2014年4月23日 今日の東電プレスリリース

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注目すべきは「3号機プール冷却の停止」。今後6月上旬までの月曜日~土曜日、計画的に冷却を停止するとのこと。しっかり見つめて行かなければ!

4月23日(水曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。

 福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月23日
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 東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響について|東京電力
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「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」の一覧ページ。過去の「日報」との比較に役立ちます。

多核種除去設備(ALPS)A系、運転再開後に再度停止

多核種除去設備(ALPS)A系統で、さらにトラブルが続いている。原子力規制委員会の田中俊一会長の「新規につくられた化学プラントがすんなり稼働するとは思えない」との発言を思い出す。少しずつ不具合を調整し、問題を克服していくことを希うのみ。

スラリー流出による影響は、吸着塔4A入口まで確認されていることから、炭酸塩スラリーが流出しているA系のクロスフローフィルタの出口から、スラリー流出による影響があった吸着塔4Aの入口までの系統内洗浄を実施。

4月22日午後4時15分、本作業が終了したことから、A系の処理運転を再開したが、その後の現場確認にて、ブースターポンプ1出口側より水を採取したところ、若干の白濁があること、カルシウム濃度が高いことを確認したため、午後6時6分に処理運転を停止。

原因については、今後調査を実施。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月23日

スラリーとは、金属系の性質を含んだ汚泥のようなもの(スラッジ)。

薬品で沈殿させた放射性物質を含むスラリーを分離するはずが、なおも混入が続いているという報告。ALPSのあるべき稼働は、汚染水処理のスケジュールからして待ったなしではあるが、ここはしっかりした検証と対策が求められると思います。

参考までに4月9日の「原子力規制委員会委員長定例会見」から抜粋。

田中委員長

技術者として申し上げれば、ああいった新しい技術、しかも、決して簡単な技術ではないと思いますので、そういった化学処理のプラントが、すんなりと動くとは思っていなかったので、今までもそうですけれども、これからもいろんなトラブルを起こして、それを一つ一つ解決しながら、段々落ち着いた良い装置になっていくことを期待したいと思っています。

原子力規制委員会記者会見録 | 原子力規制委員会

共用プール建屋の空間線量を測定する3台のエリアモニタが、3日間にわたり欠測していた件(続報)

4号機プールから取り出した燃料が蓄えられる重要な施設である共用プール建屋で、線量を想定する装置3台が3日間にもわたって欠測していた件で続報。内容は原因解明に向けての前提状況の報告にとどまる。

その後の調査の結果、4月18日午前9時30分頃、制御盤改造工事のために当該エリアモニタの2重化された電源(A・B系)のうち、A系の電源を停止した際、B系の電源も一緒に停止していたことが判明。

また、当該エリアモニタには記録紙(チャート)が付いており、記録紙を一週間に1回確認することで、線量当量率が毎日1回測定されていることを確認しているが、4月22日、現場にて記録紙の確認を行った際、当該エリアモニタの電源が停止し、欠測していることを確認。

当該エリアモニタについては、4月23日以降に復旧する予定であり、その間は毎日1回、手サーベイによる当該エリア周辺の線量当量率を測定し、有意な変化がないことを確認する。

なお、共用プール建屋3階オペレーティングフロア(オペフロ)については、燃料取扱い作業のために可搬型のエリアモニタを設置し、当該エリア周辺の線量当量率を測定しており、当該エリアモニタが欠測している期間(4月19日~4月21日)において、警報等の異常が発生していないことを確認。

B系の電源が停止した原因については、引き続き調査を実施。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月23日

停止した原因もさることながら、トラブルが3日間に及んで見逃されたことの方がさらに重大な問題なのは間違いない。これから先も廃炉まで続く作業過程で、「見逃していました」では済まされない局面が長期にわたって続いて行くからだ。

見逃した続けた事態について検証することなく、欠測という事実についてのみの理由を説明したところで、廃炉に向けてのシステム全体としての安全性・信頼性の回復にはつながらない。

1号機〜2号機

新規事項なし

◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送中(平成26年4月18日午後4時39分~)

3号機

1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年4月21日午前9時34分~)

さらに、3号機5階のオペレーションフロアでのガレキ撤去を取り除く作業で、燃料交換機本体の撤去のため使用済燃料プールの冷却を停止。今後6月上旬まで月曜日~土曜日にかけて、同様にプール冷却を停止することを報告。

※4月23日午前7時5分、使用済燃料プール代替冷却系について、

使用済燃料プール内の燃料交換機本体撤去作業に伴い、当該機器に残存している油が万が一、当該代替冷却系に混入することを防止するため停止。

以降、4月23日~6月上旬の間、原則毎週月曜日午前7時~土曜日午後4時の間停止を予定し、停止時間は最長で129時間(毎週土曜日午後4時~月曜日午前7時の間は運転)。

なお、冷却停止時の使用済燃料プール水温度は15.4℃で、冷却停止時のプール水温度上昇率評価値は0.119℃/hで、停止中のプール水温上昇は約15℃と評価されることから、運転上の制限値65℃に対して余裕があり、使用済燃料プール水温度の管理上問題ない。

また、作業にあたっては運転上の制限値65℃に十分な余裕を持った水温として、45℃を超えることがないよう、使用済燃料プール代替冷却系停止前のプール水温度を29℃以下として管理する。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月23日

※ 以前から関係者の間でささやかれていた、「4月末から3号機で行われる大きなイベント」というのがこれを指すのかもしれません。

4号機~6号機

新規事項なし

◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

共用プール・水処理設備および貯蔵設備の状況

これまでの記載形式としての新規事項はない。ただし、水処理施設の一部が置かれている集中廃棄物処理施設内での汚染水の移送について、この項で新規記載された。

◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)停止中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中

・4月23日午前9時49分、集中廃棄物処理施設において、サイトバンカ建屋からプロセス主建屋への溜まり水の移送を開始。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月23日

焼却工作建屋の水位、焼却工作建屋西側サブドレン水の分析結果

タービン建屋から移送された高濃度滞留水を、誤って焼却建屋に移送した件で、常時監視と焼却工作建屋西側のサブドレン水の分析結果を報告。

<最新の集中廃棄物処理施設各建屋水位>
各建屋内の滞留水の深さについては、常設水位計による監視において、プロセス主建屋への移送後の水位と比較し、焼却建屋では0.4cmの上昇。工作建屋では水位に変化はなかった。引き続き監視を継続。
4月23日午前6時現在の各建屋深さ
・焼却建屋:深さ18.0cm(4月14日移送停止後と比較し、0.4cm増)
・工作建屋:深さ5.0cm(4月14日移送停止後と比較し、変化なし)

<最新のサブドレン水サンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月23日

H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果

◆最新のパトロール

<最新のパトロール結果>
4月22日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。また、堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による水位監視(警報監視)においても異常がないことを確認。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月23日

◆H4エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月23日

◆H6エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月23日

1~4号機タービン建屋東側の状況

サンプリング結果を記載

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月23日

1~4号機サブドレン観測井の状況

1~4号機建屋に隣接した井戸(サブドレンピット)内の溜まり水から放射性物質が検出されたのを受けて、流入経路を確認するための観測井戸を設置し確認を行っている。

新規事項なし

地下貯水槽の状況

サンプリング結果を記載

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月23日

 福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月23日
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以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年4月23日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太

 【ぽたるページ】今日の東電プレスリリース「ここがポイント」
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