4月10日(木曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。
5・6号機所内変圧器6Bで油漏れか
現在使用されていないという変圧器下部の電線用ピット(立坑)で絶縁用の油と思われるものが溜まっていることが判明。
※4月10日午後1時10分頃、5・6号機所内変圧器6Bにおいて、変圧器下部にある電線用ピット(約2m×3m)に絶縁油と思われる油溜まりがあることを、パトロール中の当社社員が発見。変圧器からの油の滴下等は確認されていない。今後、原因等について詳細な調査を実施する予定。なお、当該変圧器については、現在使用されていない。
また、同日午後1時37分に双葉消防本部へ連絡を実施。
1号機
新規事項なし
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
2号機
1号機と同じ4項目に加え、
2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送が停止したことを記載。
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送実施(平成26年3月27日午前9時49分~4月10日午前9時50分)
原子炉建屋とタービン建屋の地下には、大量の高濃度汚染水が滞留していますが、とにかく汲み出せばいいというものではなく、周辺の地下水位とのバランスを見て汲み出す量の調整が必要です。建屋地下の高濃度汚染水の水位が地下水位より高くなると、建屋地下から地下水脈へ高濃度汚染水が流出する危険があります。
逆に地下水位の方が高すぎると、建屋地下へどんどん地下水が流入し、高濃度汚染水と混ざってしまうことで、処理すべき水の量が増加してしまいます。
そのため、建屋地下からの汚染水移送は、水位のバランスを見ながらの運用になっているものと考えられます。
3号機~6号機
新規事項なし
◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年3月12日午後3時48分~)
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中v
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備の状況
◆共用プール
新規事項なし
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
上記のレギュラー項目に加え、水処理施設内での溜まり水移送を報告
・4月10日午前9時41分、集中廃棄物処理施設において、サイトバンカ建屋からプロセス主建屋への溜まり水の移送を開始。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
<最新のパトロール結果>
4月9日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。また、堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による水位監視(トレンドによる監視または警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
※H4エリアIグループNo.5タンクからの漏えいを受け、福島第一南放水口付近、福島第一構内排水路、H4エリアタンク周辺および地下水バイパス揚水井No.5~12のサンプリングを継続実施中。
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
※H6エリアC1タンクからの漏えいを受け、H6エリアタンク周辺のサンプリングを継続実施中。
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側の状況
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機サブドレン観測井の状況
新規事項なし
地下貯水槽の状況
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年4月10日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: