4月23日(木曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
1号機タービン建屋所内ボイラー室・ディーゼル発電機(B)室の滞留水は、今後「必要に応じて」移送
※1号機タービン建屋所内ボイラー室の滞留水については、4月22日午前10時33分から午前11時53分にかけて1号機タービン建屋へ移送を実施。移送中および移送後の状況については、漏えい等の異常がないことを確認。今後、1号機所内ボイラー室およびディーゼル発電機(B)室の滞留水については、必要に応じて1号機タービン建屋へ移送を実施。
これまでの東京電力の発表を踏まえると、
「漏えい等の異常がないことを確認」とは外部への漏洩ではなく、移送用の管路で漏洩がないという意味だろう。
「必要に応じて〜移送」というのは、いちいち発表しないかもしれませんよ、ということだと解しておくべき。本当にそれでいいのか? 問題は東京電力への信頼、もっというなら東京電力に向けられた不信なのではないのか。
2号機原子炉圧力容器底部温度計(TE-2-3-69R)の信頼性について
※3月13日に再挿入した2号機原子炉圧力容器底部温度計(TE-2-3-69R)について、一ヶ月を目安に、既設の原子炉圧力容器底部温度計(TE-2-3-69H3)の指示値との相関、原子炉への注水状況や外気温変動等の状況に応じた挙動を示すかの確認を実施。確認の結果、当該温度計は注水量の増減、注水温度や外気温度の変動に応じた挙動を示していること、および毎正時の変動幅も小さく、安定していることから、本来指示すべき値を示していると判断。このことから、4月23日午前0時より、新設温度計(TE-2-3-69R)を実施計画III章第1編第18条(原子炉の冷却状態の監視)の温度計、および第24条(未臨界監視)の代替監視(温度上昇率)の監視温度計として選定し監視を行う。
高性能容器(HIC)の蓋付近で高濃度のたまり水が発見された件の続報。新たに2基のHICに水溜まりとにじみを発見
※4月22日9基のHIC蓋外周部に吸着マットを置く作業を実施した際、新たに1基のHIC蓋外周部に水溜まり、また、1基のHIC蓋外周部ににじみを確認。
【水溜まりを確認したHIC】 【製造番号】
・AM8ボックスカルバート内HIC → PO646393-177(水溜まり)
・AO5ボックスカルバート内HIC → PO646393-209(にじみ)
引き続き、現場調査を継続するとともに、原因究明を行う。
1号機~4号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※ タービン建屋地下の滞留水移送は停止中
◆2号機
1号機の冒頭4項目と同じ記載に加え、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年4月20日午前11時42分~)
※滞留水移送は稼働中
◆3号機
1号機の冒頭の4項目と同じ記載に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年4月20日午前11時38分~)
※滞留水移送は稼働中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
5号機 〜原子炉の核燃料を使用済燃料プールへ燃料移動中
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
原子炉から使用済燃料プールへ燃料移動中
6号機
新規事項なし
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・RO濃縮水処理設備運転中
地下水バイパス ~海洋への排水を開始(通算60回目)
※地下水バイパス一時貯留タンクグループ2の当社および第三者機関による分析結果[採取日4月12日]については同等の値であり、ともに運用目標値を満足していることを確認。(既出)
4月23日午前10時13分、海洋への排水を開始。同日午前10時16分に漏えい等の異常がないことを確認。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
4月22日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<E-1の全ベータ値>
3月9日採取 18,000Bq/L
3月10日採取 38,000Bq/L ※前日から2倍以上に上昇
3月11日採取 34,000Bq/L
(中略)
4月9日採取 5,100Bq/L
4月10日採取 4,200Bq/L
4月11日採取 30,000Bq/L ※1カ月前のレベルに急増
4月12日採取 18,000Bq/L
4月13日採取 7,000Bq/L
4月14日採取 24,000Bq/L ※下がって上がってジェットコースター状態。雨の影響?
4月15日採取 25,000Bq/L
4月16日採取 22,000Bq/L
4月17日採取 16,000Bq/L
4月18日採取 11,000Bq/L
4月19日採取 8,300Bq/L
4月20日採取 7,900Bq/L
4月21日採取 15,000Bq/L ※また上昇
※ 4月21日の降水量合計は1.5mm(原発近傍の気象庁観測点「浪江」)
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<G-1のトリチウム値>
3月17日採取分で過去最高値 3,400Bq/Lを記録して以来、それまでの週1発表から毎日発表になっている。
3月17日採取 3,400Bq/L
(中略)
4月9日採取 ND(検出限界値:110Bq/L)※ 検出限界値:110Bq/Lとは!!
4月10日採取 140Bq/L
4月11日採取 190Bq/L
4月12日採取 150Bq/L
4月13日採取 120Bq/L
4月14日採取 220Bq/L
4月15日採取 800Bq/L ※大幅に上昇
4月16日採取 450Bq/L
4月17日採取 210Bq/L
4月18日採取 290Bq/L
4月19日採取 1,100Bq/L ※大幅に上昇
4月20日採取 710Bq/L
4月21日採取 990Bq/L
※ 3月10日(最高値の前回測定)の値は 480Bq/L
3月3日はND(検出限界値:10Bq/L)
<G-2のトリチウム値>
4月9日採取 380Bq/L
4月10日採取 280Bq/L
4月11日採取 2,200Bq/L
4月12日採取 1,900Bq/L
4月13日採取 1,300Bq/L
4月14日採取 690Bq/L
4月15日採取 390Bq/L
4月16日採取 290Bq/L
4月17日採取 210Bq/L
4月18日採取 400Bq/L
4月19日採取 760Bq/L
4月20日採取 380Bq/L
4月21日採取 2,500Bq/L ※大幅に上昇
※G-2のトリチウム値は、タンクからの汚染水漏れが発生から約1か月後の平成26年3月24日・25日に記録した7,000ベクレルがこれまでの最高値だが、27日には660ベクレルまで減少していた。
<G-3のトリチウム値>漏洩タンクから最も遠いG-3もトリチウム値が上昇
4月9日採取 390Bq/L
4月10日採取 460Bq/L
4月11日採取 520Bq/L
4月12日採取 460Bq/L
4月13日採取 300Bq/L
4月14日採取 420Bq/L
4月15日採取 520Bq/L
4月16日採取 390Bq/L
4月17日採取 360Bq/L
4月18日採取 320Bq/L
4月19日採取 280Bq/L
4月20日採取 270Bq/L
4月21日採取 310Bq/L
※ 4月21日の降水量合計は1.5mm(原発近傍の気象庁観測点「浪江」)
最終更新: