4月17日(木曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。
プラスチックタンクからの水漏れ(続報)
4月13日に発生したH5タンクエリア脇に設置したプラスチックタンクの漏水の続報として、再現実験を行ったことと今後の対応について記載。
その前に、14日に公開された参考資料から、漏水が発生したタンクの写真とタンクがあった場所の地図を引用します。工事現場や畑などでも使われる、きわめて一般的なローリータンクと呼ばれるタンクで、
・平成25年末頃、タンクエリアの堰内の防水塗装工事の際に堰内から回収した水をためていたもの
・その後も堰内の洗浄などで使う可能性があったので、その場所に置いていた
とのことです。
以下、4月17日の日報の新規事項です。
プラスチックタンクの損傷を再現できないかを確認するため、建設重機(バックホー)による再現テストを実施。
その結果、キャタピラ部をプラスチックタンクの側面に接触させると、漏えいが確認されたときと同様な穴が開くことを確認。
タンクエリアにある漏えいしたタンクの類似タンク53基(当該タンク除く)については、使用しないものは速やかに撤去し、今後も設置続けるものに対しては、内容水、管理者を明確にし、現場に仮置き表示を取り付ける。
また、通路脇のプラスチックタンクについては、A型バリケード、カラーコーンなどで注意喚起を行う。
多核種除去設備(ALPS)で汚染物質の吸着剤とろ過水が溢れだすトラブル(続報)
本件については多核種除去設備(ALPS)B系の吸着塔3Bから吸着材用のHICへ吸着材を排出する作業中に、わずかな吸着材を含むろ過水がHICからオーバーフローしたものであることが判明。
オーバーフローした水の分析結果は以下のとおり。
・セシウム134: 2,600 Bq/L
・セシウム137:6,700 Bq/L
・全ベータ:3,800,000 Bq/L(3.8×106Bq/L)
また、詳細に現場を確認した結果、オーバーフロー範囲は約6m×約6m×深さ約3cmであり、オーバーフローした量は約1.1m3と判断。今回の多核種除去設備(ALPS)におけるHICからのオーバーフローでの全ガンマ核種による放射能量は、約1.0×107Bq、全ベータ核種による放射能量は、約4.2×109Bqと算出。
なお「クロスフローフィルタ*1Aスキッド2近傍タメマス*2漏えい」警報が発生した件については、多核種除去設備(ALPS)におけるHICからのオーバーフローが原因であることが判明。現在オーバーフローの原因については調査中。
オーバーフローした水については同日午後4時55分から回収を開始し、午後7時30分に回収および拭き取り作業を終了。
*1 後段の吸着塔でストロンチウム吸着を阻害するイオン(マグネシウムやカルシウム等)の炭酸塩を除去するフィルタ
*2 オーバーフローした水を集水する設備
「B系の吸着塔3B」とトラブルが発生した吸着塔が明示されました。
オーバーフローした量が1.1m3ということなので、1リットルあたり換算では、全ガンマ核種は10の4乗オーダー、全ベータ核種は10の6乗オーダーだったと考えられます。
セシウムを除去した後の処理水から、これだけのセシウム(合計して9300Bq)が出るのは驚きです。
しかし一方で、放射性物質が蓄積されている吸着塔の水にしては線量が低いという指摘も聞かれます。これはB系が3月からトラブルで停止しており、その間に洗浄などの作業が行われていたことを示しているのかもしれません。
本来、脱水した吸着剤を移し替えるはずのHIC(高性能容器)から、「わずかな吸着材を含むろ過水」がオーバーフローするに至った経緯についての説明はありません。また自動運転による移し替え作業でオーバーフローが発生した原因も明らかにされませんでした。
1号機
新規事項なし
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
2号機
1号機と同じ4項目に加え、
タービン建屋の高濃度滞留水の移送再開について記載
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送中(平成26年4月16日午後4時16分~)
3号機
1号機と同じ4項目に加え、
タービン建屋の高濃度滞留水の移送再開について記載
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年4月16日午後4時6分~)
4号機~6号機
新規記載なし
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備の状況
新規記載なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
焼却工作建屋の水位、焼却工作建屋西側サブドレン水の分析結果
<最新の集中廃棄物処理施設各建屋水位>
各建屋内の滞留水の深さについて、常設水位計による監視については、プロセス主建屋への移送後の水位と比較し、高温焼却炉建屋では0.2㎝、焼却工作建屋では0.1㎝の上昇。
現段階では有意な変動と考えていないが、地下水の流入の可能性も考えられることから、引き続き監視を継続。
4月17日午前6時時点の各建屋水深
・焼却建屋:深さ17.8cm(4月16日午前6時時点から0.1cm増)
・工作建屋:深さ5.1cm(4月16日午前6時時点から0.1cm増)
<最新のサブドレン水サンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
<最新のパトロール結果>
4月16日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。また、堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による水位監視(トレンドによる監視または警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
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