4月21日(火曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
2号機の建屋一部の屋根からの高濃度汚染水を含む水を移送するポンプが停止。汚染を含む雨水が堰を乗り越えて海へ
緊急事態や非常事態が発生した際に発表されることもある「報道関係各位一斉メール」で驚きの発表。
福島第一原子力発電所 K排水路からC排水路への水移送ポンプの停止について
福島第一原子力発電所構内のK排水路の水については、同排水路内にポンプを設置し港湾内に繋がるC排水路へ水を移送することとしており、2015年4月17日より、本格運用を開始しました。
本日(4月21日)午前8時45分頃、ポンプ(8台)の稼働状況を確認したところ、停止していること、および雨水が堰を乗り越え海に流れていることを確認しました。
原因については、現在、調査中です。
以 上
写真も発表された。
「福島第一原子力発電所におけるK排水路からC排水路への移送ポンプの停止について」
掲載日:平成27年4月21日
撮影日:平成27年4月17日
撮影:東京電力株式会社
日報での記載は下記の通り。
※発電所構内のK排水路の水については、同排水路内にポンプを設置し港湾内に繋がるC排水路へ水を移送することとしており、4月17日より、本格運用を開始。4月21日午前8時45分頃、ポンプ(8台)の稼働状況を確認したところ、停止していること、および雨水が堰を乗り越え海に流れていることを確認。原因については、現在、調査中。
1号機 ~タービン建屋地下からの高濃度滞留水移送を再開し5時間54分後停止
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・1号機タービン建屋地下→1号機廃棄物処理建屋へ高濃度滞留水を移送中(2015年4月21日午前5時53分~午前11時47分)
※タービン建屋からの滞留水移送は停止中
1号機ディーゼル発電機(B)室の滞留水移送を再開
・1号機ディーゼル発電機(B)室→1号機タービン建屋へ滞留水を移送中(2015年4月21日午後1時4分~)
1号機ディーゼル発電機(B)室の滞留水移送前の水位は以下のとおり。
〈移送前〉
実測値:OP4,400mm(4月21日午後1時)
補正値:OP4,517mm
同日、午後1時頃時点の1号機ディーゼル発電機(B)室近傍のサブドレン(No.1)の水位は、OP5,064mm。
また、1号機タービン建屋所内ボイラー室近傍のサブドレン水(N1)および1号機ディーゼル発電機(B)室近傍のサブドレン水(No.1)の放射能濃度の測定結果は以下のとおり。
・1号機タービン建屋所内ボイラー室近傍のサブドレン水(N1)(採取日4月20日)
セシウム134:検出限界値未満(検出限界値:1.5×10-2Bq/cm3)
セシウム137:検出限界値未満(検出限界値:2.2×10-2Bq/cm3)
・1号機ディーゼル発電機(B)室近傍のサブドレン水(No.1)(採取日4月20日)
セシウム134:2.0×10-2Bq/cm3
セシウム137:7.7×10-2Bq/cm3
測定結果については、特定原子力施設に係る実施計画 III特定原子力施設の保安第1編第26条表26-3の運転上の制限値(セシウム134とセシウム137の放射能濃度の合計値が1.0×10^2Bq/cm3)以下であることを確認。
cm3あたりの数値をリットルあたりに換算
・1号機タービン建屋所内ボイラー室近傍のサブドレン水(N1)
セシウム134:検出限界値未満(検出限界値:15 Bq/L)
セシウム137:検出限界値未満(検出限界値:22 Bq/L)
・1号機ディーゼル発電機(B)室近傍のサブドレン水(No.1)
セシウム134:20 Bq/L
セシウム137:77 Bq/L
※ 建屋内ではなく、あくまでも建屋の外の地下水であるサブドレン水でセシウムが検出されているという事実に注目。
◆運転上の制限値:100,000 Bq/L以下(セシウム134とセシウム137の放射能濃度の合計値)
※運転上の制限値そのものがとんでもない。経産大臣が定める告示濃度限度は、
セシウム134:60 Bq/L
セシウム137:90 Bq/L
WHOの飲料水水質ガイドラインでは、
セシウム134:10 Bq/L
セシウム137:10 Bq/L
2号機~6号機
新規事項なし
◆2号機
1号機の4項目と同じ記載に加え、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年4月20日午前11時42分~)
※滞留水移送は稼働中
◆3号機
1号機の4項目と同じ記載に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年4月20日午前11時38分~)
※滞留水移送は稼働中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・RO濃縮水処理設備運転中
地下水バイパス
新規事項なし
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
4月20日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<E-1の全ベータ値>
3月9日採取 18,000Bq/L
3月10日採取 38,000Bq/L ※前日から2倍以上に上昇
3月11日採取 34,000Bq/L
(中略)
4月9日採取 5,100Bq/L
4月10日採取 4,200Bq/L
4月11日採取 30,000Bq/L ※1カ月前のレベルに急増
4月12日採取 18,000Bq/L
4月13日採取 7,000Bq/L
4月14日採取 24,000Bq/L ※下がって上がってジェットコースター状態。雨の影響?
