5号機冷却系から海水漏えい。使用済燃料プールの冷却も停止
7月6日(日曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。
5号機水漏れでプール冷却停止。こままま止めたままでも9日間は大丈夫という
※7月6日午前11時10分頃、5号機補機冷却海水系*配管の弁付近より海水が漏えいしていることを、パトロール中の当社社員が発見。
海水の漏えい箇所の特定等を行うため、準備が出来次第、補機冷却海水系を停止するが、これにより、使用済燃料プールの冷却も停止する。
7月6日午後0時現在の使用済燃料プール水の温度は23℃で、冷却停止時における温度上昇は1時間あたり0.193℃となり、運転上の制限値65℃を超えるまでには約9日間の余裕がある。なお、原子炉の冷却は別系統で行っており、補機冷却海水系を停止後も、現時点で冷却に影響はない。
その後、同日午後1時10分に使用済燃料プールの冷却を停止。冷却停止時の使用済燃料プール水温度は23.0℃。同日午後1時17分に当該補機冷却海水系を停止し、現場の状況を確認したところ、午後1時34分に海水の漏えいが停止したことを確認。
念のため、漏えい水のサンプリングを行ったところ、塩素濃度が16,000ppm、全ガンマ放射能濃度が検出限界値未満であったことから、漏えいした水は海水であると判断した。
今後、漏えい箇所の特定等を行っていく。
*原子炉やタービンで使用する冷却水を冷やすための海水
1号機
新規事項なし
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
2号機 ~高濃度滞留水の移送を停止~
1号機と同じ4項目に加え、タービン建屋地下からの高濃度滞留水の移送停止を記載
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送実施(平成26年6月29日午前9時52分~平成26年7月6日午前9時58分)
3号機~6号機
新規事項なし
◆3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年6月16日午後2時42分~)
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動(4号機原子炉建屋および共用プール建屋の天井クレーンと燃料交換機の年次点検により、一時中断)
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
地下水バイパス
新規事項なし
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
平成26年7月5日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側
新規事項なし
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年7月6日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: