4月15日(水曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
ストロンチウム処理水を高性能多核種除去設備で再処理する件で参考資料を発表。資料はペラ1枚でなんら説明されていない
発表された資料はこれ1枚。何のことやら理解できない。そもそも(Sr)ストロンチウム処理水とは「処理水」という名前ではあっても、実際は処理途中の汚染水でしかない。だからこそ「再処理」が必要になる。詳しくは下記。
セシウム吸着塔やモバイル型ストロンチウム除去装置(実際にはセシウム吸着塔と同様の装置らしい)の処理を経た、ストロンチウムなどの放射性物質を大量に含む「ストロンチウム処理水」(分かりにくいですねえ)を、経産省の肝煎りでつくった高性能多核種除去設備で処理する、ということであるらしい。
高性能容器(HIC)の蓋付近で高濃度のたまり水が発見された件の続報。追加で調査した10基のHICのうち4つでたまり水やにじみが見つかる
4月14日、10基のHICの現場調査を実施した結果、以下のとおり、1基のHICの蓋外周部に水溜まり、また、3基のHICの蓋外周部ににじみを確認。
【水溜まりを確認したHIC】 【製造番号】
・AH8ボックスカルバート内HIC→PO646393-197(水溜まり)
・E1ボックスカルバート内HIC →PO646393-211(にじみ)
・AG6ボックスカルバート内HIC→PO646393-187(にじみ)
・AH7ボックスカルバート内HIC→PO646393-185(にじみ)
高性能容器(HIC)は、汚染水処理で発生する濾過設備で放射性物質を濾しとった汚泥のような廃棄物や、放射性物質を吸収した吸着剤、濃縮された汚染水のような極めて汚染度が高い物質を保管する容器だ。密閉性が重要なのは言うまでもない。2012年の東京電力の資料によると、HICは薬剤耐性の高いポリエチレン製で寿命は300年などと説明されていた。
漏れてはならいし、漏れるはずがないものがHICの外に漏れているということだ。これは非常に重要な問題で、廃炉に向けてさらに大量な放射性物質が発生することを考えると、もっと注目されるべき事項だ。
ドクターヘリ搬送されて入院していた協力企業作業員が退院
※4月13日午前9時45分頃、協力企業作業員の男性が草刈り作業中に土中にあった針金が右腕に刺さり負傷したことから、入退域管理棟救急医療室にて医師の診察を受けた。
(中略)
負傷箇所の治療を実施。その後、医師の診察の結果、負傷箇所の経過観察のため入院していたが、(既出)
異常が確認されなかったことから、4月14日午前10時20分に退院。なお、医師による診断の結果、「右前腕部杙創」で、全治3週間の見込みと診断されているが、同日より軽作業の業務へ復帰。
1号機~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水の建屋外への移送は停止中
※タービン建屋所内ボイラー室近傍のサブドレン水、ディーゼル発電機(B)室近傍のサブドレン水の測定結果は示されていない
◆2号機
1号機の冒頭4項目と同じ記載に加え、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年4月14日午前10時49分~)
※滞留水移送は稼働中
◆3号機
1号機の冒頭4項目と同じ記載に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年4月14日午前11時34分~)
※滞留水移送は稼働中
2号機タービン建屋水位は前日から、5mm上昇
3号機タービン建屋水位は前日から、22mm下降
移送先の高温焼却炉建屋の水位は前日から、573mm上昇
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール
新規事項なし
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
水処理設備および貯蔵設備 ~第二セシウム吸着装置(サリー)「運転中」
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
その他の項目に新規事項なし
・セシウム吸着装置停止中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・RO濃縮水処理設備運転中
地下水バイパス
新規事項なし
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
4月14日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
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