陸前高田【大石祭り組】虎舞のこころ

iRyota25

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陸前高田・大石の虎舞1

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今年の虎舞は陸前高田物産センターから。坂の上にある陸前高田市立第一中学校の臨時グラウンド(元々のグラウンドには仮設住宅が立ち並んでいます)の向かい、気仙地方の地酒として愛され続ける酔仙酒造があった場所、たくさんの民家が立ち並んでいた場所でもあります。いまでは物産センターとコンビニがあるくらい。周辺ではかさ上げ工事が進められています。風が、とにかく風が強いのです。

陸前高田・大石の虎舞2

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物産センターから坂道をのぼって、地元のお宅や栃ケ沢ベースの仮設商店などで門付して回ります。栃ケ沢仮設団地の駐車場でも舞いを披露しました。お囃子にひかれて「うちでもお願いします」と何軒かのお宅からも声が掛かりました。(冒頭の音が少し切れています。すみません。画面が曇っているのは、舞いで汗をかいたから。胸ポケットにスマホを入れていたので…)

とにかく大きくて、不思議とリアルな虎の舞い

虎舞は三陸地方の村々、浜、それぞれの町内に伝わる新年の舞い。地域によって権現様の獅子舞だったり、こちら大石の虎の舞いだったりさまざまです。大石の虎舞は舞い手も囃子方もみんなが縞模様の虎の股引を着て、大きな獅子には3人が入るので足が6本。集落の家々を門付(かどづけ)して回ります。

右が雄、左の黄色い方は雌とのこと。雌の虎は中学男子が演じます。今年参加した中学男子は3人だったので、交代なしでずっと舞い続けていました。お疲れ様!

右は子どもの虎。お囃子方の女性二人が舞いました。笛を吹いたり虎を舞ったり。大石の虎舞は少数精鋭です。

栃ケ沢ベースでも舞いました。おかし工房「木村屋」さん、おしゃれな器と和雑貨、そして地酒の「いわ井」さん、行列ができるお蕎麦屋さんの「やぶ屋」さん、心からの笑顔を撮影している「大坂写真館」さん、地域医療に貢献する「平成歯科医院」さん。お店の中にもお邪魔してこころを込めて舞いました。虎の胴体の中から見るお店の風景は、ふだんの視界とはまったく違っていて不思議な感じ。舞い終わって虎から出ると、お店のみなさんが笑顔で拍手してくれる、それが嬉しくて仕方がないのです。(ここまでの間に4回胴体に入らせてもらいましたが、もうこの時点で汗だく)

こちらは仮設住宅での虎舞。「頼んでいなかったんだけど、うちでも舞ってもらえませんか」との声に応えての舞いです。大石の虎舞の掛け声は「じょいわな、じょいわな、悪魔払ってじょいわな」。幸せを祈る舞いです。

太鼓やお頭の移動はリアカーで。大石は坂の町なのでリアカーを曳くのも一仕事。坂道をのぼりながら太鼓方のKさんが、町の昔のことを話してくれます。岩手県の沿岸部でもっとも大きい平野だった高田平野の奥、平地から坂に地形が変化していく辺りに位置する大石の集落ですが、町の3分の2が失われてしまったそうです。家々を訪ねて回って門付する虎舞は鎮魂の舞いでもあるのだと思うのです。

虎を抱えて坂を下っていく先に、かさ上げ工事が進む高田平野が見えています。

坂の途中の左官屋さんの前で休憩していると、川原の町の祭り組が栃ケ沢ベースで舞いを始めました。こちらは秋葉権現川原獅子舞。悪魔祓いの権現舞です。舞いも装束もお囃子も(そして人数も)大石の虎舞とは違っていて興味深いものがありました。

川原の権現舞はお囃子の太鼓を軽トラに載せて。しかもスピーカー付き。

川原の権現舞を見にきた大石の面々。祭りって不思議なもので、ほかの組を見るとちょっとした対抗心のようなものが頭をもたげる。同じ地元の仲間なのだけれど、「やっぱ大石の虎舞だよな、虎々の股引もお洒落だし」などと。(と思ったのは自分だけかもしれないけれど)

大石祭り組の面々が虎舞に戻っていきます。栃ケ沢ベース前の国道からは、坂の下に高田の町が一望できるのです。

「虎舞が体験できるらしいよ」と友人に誘われて、前夜祭が行われるという公民館を訪ねると、「参加者が少ないから会場を居酒屋に変更」とのこと。市役所の仮庁舎近くにある居酒屋に入るとメンバーは4人。獅子舞と同様に相当ハードな舞いだから、入れ代わり立ち代わり交代しながら舞うもんだと思い込んでいたので少々面食らう。

しかし、飲み食いしながらの話は楽しくて。みんな同じ地元で生まれ育って、小学校や中学校は同級生や先輩後輩。会話に引き込まれた。

「近道だからって、わざわざ丘を越えて小学校に行っていたけど、下の道を通ったほうがはるかに早かった」
「雨が降ると小学校の校門の下の側溝が水であふれそうになる。そこを堰き止めてダムをつくると道が水浸し。先輩たちがそれをやってる姿を見て、よし俺たちも上級生になったらやるぞって思ってた」
「伝統って、そうやって受け継がれていくんだよ」
「小学校は遠かったから行き帰りも楽しかったけど、中学はすぐそばの坂の上だからな。うちなんか本当に中学のすぐ下だから遅刻しそうになると先生が上の方から叫ぶんだ。こら早くしねえと遅刻だぞって」
「松原にもよく行ったよな。林の中に○○本が落ちてたりしてね」
「酔仙酒造は試飲もできてね。中学生なのにもぐりこもうとすると、ポカってやられちゃうんだ」
「おれもそうだったな」
「そうそう、そうやって受け継がれていくんだよ」

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