4月3日(金曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
保管中の高性能容器(HIC)上に全ベータが1リットル当たり390万ベクレルのたまり水
1立方センチ当たり50万ベクレルのストロンチウムを含む汚染水を、100倍に濃縮したもの(1リット当たり50億ベクレル)を収める高性能容器(HIC)の上部と、HICを格納しているコンクリート製のボックスカルバート底にたまり水が発見された。
たまり水の分析結果を1リットル当たりに換算すると、
【AJ5】
・セシウム134 1,900 Bq/L
・セシウム137 6,800 Bq/L
・全ベータ 3,000,000 Bq/L
【AJ8】
・セシウム134 1,900 Bq/L
・セシウム137 7,100Bq /L
・全ベータ 3,900,000 Bq/L
実際にHIC内に収められている汚染水の濃度は測定されていない。結露した水とは考えられない高線量だが、東京電力の対応が緩慢に見えるのは気のせいか。
※4月2日午後1時頃、福島第一原子力発電所第二保管施設において、協力企業作業員が、ボックスカルバート*内に収納されている高性能容器(HIC)の確認作業を実施していたところ、HICの上部に溜まり水があることを確認。
*ボックスカルバート
鉄筋コンクリート製の箱型保管施設
ボックスカルバート内には、HIC2基を収納
その後、HICに触れた際、HIC蓋外周部のベント孔より、水が滴下したことを確認。なお、ボックスカルバート外への漏えいはなく、当該作業にあたった15名の作業員への汚染はない。現場確認の結果、2箇所のボックスカルバート(AJ5、AJ8)において、水溜まりがあることを確認。
・AJ5ボックスカルバート:床面(約15L)およびHIC蓋外周部(約10L)(1基)
・AJ8ボックスカルバート:HIC蓋外周部(約1L)のみ(1基)
また、AJ5およびAJ8ボックスカルバート内のHIC蓋外周部に溜まった水の分析結果は以下のとおり。
【AJ5】
・セシウム134 1.9×10^0Bq/cm3
・セシウム137 6.8×10^0Bq/cm3
・全ベータ 3.0×10^3Bq/cm3
【AJ8】
・セシウム134 1.9×10^0Bq/cm3
・セシウム137 7.1×10^0Bq/cm3
・全ベータ 3.9×10^3Bq/cm3
【参考:HIC内水の放射能濃度】
HIC内の水については実際に分析を行っていないが、10^5Bq/cm3の原水(主にストロンチウム)を100倍程度濃縮した水(10^7Bq/cm3)を収納する設計となっている。
なお、これまでボックスカルバート内部については定期的に点検をしており、3月30日の点検において、協力企業はクレーンカメラにてAJ5ボックスカルバート内部床面に水溜まりがあることを確認し、3月31日に当社は報告を受けた。
3月31日に当該部のスミヤ採取・測定をした際に、目視にてHIC蓋外周部に水溜まりがあることを確認。当社はHIC上部からの漏えいは考えづらいこと、また、スミヤ測定結果においてHIC蓋外周部は100kcpm超であったものの、床面は34kcpmであったことから結露水と判断した。ただし、線量があったことから、念のため、ボックスカルバート内の確認作業を翌日以降も継続とした。
4月1日は降雨の影響により、ボックスカルバート内に雨水が流入するため、作業を中止。
4月2日にHIC蓋外周部の溜まり水を回収した際、HIC蓋のベント孔から水が出てきたことを確認。また、他のボックスカルバート内も確認できる範囲で点検を実施したところ、AJ8ボックスカルバート内のHIC蓋外周部に少量の水溜まりがあることを確認。
今後、原因について調査するとともに、他のボックスカルバート内の状況確認も可能な範囲で実施していく。
※ スミヤ検査とは、表面を拭きとった布などによる間接的な放射能汚染調査
1号機~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年3月26日午前10時14分~)
※滞留水移送は実施中
◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年4月1日午前10時3分~)
※滞留水移送は実施中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール
新規事項なし
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
水処理設備および貯蔵設備 ~セシウム吸着装置「停止中」
・セシウム吸着装置停止中
その他の項目に新規事項なし
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・RO濃縮水処理設備運転中
地下水バイパス
新規事項なし
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
4月2日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、堰床部に溜まっている雨水の影響により測定を一部実施出来ない箇所を除き、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<E-1の全ベータ値>
3月20日採取 16,000Bq/L ※漸減傾向から再上昇
3月21日採取 11,000Bq/L ※再び減少に転ず
3月22日採取 9,900Bq/L
3月23日採取 7,700Bq/L
3月24日採取 7,500Bq/L
3月25日採取 7,300Bq/L
3月26日採取 7,200Bq/L
3月27日採取 6,800Bq/L
3月28日採取 6,400Bq/L
3月29日採取 7,400Bq/L ※漸減傾向から再び上昇
3月30日採取 7,000Bq/L
3月31日採取 7,800Bq/L
4月1日採取 8,100Bq/L
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<G-1のトリチウム値>
3月25日採取 2,400Bq/L
3月26日採取 600Bq/L ※大幅に減少
3月27日採取 710Bq/L
3月28日採取 450Bq/L
3月29日採取 460Bq/L
3月30日採取 390Bq/L
3月31日採取 320Bq/L
4月1日採取 320Bq/L
※ 3月10日以前の最高値:480 Bq/L(平成26年6月18日)
<G-2のトリチウム値>
3月29日採取 290Bq/L ※漸減傾向から再び上昇
3月30日採取 220Bq/L
3月31日採取 270Bq/L
4月1日採取 300Bq/L
<G-3のトリチウム値>漏洩タンクから最も遠いG-3もトリチウム値が上昇
3月30日採取 310Bq/L
3月31日採取 390Bq/L
4月1日採取 360Bq/L
1~4号機タービン建屋東側 海側遮水壁内外の海水から過去最高値のH-3を検出
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
最終更新: