ブロック塀の危険が喧伝されるようになったのは、そんなに最近のことではない。宮城県沖地震(1978年)で倒壊したブロック塀の下敷きになった犠牲者が出たことがきっかけで注目されるようになったと記憶している。
[熊本大地震]生活の場にある隠れた凶器
その後発生した多くの大地震でも、ブロック塀や自動販売機の下敷きになって人的被害が起きたことが注目された。阪神淡路大震災や東日本大震災が発生した頃には、通行人が突然犠牲になるブロック塀倒壊の危険が、社会的にも大きな問題になっていた。
だがブロック塀の倒壊どころじゃない大きな被害を繰り返し経験する中で、その危険に対する意識は薄れてはいないだろうか。
関東大震災の際にも、当時の高級官僚だった倉富勇三郎さんの日記に、煉瓦塀が倒壊して危うく妻子が犠牲になるところだったという記述がある。
上の写真は熊本城近くの京町の一角、ゴミ捨て場の脇に積み上げられたブロック塀の残骸だ。ブロック塀崩壊による災害(災害とは法律的には人的被害が生じた事故をさす言葉らしい)は、ブロック塀が面として倒れかかってきて人に危害を加えることが多いが、倒れ落ちた後は写真のように粉々になってしまうこともある。
粉々になった残ケツだけ見れば、大したことなさそうに思ってしまうかもしれないが、コンクリートブロックの重さは軽いものでも1個10kg、重たいものでは20kg近くになる。サイズは縦約20cm、横約40cmだから、人間の体に縦横2mのブロック塀が倒れかかってきた場合、その重量は500kgから1tにもなる。
さらに、崩壊したブロック塀が写真のように粉々になっているところを見ると、地震の揺れによる加速度を持ったまま、地面に叩き付けられたものだとも考えられる。
ふだんの通勤、通学、お散歩の道にブロック塀はありませんか?
1秒後に大地震に見舞われた時、あなたがブロック塀によって殺されかねない場所を歩いていませんように。
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