●とある夏の日。
　東京都江東区新木場。
　ボクらは新木場にある東京ヘリポートにやってきた。

　５月のある日。
　ボクは、都内で開かれた「島じまん2012」
　というイベントのクイズ大会で
　【東京遊覧飛行】のペアチケットに当選！

　数少ない友人の仮子にタカられ、一緒に
　遊覧飛行をすることになったのだ。

「おーっ、ここやね！」

「暑いね～。ボクくん、あたし冷たいジュースが飲みたい！」

■登場人物

　　【 仮子 】彼氏とは上手くいって　　　　【 ボク 】とあるイベントのクイズ
　　おらず、暇つぶしにボクを呼びつ　　　　大会で、今回の東京遊覧飛行のペア
　　ける悪女。今回の東京遊覧飛行は　　　　チケットに当選！それをフェイス
　　頼んでもいないのに「一緒に行っ　　　　ブックに書いたところ、仮子にタカ
　　てあげる！」と言い、現在に至る。　　　られて現在に至る。ＳかＭかで言う
　　ＳかＭかで言うとＳ。　　　　　　　　　とＭ。　　　　　　　　　　　　

「あっ、ここが東邦航空の建物っぽい！」

「あたし “なっちゃんオレンジ” でいいよ！」

　　　　　■東邦航空
　　　　　日本で唯一、ヘリコミューター輸送を行っている航空会社。
　　　　　東京・伊豆諸島6島間を結ぶヘリコミューター「東京愛らんどシャトル」を
　　　　　運航するほか、報道撮影、ダム建設、山岳遭難救助、物資運搬など、
　　　　　様々な場面で活躍している。空を仕事場にするかっちょいい会社。

●東邦航空の待合室に通された。
　ヘリは最大でも8人乗り。計２回のフライトなので、参加者は8組16人である。
　今回の遊覧飛行を当てたイベント「島じまん2012」には、8万人以上のお客さん
　が来ていたのだ。それを考えると、当たったのは本当に運が良い！

「うえ。なんかキンチョーするわ。飛行機だって数えるほどしか
　乗ったことないし……」

「きゃー楽しみだねぇ」

（キンチョウスル、キンチョウスル……）

「・・・・・・・・・。」

（乙女がはしゃいでるんだから何か反応しろよ、テメー）

「お待たせしました。それでは、ご案内いたします」

　　　　　　　　　　　　　　　　　■　そして　■

「きゃー！なんかすごい！よくわからないけどすごい！！」

「ここが自社の整備場になります。
　やはり精密ですから、点検もタイヘンなんですよ」

「アーキンチョウスル、キンチョウスル……」

「わっ、ホラ！テレビ朝日だって！」

「ﾌﾞﾂﾌﾞﾂﾌﾞﾂﾌﾞﾂﾌﾞﾂﾌﾞﾂﾌﾞﾂ……」

「」

「では、外に出てみましょう！」

●機械の臭いがただよう整備場を抜け、ヘリポートへ。
　東京都内とは思えないほど、開放的で広々とした景色が新鮮だ！
　夏の暑い日だったが、涼しい風が吹いて気持ちイイ。

「おおおおおおお～～～～～～～～～～っっ！！」

「今回乗っていただくヘリはこちらです！」

「おおおおおおお～～～～～～～～～～っっ！！」

※ 驚いているが、それ以上に何と言って良いかわからず「おお～っ」しか言えない。

「余談ですけど、例えば１機を１時間フライトさせると
　87万円もかかるんですよ」

「は、87万円！？」

※夢のない2人

「……ってコトは、フライト時間が15分だから、87万0000円÷4
　つまり、15分あたりのフライトで【21万7500円】！！ 」

（そのお金、看護学校の奨学金の返済に使いたい……！）

「1回のフライトで乗客は8人だから、 21万7500円÷8
　つまり、一人15分のフライトで【2万7187円50銭】！！」

（そのお金、新幹線で実家に帰省してもお釣りが出る……！）

「シートベルトを、きちんとしてくださいね」

「もう、逃げられないね……（ﾎﾟﾂﾘ）」

「ハッ！？」

「それでは、いってらっしゃいませ！」

●扉が閉まると、機体は車輪でゆっくり移動し始める。

　ゴーーーーーーーーーーーーーーーォンォンォンォンォンォン

　と、激しいモーター音がするのだが、そんな勢いのある音とは対照的に、
　プロペラはゆっくりゆっくり回り出した。音は段々高くなり、

　グゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン　となり、

　ヒューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン　となり。

　プロペラは勢いよく回転しているけれど、機体はまだ地面の上。
　周りの草花が、プロペラの風圧を受けてか、ざわめき始めた。

（ドキドキドキドキドキドキ……）

「・・・・・・・・・。」

「おおおおおおおおおおおおおおおお」

※ 乗客8人全員、言葉にならない声をあげた。

●離陸から、写真のようにビル群が小さくなっていくまでわずか1分足らず！
　飛行機とはまた違う感じで広々と景色を見渡すことができるものの、
　勢いが良すぎてなんだかあっという間の出来事……。

　面白いのは、東京の地平線が見えること、線路や建物が模型みたいなこと、
　屋上がデザインされているビルが多いこと。
　いつもと違う角度ってだけで、なんだか不思議なもんです。

この赤い塔は……

日本一の駅はこんな感じ。

ビルの屋上にも、なにやら色々あるっぽいです。
登ってみたい……

新宿を経たところで時計回り。
何だか見たことがある建物もちらほら……

「―――――――！」

「―――――――！」

ヘリは浅草方面へ。
話題のコレはさすがのインパクト！
ヘリはかなり接近してくれたけれど、遠目からでも十分目立っているからスゴイネ！

「いやー高くてちびりそうだったね！」

「ふーっ」

「えっ、本当にちびったの？」

「んなワケないでしょー」

●フライト時間はきっちり15分。
　当初ビビっていたほど怖くも無く、飛んでしまえばただただ景色に夢中になった。
　終わってみればあっという間！このまま解散なのがなんだか物足りないくらいだ。
　とは言え、都心部を見わたすにはその15分で十分だった。
　東京って、意外と小さい。

「はい、お疲れ様でしたー。気を付けて帰って下さいね」

「疲れたねー。カフェでも行ってなんか飲もう」

「飲むの？またちびるよ！」

「もうえぇっちゅーねん」

●終わってみればあっという間の東京遊覧飛行！
　時間は15分と短かったですが、それでも空から見渡す東京は格別でした！

●誰にでもオススメしたいところですが、ある程度東京の地理について詳しい方が
　楽しめるのではないでしょうか？知っている景色を、別角度から見るのが楽しい
　です！

●飛行機とはなんだか違う感覚です。
　でも、ガクンと揺れたりすることもなく、終始快適でした！

●今回は運よくチケットを手に入れたのですが、通常、東京遊覧飛行を楽しみたい
　場合は、やはり一人当たり2～3万円程度かかるのが相場のようです。

●聞いたところ、会社によっては夜景を見るロマンティックな遊覧飛行もあるとか。
　ただ、景色は断然昼の方が楽しめるそうです。
　景色のいい昼か、ロマンティックな夜か。
　あなたはどっち？