2月24日に公表された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」を、前日からの変化や変更を中心にチェックします。
冒頭特記事項:H6エリアでの汚染水漏えい
極めて線量が高い汚染水の漏えいについて、現地の詳細な検査の結果、漏えい範囲を特定したとの記載。
漏えい範囲については、現場における詳細調査の結果、以下の範囲であると特定。
・H6タンクエリア堰近傍(C1タンク南方向沿い):約3m×約40m
・電気ケーブルが収納されているU字溝(近傍道路を跨いだU字溝):約30m×約1m
・淡水化装置(蒸発濃縮)エリア:約36m×約37m
・淡水化装置(蒸発濃縮)エリアの東側の一部および南側にある側溝:約55m×約0.3m
範囲だけではなく、深さ、さらに浸透したと考えられる量についても考察しているはずですから、公表してほしかったですね。詳細調査の結果なのですから。
1号機~5号機
新規事項の記載なし。
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆2号機
1号機と同じ4項目に加えて、
・2号機タービン建屋→3号機タービン建屋へ高濃度滞留水を移送開始(平成26年2月22日午前10時37分~)
◆3号機
1号機と同じ4項目に加えて、
・3号機タービン建屋→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年1月24日午後2時37分~)
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
6号機(平成26年1月31日廃止)
昨日までと同様の、
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
に加えて、新規事項として、使用済み燃料プール冷却系の停止について記載。
・使用済燃料プール冷却浄化系停止中
午前10時33分、6号機補機冷却海水系の全台停止に伴い、6号機使用済燃料プール冷却系を停止。使用済燃料プール冷却系停止時の使用済燃料プール水温度は16.7度。同日午後0時41分、残留熱除去系による非常時熱負荷運転(使用済燃料プール冷却)を開始。午後1時10分の使用済燃料プール水温度は17.3度。
慌てた様子が見られないので、補機冷却海水系の全台停止は計画されてのことのように見えますが、もう少し詳しい説明がないと怖いですね。
1時間あたりの温度上昇は、平均して0.23℃程度のようなのでまだ余裕はありますが、このまま15日間放置していれば使用済み燃料プールの温度は100℃に達し、悪夢の再来となってしまうことをお忘れなく。
★★ 2月21日付の報道配布資料「福島第一原子力発電所の状況」に、この件についての説明がありました。
・H26/2/24~28 6 号機補機冷却海水系について、タービン補機冷却水系熱交換機(C)海水出入口弁他の点検を行うため、全台停止予定。
当該期間においては、使用済燃料プール冷却系が使用できなくなるが、残留熱除去系による非常時熱負荷運転(使用済燃料プール冷却)を行い、使用済燃料プール冷却を実施予定。
なお、2/21 15:00 現在の使用済燃料プール水温度は16.8℃で、冷却停止時における使用済燃料プール水の温度上昇率評価値は0.4℃/h。
共用プール・水処理設備および貯蔵設備の状況
新規事項なし。
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
H4エリアタンクおよび周辺排水路の状況
引き続きタンクの監視と、タンク周辺のサンプリングを実施していると記載。新規事項はパトロール結果とサンプリング実績。
<最新のパトロール結果>
平成26年2月23日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β+γ線(70μm線量当量率))は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。また、堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
※H4エリアIグループNo.5タンクからの漏えいを受け、福島第一南放水口付近、福島第一構内排水路、H4エリアタンク周辺および地下水バイパス揚水井No.5~12のサンプリングを継続実施中。
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
「大きな変動は確認されていない」とされるサンプリングのデータは、以下の報道配布資料に掲載されています。
10月23日に全ベータで14万Bq/Lを記録するなどしたB排水路などでは「暗渠化工事のため、採取できず」とのこと。工事中には仮の排水路が設置されるはずですが、採取が可能であったかどうかの記載はありません。暗渠が完成した後に測定が継続されるのかどうかも不明です。マンホールやハンドホールを設置して、完成後にもサンプル採取ができるようにしていただきたいものです。
1~4号機タービン建屋東側の状況
原子力発電所で海に面したエリア。地下水のくみ上げとサンプリングによる監視が行われるが、新規事項としての記載なし。
同日、報道配布資料として公開された詳細分析結果を下にリンク。
地下貯水槽の状況
止水の不備から貯水槽として利用できなくなった地下貯水槽。新規事項としては最新のサンプリング実績を記載。
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年2月24日分の変更箇所についてピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: