救いがなく、ひたすら悲惨な物語
第一次世界大戦時、敵の砲弾にあたって目、鼻、口、耳そして四肢を失った男の話です。
見ることも、嗅ぐことも、なめることも、聞くことも、触ることも、手足を動かすこともできない主人公のジョニー。
あるのは意識と、皮膚の感覚と、ほんの少しの頭部を動かすことだけ。
今がいつで、自分が今どこにいるか、どういう状況かもわからない中で、過去、現在、未来に意識を彷徨わせながら、少しずつ自分の状況を認識してきます。
そして使える感覚で必死に外部とコンタクトを取ろうとします。
しかし、やっとの思いで外部とコンタクトをとるものの、ささやかな希望すら叶えられず、暗闇に残されていく・・・。
精神のみになった男の、深い孤独を想像するたびに、胸が痛くなる本です。
自由のための戦争って何だろう。
もっともらしいスローガンで戦争を人々にさせようとする人たちの、ばかばかしさを感じずにはいられません。
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