2月24日(水曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている状況を考えます。
※ 情報を追加して更新します
雑固体廃棄物焼却設備のホット試験を再開。水漏れ箇所のガスケットを交換
※雑固体廃棄物焼却設備については、排ガス冷却器の点検口から水が滴下していることを確認したため、汚染のある雑固体廃棄物を用いる焼却試験(以下、「ホット試験」という。)を中断していたが、
不具合があった点検口フランジ部のガスケット交換が終了したことから、2月23日午後4時よりホット試験(B系統)を再開。
なお、A系統についても当該部のガスケット交換終了後に、ホット試験を開始予定。
【注目点】水が漏れた箇所のシール材を交換して再稼働という発表。なぜ漏れたのかは日報では触れられていないが、同日発表された福島第一原子力発電所の廃炉に関する安全監視協議会(第41回)資料「福島第一原子力発電所 雑固体廃棄物焼却設備について」に「排ガス冷却器点検口における水の滴下について」として発表された。
【解説】この発表資料でわかったのは以下の4点。
(1)排ガス冷却器は高温の燃焼ガスを水噴霧で冷却していること。
(2)直径60cmの点検口の内側に結露水が溜まり、点検口のガスケットの欠損・破損部から水が漏れた。
(3)ガスケットの欠損・破損部の原因は施工時の確認不足が原因。
(4)同型のガスケットの交換を進めるとともに、施工要領の見直しを行う。
1~2号機
◎日報に新規事項の記載なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系停止中
・1号機ディーゼル発電機(B)室、1号機所内ボイラー室の滞留水を1号機タービン建屋地下へ断続的に移送実施中
◆2号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・2号機タービン建屋地下から集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中
3号機 使用済燃料プールの冷却を停止。スキマサージタンク蓋の取り替え作業等のため
・使用済燃料プール循環冷却系停止中
・3号機使用済燃料プール(以下、「SFP」という。)代替冷却系については、スキマサージタンク蓋の取り替え作業等を行うため、2月24日午前5時20分に停止。(2月25日午後5時までの約36時間停止予定)
なお、停止時のSFP水温度は20.0℃。冷却停止時間におけるSFP水温度上昇率は0.097℃/hで、停止中のSFP水温度上昇は最大で約3.5℃と評価されることから、運転上の制限値65℃に対して余裕があり、SFP水温度の管理上問題はない。
その他の項目に新規事項の記載なし
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・FSTR建屋から3号機廃棄物処理建屋の滞留水移送については断続的に移送実施中
・3号機タービン建屋地下から集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中
4~6号機
◎日報に新規事項の記載なし
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了
◆5号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール
◎日報に新規事項の記載なし
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
水処理設備および貯蔵設備の状況 セシウム吸着装置を「運転」
・セシウム吸着装置運転中
その他の項目に新規事項の記載なし
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・RO淡水化装置運転中
・多核種除去設備(ALPS)運転中
・増設多核種除去設備停止中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
サブドレン・地下水ドレン 一時貯水タンクDから海洋排水を開始
※サブドレン他水処理施設について、一時貯水タンクDの分析結果[採取日2月17日]については、運用目標値を満足していることを確認。(既出)
2月24日午前10時6分より海洋への排水を開始。なお、排水状況については、同日午前10時20分に漏えい等の異常がないことを確認。
サブドレン・地下水ドレン 一時貯水タンクEからの排水準備が進む
※サブドレン他水処理施設について、一時貯水タンクEの分析結果[採取日2月18日]については、運用目標値を満足していることを確認。
※ 一時貯水タンクは浄化後のサブドレン・地下水ドレン水を海洋排出前に一時貯水するもので「サンプルタンク」とも呼ばれる。
サブドレン・地下水ドレン 集水タンクの分析結果(2月16日採取分)
※ 集水タンクはサブドレン・地下水ドレンから汲み上げた水を浄化施設に送る前に貯えておくタンクのこと。
地下水バイパス 通算104回目の海洋排水を終了。排出量は1,587トン
※地下水バイパス一時貯留タンクグループ3の分析結果[採取日2月10日]については、運用目標値を満足していることを確認。2月23日午前10時9分より海洋への排水を開始。なお、排水状況については、同日午前10時25分に漏えい等の異常がないことを確認。(既出)
その後、午後4時31分に排水を停止。排水停止状態に異常がないことを確認。排水量は1,587m3。
地下水バイパス 一時貯留タンクの分析結果(2月22日サンプル採取)揚水井No.10のトリチウム濃度は3,000ベクレルで高止まり
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
2月23日のタンクエリアパトロールや汚染水タンク水位計による常時監視において、漏えい等の異常がないことを確認。
H4エリア南放水口・排水路 B排水路ふれあい交差点近傍、2月23日のサンプリングは水がなく採取できず
H4エリア南放水口・排水路 切替C排水路35m盤出口・構内側溝排水放射線モニタ近傍の全ベータが上昇
2月23日に排水路から採取した分析結果のうち、切替C排水路35m盤出口および構内側溝排水放射線モニタ近傍の全β放射能分析結果が、過去の変動範囲内であるものの、前回値(2月22日採取)と比較して上昇していることを確認。
<切替C排水路35m盤出口>
2月22日採取 検出限界値未満(検出限界値:11Bq/L)
2月23日採取 100 Bq/L
<構内側溝排水放射線モニタ近傍>
2月22日採取 検出限界値未満(検出限界値:4.2Bq/L)
2月23日採取 110Bq/L
なお、上記2箇所の上流側に設置されている構内側溝排水放射線モニタの指示値に有意な変動がないこと、および港湾内の分析結果に有意な変動がないことを確認。今後も監視を継続していく。
それぞれの過去最高地は以下のとおり
<切替C排水路35m盤出口>
120 Bq/L(2014.02.15)
<構内側溝排水放射線モニタ近傍>
300 Bq/L(2015.09.12)
発表資料に「構内側溝排水放射線モニタ」の位置は記されていないが、2015年2月26日発表など過去の資料から類推すると「切替C排水路35m盤出口」の近くだと考えられる。
◆H4エリア
その他の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
◆H6エリア
◎日報に新規事項の記載なし
1~4号機タービン建屋東側 地下水観測孔No.1-14の全ベータが過去最高値
◎日報に新規事項の記載なし
<過去最高値>地下水観測孔No.1-14
全ベータ:63,000Bq/L(2016.02.23)
これまでの最高値:60,000Bq/L(2016.02.19)
地下貯水槽
◎日報に新規事項の記載なし
1~3号機放水路
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
K排水路
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
関連データ(東京電力以外のサイト)
最終更新: