息子へ。被災地からの手紙(2013年8月23日)

iRyota25

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第43回全国中学校バスケットボール大会(静岡県浜松市)

バスケの試合を生で見るのは初めてだったけど、女川中学女子バスケの第一試合を見ただけで、バスケの魅力に引き込まれた。

試合開始直後は劣勢だった。ボールが手に着いていない感じだった。相手の攻撃パターンは決まり、こちらは封じられる。

それでも、チームの持ち味という守りを堅めて行く中で、少しずつ相手にミスが出始めたんだ。

バスケの試合に完封はありえない。攻撃に立った時に点を入れること。相手にシュートを決めさせないことが勝負だ。点を取ったり取られたりの中での相手との差がそのまま勝敗を決する。

サッカーでもバレーでも、ゲームが始まって攻守が数ターン変わるうちに、相手がどれくらい強いのかは伝わってくる。お前が頑張ってる剣道もそうだな。

女川中学は、自分たちよりずっと背の高い相手に怯むことなく、走り、ボールを回し、相手の司令塔であるキャプテンにポジションを取らせないようにし、少しずつペースを自分たちのものにしていった。

全国大会だぜ。出場チームは出場した時点で全国のベスト24。どこも強いチームだ。当初の劣勢をひっくり返して女川が第一試合を取ったのは、自分たちを信じることを貫いたからだと思った。

8分×4クオーターという、決して短くない時間をとおしての、
とんでもなくストイックなものを感じた。

勝った時、いろんなものがあふれてきた。
お前の剣道の試合を見ていて、竹刀を合わせた途端に「強い・・」と分かる相手の攻撃を封じ、一歩を踏み込んでお前が面を取った時と同じだった。

信じる力、なんて格好のいいことを応援席では思ってしまう。
でも、応援していた父兄のひとりがこう言った。

「震災の後、全国からたくさん方からたくさん支援していただいたことに応えなければならないからね」

女川の景色が目に浮かんだ。知ってる人たちの顔も。
そして、「試合中って無心なんだよね」というバスケ経験者の言葉も。

自分が目にしたものが、
お前と同年代の女子たちによる、とてつもない試合だったいうことを知った。

未来というもの、きっとこれがお前たち世代の未来というものなんだよな。

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