雨がたくさん降っているから漏えい警報は雨水のせいと判断するのは科学的か
5月1日(木曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。
3号機タービン建屋1階西側廊下エリアで建屋内漏えい検出器の警報
※5月1日午前11時7分頃、3号機タービン建屋1階西側廊下エリアに設置した建屋内漏えい検出器の警報が発生。
その後、現場状況を確認したところ、3号機廃棄物処理建屋中央操作室の天井部から流れ込んだ雨水(指4本程度の流れ)が3号機タービン建屋1階西側廊下エリアに流入して、当該漏えい検出器を動作させていることを確認。
また、本日午前10時から午前11時までの1時間における福島第一原子力発電所構内の降雨量は約24mmであり、降雨量が多い状況であった。このことから、当該漏えい警報の発生は、雨水によるものと判断。
上の写真(方角は上が西)は2011年3月30日に空撮された3号機。曲がった鉄骨が見えるのが原子炉建屋で、右に隣接するのが3号機廃棄物処理建屋。下の建物が3号機タービン建屋。タービン建屋の屋根には大きな穴が2つ。それぞれ直径14m、直径4mと言われる。
キノコ雲を伴う大きな爆発で上空に吹き飛ばされた何かが、タービン建屋に落下して開けた穴だと考えられている。
廃棄物処理建屋も大変な状況と見受けられる。
現在は穴も補修され、ガレキの撤去も進んでいるらしいが、漏えいが発生したのはこのような場所。
5号機タービン建屋地下1階南西側の立溝ピット内の漏えい警報が発生
※5月1日午前11時22分頃、5号機タービン建屋地下1階南西側の立溝ピット内の漏えい警報が発生。その後、現場状況を確認したところ、立溝内の配管に漏えい等の異常はない。なお、当該立溝は、2月19日に発生した立溝ピット内漏えい警報発生の対策として現在修理中。本日は休工中のため修理箇所のシート養生を実施。本日の強い降雨のため、シート養生の隙間から雨水が立溝に流れ込んでいたことから、漏えい警報が発生したことを確認。また、本日、シート養生の応急処置を実施。
上記の3号機と同様に、雨がたくさん降っていたから漏えい警報は雨のせいと「確認」とのこと。
2号機タービン建屋の海側道路に油漏れの跡
※5月1日午後0時36分頃、2号機タービン建屋東側道路において、油漏れ跡があることを作業員が発見し、緊急時対策室に連絡。油漏れ跡の範囲は、約6m×約6mの1箇所。同日午後0時58分に双葉消防本部へ一般回線にて連絡。同日午後1時25分頃、油漏れ跡の拭き取り終了。
1号機
新規事項なし
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
2号機
1号機の4項目に加えて、タービン建屋地下の高濃度汚染水の移送について記載。今回の送り先は隣の3号機タービン建屋地下。
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送中(平成26年5月1日午前10時10分~)
3号機~6号機
新規記載なし
◆3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年4月24日午前10時34分~)
※使用済燃料プール循環冷却系については、使用済燃料プール内の燃料交換機本体撤去作業に伴い、4月23日~6月上旬の間、原則毎週月曜日午前7時~土曜日午後4時の間停止予定(停止時間は最長で129時間、毎週土曜日午後4時~月曜日午前7時の間は運転予定)。また、水温は運転上の制限値65℃に十分な余裕を持った45℃を超えることがないよう、同冷却系停止前のプール水温度を29℃以下として管理する。
<最新の作業実績>
4月30日午後2時6分起動(起動後の温度:23.3℃)
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備の状況
新規記載なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
焼却工作建屋の水位、焼却工作建屋西側サブドレン水の分析結果
<最新の集中廃棄物処理施設各建屋水位>
各建屋内の滞留水の深さについては、常設水位計による監視において、プロセス主建屋への移送後の水位と比較し、焼却建屋では0.7cmの上昇、工作建屋では0.1cmの上昇。引き続き監視を継続。
5月1日午後2時現在の各建屋深さ
・焼却建屋:深さ18.3cm(4月14日移送停止後と比較し、0.7cm増)
・工作建屋:深さ5.1cm(4月14日移送停止後と比較し、0.1cm増)
<最新のサブドレン水サンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
焼却建屋の水位が1ミリ上昇。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
<最新のパトロール結果>
4月30日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。また、堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による水位監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側の状況
新規事項なし
1~4号機サブドレン観測井の状況
新規事項なし
地下貯水槽の状況
サンプリング以外、新規事項なし
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年5月1日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: