+2.1%
平成 7年
509,105
-6.8%
125,570,246
+1.6%
平成 12年
472,312
-7.2%
126,925,843
+1.1%
平成 17年
433,712
-8.2%
127,767,994
+0.7%
(国土交通省HPより引用 「離島とは(島の基礎知識)」
表を参照してもわかるとおり、平成17年時点で昭和35年時の半分以下まで減少している。要因は様々だが、そのひとつとして経済成長と共に企業が成熟し始め、機能が都会へ集約していった影響と推測できるだろう。結果論だが、島を出て行った人々にとっては、「島に残ること」に大した魅力が無かったと言うことが出来る。しかし、もちろんそのままではいけない。定住はもちろん、結婚をし、子供を残すまでを含めて、具体的な島おこしをする必要があるのだ。
花嫁対策事業
今まで何もしていなかったわけではないだろうが、人口減少に待ったをかけるならば、今まで通りでは不十分だ。近年になり、人口減少が著しい自治体でも、具体的な策を講じ始めている。 そのひとつが花嫁対策事業だ。簡単に言うと、島の男性の嫁探しを島ぐるみで行うという取り組み。島で働く男性はどうしても島外で動き回ることは少ない。
そんな中で、島や自治体が協力して女性との出会いの場を提供するのが、この花嫁対策事業だ。ここ数年、早い島では「婚活」という言葉が誕生する以前より、こういった取り組みがちらほらとあった。しかし、婚活という言葉はやはり女性に響くのだろうか、どれを見ても募集対象は女性で、「島に嫁ぎませんか?」というものである。もちろん(?)逆はない。はたして、どういった内容なのだろうか。
その2では、各島の取り組みについて具体的に触れていこう。
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