理解不能。RO濃縮水を溜めているタンクなのに「汚染水処理設備等に要求される機能」を有していない設備であると判断
9月18日(木曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。
操作卓が落下した3号機プール水の分析結果とプラントパラメータ ~9月17日分
使用済燃料プール水の放射能分析の結果(採取日:9月17日)
・セシウム134:4.2×10^2 Bq/cm3
・セシウム137:1.3×10^3Bq/cm3
・コバルト 60:検出限界値未満(検出限界値:1.2×10^0Bq/cm3)
プラントパラメータ(9月17日午後4時現在)
・モニタリングポスト :有意な変化なし
・原子炉建屋オペフロ雰囲気線量 :有意な変化なし
・使用済燃料プール水位 :有意な変化なし
・スキマーサージタンク水位 :有意な変化なし
リットル当たりの線量に換算
・セシウム134:420,000 Bq/L
・セシウム137:1,300,000 Bq/L
・コバルト 60:検出限界値未満(検出限界値:1,200 Bq/L)
弁箱に亀裂を確認。9月4日に発生したG4南タンクエリアでの水漏れについての続報
漏えいが確認された当該弁については、9月13日に新品に交換。また、当該弁の点検および調査を行った結果、9月17日、弁箱に亀裂があることを確認。
(編者注:以下は弁箱亀裂発生が、法律で定められたどの事象に該当するかについての説明。読みにくいので注意)
本件については、福島第一原子力発電所特定原子力施設に係る実施計画に定めている汚染水処理設備等に要求される機能(汚染水処理設備等は漏えいを防止できること)を有していないことから、9月17日午後5時40分、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第62条の3に基づき制定された、東京電力株式会社福島第一原子力発電所原子炉施設の保安及び特定核燃料物質の防護に関する規則第18条第3号「発電用原子炉設置者が、発電用原子炉施設のうち実施計画に定められたものの点検を行った場合において、発電用原子炉施設の安全を確保するために必要な機能を有していないと認められたとき。」に該当すると判断。
RO濃縮水を溜めているタンクなのに、「汚染水処理設備等に要求される機能」を有していないというのは理解できない。
1号機~2号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
◆2号機
1号機と同じ4項目に加えて、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年9月3日午前10時47分~)
※滞留水移送は運転中
3号機 ~タービン建屋滞留水の高温焼却炉建屋への移送を停止
1号機と同じ4項目に加えて、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送実施(平成26年9月13日午前10時9分~9月18日午前10時3分)
※滞留水移送は運転中
4号機~6号機
新規事項なし
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
地下水バイパス ~通算22回目の海洋排出を開始
※1~4号機原子炉建屋等への地下水流入抑制対策として設置した地下水バイパス設備について、地下水バイパス一時貯留タンクグループ1の当社および第三者機関による分析結果[採取日9月9日]については同等の値であり、ともに運用目標値を満足していることを確認したことから、(既出)
9月18日午前10時8分、海洋への排水を開始。同日午前10時11分に漏えい等の異常がないことを確認。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
9月17日のパトロールにおいて、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年9月18日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: