2014年4月15日 今日の東電プレスリリース

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考えられない移送ミスから2日。東京電力がどのような対応をとるのかに注目が集まる。プラスチックタンクからの漏洩や5号機の冷却システムトラブルなど、ここ数日の事態への対応は待ったなし。

4月15日(火曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。

 福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月15日
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 東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響について|東京電力
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「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」の一覧ページ。過去の「日報」との比較に役立ちます。

コントロールされている原発で、汚染水が想定外の建物へ

汚染水処理でまた発生したトラブル。下記のページで問題点を整理。

 さすがに表情が固まった東京電力の記者会見。またも汚染水トラブル。今度はメルトダウンした核燃料を冷やした超・高濃度の汚染水を移送ミス。しかも移送をストップしたのは異常発覚の翌々日。
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15日に新たに書き加えられたのは、誤って汚染水を移送した建物(焼却工作建屋)からプロセス主建屋(本来移送するはずだった建物)への移し替えについて。

4月14日午後5時8分、移送ポンプの吸込み位置の関係で、これ以上、当該ポンプでの移送は困難であると判断し、移送を停止。

移送停止後に作業員により現場で目視点検を実施し、移送ラインに異常がないことを確認。焼却工作建屋地下1階の広がりの範囲(深さ)については、移送終了時点で、焼却建屋は4mm低下し、17.6cmとなり、移送を実施していない工作建屋の水位については、変化はみられなかった。

なお、4月15日以降のプロセス主建屋への移送については移送方法を見直し、準備ができ次第、移送を再開する。

焼却工作建屋地下1階の広がり範囲(深さ)の確認については、定期的に現場に出向し、仮設水位計にて測定していた。その後、焼却工作建屋内に常設されていた水位計(焼却工作建屋への滞留水貯留を想定し、水位監視用に設置してあったもの)が使用可能なことを確認できたことから、4月14日午後10時頃より、焼却工作建屋地下1階の漏えい範囲(深さ)の確認方法を常設水位計を用いた常時監視に切り替え。なお、水位計の切り替え以降、常設水位計による常時監視においても、各建屋の水深に変化はない。

<4月15日午後2時時点の各建屋水深>
・焼却建屋:深さ17.6cm(変化なし)
・工作建屋:深さ5.0cm(変化なし)

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月15日

4月13日に確認された、H5タンクエリア脇に設置したプラスチックタンクからの漏えいについて

※4月13日に確認された、H5タンクエリア脇に設置したプラスチックタンクからの漏えいについて、当該タンクは、平成25年末頃*2、堰内塗装作業に先立って実施していた堰内洗浄の際に、雨水の溜まった堰内から回収した水(堰内床面の泥を含む)を貯留していたものであり、その後、引き続き堰内の洗浄等で使用する可能性があったことから、そのまま設置していたものと判明。漏えい原因については、当時、付近を走行していた重機との関連性を含め、詳細調査を実施中。なお、4月14日に漏えい範囲の土壌について回収作業を終了(回収量:約8m3)。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月15日

5号機残留熱除去系ポンプ(D)において、「補機振動監視盤異常(一括警報)」、「RHR Dモータ上部振動大」の警報

原発停止中の炉心冷却に使われる残留熱除去系ポンプに警報。他の系統に切り替えて運転を再開したことについて新規記載

※4月14日午後7時37分、5号機残留熱除去系ポンプ(D)において、「補機振動監視盤異常(一括警報)」、「RHR Dモータ上部振動大」の警報が発報したことから、午後7時47分、当該ポンプを停止。午後8時4分、5号機残留熱除去系ポンプ(B)に切り替えて残留熱除去系の運転を再開。運転再開時の炉水温度は32.4℃で変化は無く、5号機残留熱除去系ポンプ(D)の停止状態に異常は無い。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月15日

日常的に起こりうることと考えざるをえない。

作業中の重機の油圧ホースから油が噴き出し(続報)

※4月14日午前9時25分頃、1,2号機取水口の止水対策工事において、水素ボンベ建屋の解体作業中に重機の油圧ホースより油が噴き出していることを作業員が発見。油の漏えいは、現在止まっており、漏えいした油については吸着マットにて処理を行っており、海への油の流出はない。また、同日午前9時39分に双葉消防本部へ一般回線にて連絡を実施。(ここまで既報)

その後の調査において、油圧ホースの劣化が漏えいの原因と推定。

重機使用前には、油圧ホースの油じみ等の点検を実施し、異常がないことを確認していたが、当該ホースは瓦礫等により損傷しないようゴムにより被覆保護されていたことから、ホース本体の亀裂等の確認ができない状況だった。

対策については、検討中。なお。富岡消防署による現場確認の結果、4月14日午前11時30分に「危険物の漏えい事象」と判断された。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月15日

重機の油圧ホースの損傷は日常的に起こりうることだが、日常的に線量が高い地域での作業による劣化の可能性は否定できない。その前提の上に立っての上記の報告。

1号機~6号機

◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆2号機
1号機の4項目に加え、タービン建屋の高濃度汚染水の移送を開始

・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送中(平成26年4月15日午前10時9分~)

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月15日

3号機〜6号機

新規事項なし

◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年3月12日午後3時48分~)

◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

共用プール・水処理設備および貯蔵設備の状況

◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

加えて、4号機燃料プールからの燃料移動作業で発生する輸送容器の内包水等についての移送を新規に報告。

・4号機使用済燃料プールから共用プールへの燃料移動作業において発生する構内用輸送容器(キャスク)内包水(4号機使用済燃料プール水)および構内用輸送容器(キャスク)内洗浄水については、沈降分離処理し、共用プール低電導度廃液受タンクで貯水しているが、そのタンクが満水レベルに達したことから、平成26年4月15日午前10時10分から午後1時5分にかけて、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)への移送を実施。なお、本移送は今後も適宜実施していく。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月15日

◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中

H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果

◆最新のパトロール

<最新のパトロール結果>
4月14日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。また、堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による水位監視(トレンドによる監視または警報監視)においても異常がないことを確認。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月15日

◆H4エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月15日

◆H6エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月15日

1~4号機タービン建屋東側の状況

新規事項なし

1~4号機サブドレン観測井の状況

新規事項なし

地下貯水槽の状況

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月15日

 福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月15日
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以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年4月15日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太

 【ぽたるページ】今日の東電プレスリリース「ここがポイント」
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