3月30日(月曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
※ 未発表のデータを追記して更新しました
29日夜、原発構内でまた火災。今度は免震重要棟付近の側溝でホース、ケーブル類が損傷
※平成27年3月29日午後8時35分頃、福島第一原子力発電所免震重要棟から西側へ向かう道路脇の側溝付近において、側溝内から煙が出ているとの連絡が緊急時対策本部に入った。
同日午後8時39分に双葉消防本部へ連絡し、午後8時43分に火元確認のため、当社社員(火元確認者)が現場へ出向するとともに、午後8時46分に自衛消防隊に対して現場への出動を要請。
現場に到着した当社社員(防護本部員)によって、同日午後8時57分頃から消火器を用いた初期消火を開始。午後9時1分に当社社員(火元確認者)が現場へ到着して確認したところ、側溝上に敷いてある鉄板の隙間より発煙があることを確認。午後9時26分、発煙は停止し、引き続き現場確認を行っている。
また、発煙が発生したこととの因果関係は不明だが、同日午後8時5分頃、5,6号機にある起動用変圧器にて地絡警報が発生。直ちに関連パラメータを確認したところ、電圧に異常がないことを確認。午後8時41分に発電所構内の水処理建屋*へ供給している電源のしゃ断器を開放したところ、地絡警報は解除された。
*:発電所構内で使用するろ過水を作るための建屋であり、汚染水は扱っていない。
同日午後9時45分からの公設消防による現場確認においても発煙がないことを確認。なお、公設消防については、午後10時10分に発電所構内から退構。その後、当社にて側溝上に敷いてある鉄板を退けた上で側溝内を確認したところ、側溝内を通っている複数のケーブル・ホース類が約5mの範囲で損傷していることを確認。損傷状況等については、夜明け以降に調査する。また、今後、発煙の状況について公設消防にて判断するとのこと。
なお、現時点において、発電所構内ダストモニタおよびモニタリングポストの指示値に有意な変動はない。また、同日午後9時30分現在、現場周辺のダスト放射能濃度を測定したところ、検出限界値未満(検出限界値:8.2×10-5Bq/cm3)でした。(現場周辺の雰囲気線量は5μSv/h)
発煙および地絡警報の発生により、現時点で関連パラメータに異常はなく、けが人等は確認されていない。
平成27年3月30日、側溝内を通っている複数のケーブル・ホース類について、現場調査の結果、9本のケーブル・ホース類が通っていることを確認。確認したケーブル・ホース類については、以下の通り(残りの3本のケーブル・ホース類については、現在調査中)。
・原子炉注水用ホース(仮設消防車用)1本
・使用済み燃料プール補給用ホース(非常用)2本
・No.1,2純水タンク補給水用電動弁ケーブル1本
・No.1,2純水タンクレベル計監視用電源ケーブル1本
・水処理メタクラ(A系)用電源ケーブル1本
また、5,6号機の起動用変圧器5SA-2において発生した地絡警報は、水処理メタクラ(A系)用電源ケーブルが損傷したことにより発生したものと推定。今後、発煙の原因調査を行うとともに、損傷したケーブル・ホース類の応急措置等の検討を行う。
地絡の原因がケーブルの損傷と見られること、火災が発生したケーブルの電源構成、損傷のあったケーブル・ホースについて追記されたリリースが、上記資料と同じタイトルで発表された。(リンクページには「17時現在」と記されている)
2012年に発見された3号機格納容器のシールドプラグが移動してい件での調査結果
1号機~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成27年3月26日午前10時14分~)
※滞留水移送は実施中
◆3号機
1号機と同じ4項目
※滞留水移送は停止中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・平成26年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール
新規事項なし
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
水処理設備および貯蔵設備 ~セシウム吸着装置「運転中」
・セシウム吸着装置運転中
それ以外の項目に新規事項なし
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・RO濃縮水処理設備運転中
地下水バイパス ~通算56回目となる海洋排出を開始
※地下水バイパス一時貯留タンクグループ3の当社および第三者機関による分析結果[採取日3月19日]については同等の値であり、ともに運用目標値を満足していることを確認。(既出)
3月30日午前10時23分、海洋への排水を開始。同日午前10時28分に漏えい等の異常がないことを確認。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
3月29日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<E-1の全ベータ値>
3月18日採取 13,000Bq/L
3月19日採取 12,000Bq/L
3月20日採取 16,000Bq/L ※漸減傾向から再上昇
3月21日採取 11,000Bq/L ※再び減少に転ず
3月22日採取 9,900Bq/L
3月23日採取 7,700Bq/L
3月24日採取 7,500Bq/L
3月25日採取 7,300Bq/L
3月26日採取 7,200Bq/L
3月27日採取 6,800Bq/L
3月28日採取 6,400Bq/L
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<G-1のトリチウム値>
3月10日採取 200Bq/L
3月17日採取 3,400Bq/L
3月19日採取 1,900Bq/L
3月20日採取 3,100Bq/L
3月21日採取 1,400Bq/L
3月22日採取 1,100Bq/L
3月23日採取 1,400Bq/L
3月24日採取 1,700Bq/L
3月25日採取 2,400Bq/L
3月26日採取 600Bq/L ※大幅に減少
3月27日採取 710Bq/L
3月28日採取 450Bq/L
※ 3月10日以前の最高値:480 Bq/L(平成26年6月18日)
<G-2のトリチウム値>
3月17日採取 290Bq/L
3月18日採取 260Bq/L
3月19日採取 300Bq/L
3月20日採取 2,500Bq/L ※前日までの動きから桁違いの上昇
3月21日採取 250Bq/L ※前日の10分の1
3月22日採取 210Bq/L
3月23日採取 260Bq/L
3月25日採取 270Bq/L
3月26日採取 250Bq/L
3月27日採取 230Bq/L
3月28日採取 210Bq/L
1~4号機タービン建屋東側
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1号機放水路
新規事項なし
関連データ(東京電力以外のサイト)
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成27年3月30日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新:
51mister
また火災...どうなっているのやら。それにしてもメディアは、あまりにも騒ぎませんね。この間の火災の原因も発表されていないのでは?まさか、このままなかったことにならないだろうか。いったいどこの国なんだ、この原発がある場所は。
51mister
3/31は柏崎刈羽原発でも5号機のタービン建屋で火災が発生したみたいですね。分電盤が燃えたということは、古賀茂明さんみたいにTVから降ろされた『でんこちゃん』の恨みでしょうか。
fnp1monitor
でんこちゃん、フェイスブックページやってましたよ。まるで何もなかったかのように。