4月15日採取 25,000Bq/L
4月16日採取 22,000Bq/L
4月17日採取 16,000Bq/L
4月18日採取 11,000Bq/L
4月19日採取 8,300Bq/L
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<G-1のトリチウム値>
3月17日採取分で過去最高値 3,400Bq/Lを記録して以来、それまでの週1発表から毎日発表になっている。
3月17日採取 3,400Bq/L
(中略)
4月9日採取 ND(検出限界値:110Bq/L)※ 検出限界値:110Bq/Lとは!!
4月10日採取 140Bq/L
4月11日採取 190Bq/L
4月12日採取 150Bq/L
4月13日採取 120Bq/L
4月14日採取 220Bq/L
4月15日採取 800Bq/L ※大幅に上昇
4月16日採取 450Bq/L
4月17日採取 210Bq/L
4月18日採取 290Bq/L
4月19日採取 1,100Bq/L ※大幅に上昇
※ 3月10日(最高値の前回測定)の値は 480Bq/L
3月3日はND(検出限界値:10Bq/L)
<G-2のトリチウム値>
4月9日採取 380Bq/L
4月10日採取 280Bq/L
4月11日採取 2,200Bq/L
4月12日採取 1,900Bq/L
4月13日採取 1,300Bq/L
4月14日採取 690Bq/L
4月15日採取 390Bq/L
4月16日採取 290Bq/L
4月17日採取 210Bq/L
4月18日採取 400Bq/L
4月19日採取 760Bq/L
※G-2のトリチウム値は、タンクからの汚染水漏れが発生から約1か月後の平成26年3月24日・25日に記録した7,000ベクレルがこれまでの最高値だが、27日には660ベクレルまで減少していた。
<G-3のトリチウム値>漏洩タンクから最も遠いG-3もトリチウム値が上昇
4月9日採取 390Bq/L
4月10日採取 460Bq/L
4月11日採取 520Bq/L
4月12日採取 460Bq/L
4月13日採取 300Bq/L
4月14日採取 420Bq/L
4月15日採取 520Bq/L
4月16日採取 390Bq/L
4月17日採取 360Bq/L
4月18日採取 320Bq/L
4月19日採取 280Bq/L
1~4号機タービン建屋東側
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<港湾中央>過去最高値
トリチウム(H-3):160 Bq/L(平成27年4月16日採取)
これまでの最高値:150 Bq/L(平成27年4月6日採取)
<3,4号機取水口間>過去最高値
全ベータ:680 Bq/L(平成27年4月16日採取)
これまでの最高値:660 Bq/L(平成26年6月9日採取)
1~4号機サブドレン観測井
新たに1~4号機建屋周辺に設置された観測井について新規事項なし。従来のサブドレンからの再取水のデータは公開されているが、ヨウ素-131、セシウム-134、セシウム-137のデータのみで、全ベータ、トリチウム(H-3)、ストロンチウム-90のデータは公表されていない。
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1号機放水路
新規事項なし
関連データ(東京電力以外のサイト)
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成27年4月21日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: