港湾外の海の全ベータが過去最高値。前日比で1ケタ上昇
3月25日(水曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
冷却用電源が失われた際、非常用発電機に燃料供給するNo.3軽油タンクの点検工程を見直し。3月末完了予定を5月末に
非常用発電機に燃料を供給するNo.3軽油タンクは、点検のため平成26年10月30日から燃料を全部抜き取るって作業を行うことになっていた。点検作業は平成27年3月までの予定だったが、5月末までに工期が延長になったと発表された。理由としては、1月末に重大な労働災害事故で死亡者まで出したことを受けての安全総点検で、廃炉に関する作業がストップしたことと、タンク上部のマンホール修理を追加したことによる工程見直しをあげている。
平成27年3月に点検終了(軽油張り込み完了)を予定していたが、今般の安全総点検および当該タンク上部にあるマンホールの修理作業を追加し工程を見直したことより、点検終了時期を平成27年5月に変更。
1号機~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
◆2号機
1号機と同じ4項目
※滞留水移送は停止中
◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成27年3月19日午前10時38分~)
※滞留水移送は実施中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・平成26年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)停止中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・RO濃縮水処理設備運転中
地下水バイパス ~通算54回目となる海洋への排出を終了。排出量は1,459トン
3月24日午前10時9分、海洋への排水を開始。同日午前10時29分に漏えい等の異常がないことを確認。(既出)
同日午後3時58分に排水を停止。排水停止状態に異常のないことを確認。排水量は1,459m3。
地下水バイパス揚水井分析結果(3月23日採取)揚水井No.10のトリチウムが過去最高値
<地下水バイパス揚水井No.10>過去最高値
トリチウム(H-3):900 Bq/L
これまでの最高値は890 Bq/L(平成27年2月26日)
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
3月24日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、堰床部に溜まっている雨水の影響により測定を一部実施出来ない箇所を除き、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<E-1の全ベータ値>
3月18日採取 13,000Bq/L
3月19日採取 12,000Bq/L
3月20日採取 16,000Bq/L ※漸減傾向から再上昇
3月21日採取 11,000Bq/L ※再び減少に転ず
3月22日採取 9,900Bq/L
3月23日採取 7,700Bq/L
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<G-1のトリチウム値>
3月10日採取 200Bq/L
3月17日採取 3,400Bq/L
3月19日採取 1,900Bq/L
3月20日採取 3,100Bq/L
3月21日採取 1,400Bq/L
3月22日採取 1,100Bq/L
3月23日採取 1,400Bq/L
※ 3月10日以前の最高値:480 Bq/L(平成26年6月18日)
<G-2のトリチウム値>
3月17日採取 290Bq/L
3月18日採取 260Bq/L
3月19日採取 300Bq/L
3月20日採取 2,500Bq/L ※前日までの動きから桁違いの上昇
3月21日採取 250Bq/L ※前日の10分の1
3月22日採取 210Bq/L
3月23日採取 260Bq/L
1~4号機タービン建屋東側 ~南北の防波堤の外側、つまり「港湾外」の海水で全ベータがNDから2ケタに上昇(北防波堤北側・港湾口北東側・南防波堤南側)
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<北防波堤北側>過去最高値
全ベータ:18 Bq/L(3月24日採取分)
前回の測定値は ND(1.6)(3月16日採取分)
これまでの最高値は 4.7Bq/L(平成25年8月14日採取分)
<北港湾口北東側>過去最高値
全ベータ:17 Bq/L(3月24日採取分)
前回の測定値は ND(1.6)(3月16日採取分)
これまでの最高値は 1.8Bq/L(平成26年10月1日・12月15日採取分)
<南防波堤南側>過去最高値
全ベータ:15Bq/L(3月24日採取分)
前回の測定値は ND(1.6)(3月16日採取分)
これまでの最高値は 2.8Bq/L(平成26年4月23日採取分)
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1号機放水路
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆採取日(3月16日)→ (3月18日)→ (3月20日)→ 最新(3月23日)
<1号機放水路立坑水(上流側)>
セシウム134:26,000 Bq/L → 26,000 Bq/L → 24,000 Bq/L → 22,000 Bq/L
セシウム137:89,000 Bq/L → 90,000 Bq/L → 81,000 Bq/L → 76,000 Bq/L
全ベータ: 110,000 Bq/L→ 110,000 Bq/L→ 100,000 Bq/L → 96,000 Bq/L
トリチウム: 590 Bq/L → 540 Bq/L → 440 Bq/L → 500Bq/L
<1号機放水路立坑水(下流側)>
セシウム134:1,800 Bq/L → 2,000 Bq/L → 2,100 Bq/L → 2,000 Bq/L
セシウム137:6,200 Bq/L → 7,200 Bq/L → 7,400 Bq/L → 6,900 Bq/L
全ベータ: 9,700 Bq/L → 11,000 Bq/L → 10,000 Bq/L → 11,000 Bq/L
トリチウム: 1,400 Bq/L → 1,500 Bq/L → 1,300 Bq/L → 1,200 Bq/L
関連データ(東京電力以外のサイト)
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成27年3月25日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: