東京電力がホームページで公開している資料のうち、定期的な発表時間にこだわらず、緊急時や非常時の情報提供に使われることもある「報道関係各位一斉メール」で、汚染水の海洋流出に関連する重大は発表があった。
海に流れたのは事実だが、汚染度はわからない?
2号機原子炉建屋に付随する大物搬入口の屋上には、セシウム-134が最高8,400Bq/L、セシウム-137が23,000Bq/L、全ベータが52,000Bq/Lなど高濃度のたまり水があり、降雨などの際に流れ出し、K排水路と呼ばれる建屋山側地下に設置された暗渠の排水路から海に直接流れ出ていることが大きな問題になったのは2月末のことだった。
※この件で東京電力は、事態を把握してから10カ月も発表しておらず、このことが大きな批判を呼んだ。ここで語られたのは「雨水だから」という説明だった。
17日に本格運用を始めたポンプが…
東京電力では、K排水路内にポンプを設置して、直接海にではなく、港湾内につながるC排水路へ移送できるように設備を整え、4月17日から本格運用していたという。
本日(4月21日)午前8時45分頃、ポンプ(8台)の稼働状況を確認したところ、停止していること、および雨水が堰を乗り越え海に流れていることを確認しました。
海に流出した「汚れた雨水」は測定しないのか?
発表された資料では、海に流出した「もの」の測定値は示されていない。
汚染されたたまり水を含む排水だからこそ、海に直接ではなく、いったん港湾内に流そうとしていたわけだが、東京電力はこの汚染された水をここでも「雨水」と呼んでいる。
港湾内は汚染水の廃棄場所なのか?
また、シルトフェンスや防潮堤で囲われているとはいえ、原発の港は太平洋とつながっている。シルトフェンスは水を遮断するものではなく、水中に垂らされたカーテンのようなものに過ぎない。そんな場所に流すことが許されるのか、理解に苦しむ。
「汚染水は港湾内に閉じ込められている」という発言を守るためだけの措置なのか。
以下、発表されたリリースの引用
福島第一原子力発電所 K排水路からC排水路への水移送ポンプの停止について
福島第一原子力発電所構内のK排水路の水については、同排水路内にポンプを設置し港湾内に繋がるC排水路へ水を移送することとしており、2015年4月17日より、本格運用を開始しました。
本日(4月21日)午前8時45分頃、ポンプ(8台)の稼働状況を確認したところ、停止していること、および雨水が堰を乗り越え海に流れていることを確認しました。
原因については、現在、調査中です。
以 上
漏れでた理由は記されていない。当時の降雨量を考えると、雨の影響で水があふれたとは考えにくい。
事故原発に近い気象庁の「浪江」観測点のデータでは、
4月18日の降水量合計は0.0mm
4月19日の降水量合計は0.0mm
4月20日の降水量合計は5.5mm
21日の降水量は
1時 0.5mm
2時 0.5mm
3時 0.5mm
以後、漏洩が発生した8時台まで0.0mm
それ以降も17時まで0.0mm
雨による溢水は考えにくい。
NHKは4月21日15時01分付で、「報道関係各位一斉メール」に記されていない要素を一部に含む記事を発表している。
停止した原因はまだ分かっていないほか、復旧のめども立っていません。
問題のポンプは1時間に14ミリを超える雨が降ると、容量を超えて停止する仕組みになっていたということですが、当時は強い雨は降っていなかったということです。
福島第一原発 排水路のポンプ停止し汚染の雨水流出 | 東京電力 福島第一原発事故 関連ニュース | NHK 40年後の未来へ 福島第一原発の今
何かとんでもない原因が飛び出してくるかもしれない。東京電力が発表する続報や、定例記者会見に呼応して発表されるであろうマスコミ各社の記事の裏読みが大切だ。
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