2014年、ブラジルW杯大会出場を決めたサッカー日本代表。本大会までの1年間、新たな戦術のオプションとして新戦力を試す機会が訪れたのではないでしょうか？ザッケローニ体制になってから3年間。日本代表に招集されても実戦で使われない選手。長らく代表候補と叫ばれながら召集すらされない選手もいます。ファンやサポーターの目線から、A代表で起用して欲しい選手をピックアップしたいと思います！

【齋藤 学】さいとう・まなぶ

生年月日：1990年4月4日（23歳）
出身地：神奈川県川崎市幸区
身長 体重：169cm 64kg

在籍チーム：横浜Fマリノス
ポジション：FW・MF
背番号：11
利き足：右

齋藤学 【総合力53点】

齋藤学の最大の武器はドリブルです。日本最強のドリブラーは香川真司というイメージもありますが、単純に突破力だけを比較するなら齋藤の力が一枚上手です。日本では新たなスター選手が登場する度に、和製マラドーナとか和製ロナウドとマスコミが大げさに報道して注目を集める傾向があります。

しかし、和製メッシと呼ばれる齋藤学だけは本当にメッシだな！と思えるポテンシャルを感じます。一度ドリブルでスピードに乗せてしまえば、齋藤を止めるのは至難の業です。DFとDFの僅か数㎝の隙間を縫うように侵入し、ほぼスピードの緩急だけでDF4～5人を1人で振り切ってしまうのです。

1人でDFを4～5人抜き去るなんて常識では考えられないプレーです。ペナルティボックスに近いバイタルエリアはDFが最も密集するプレッシャーの強いゾーンです。単純にゴールを目指して突っ込んでいけば簡単に潰されてしまいます。齋藤がボールを取られない理由は、ディフェンスラインの手前を横切るようにドリブルするからです。

齋藤はサイドから中央にカットインすると、DFとMFの間のスペースをすり抜けるようにドリブルを開始します。ヒラリヒラリと横移動しながらディフェンスラインの陣形を崩し、DFとDFの間に僅かな隙間が生まれた瞬間、一気に縦方向に切り返してペナルティエリアに飛び込みます。DFはタックルに行くタイミングを掴めないまま立ち尽くし、縦に抜かれた瞬間に足を出しても体重移動の逆を突かれて置き去りにされてしまいます。

圧倒的なスピードを武器にするドリブラーは宮市亮や永井謙佑が代表的な存在です。宮市や永井は縦に強いドリブルが特徴のウインガーですが、国際大会で強豪国を相手にしたとき、サイドからの崩しが有効な手段とは限りません。イタリアやブラジルなど、世界トップレベルのセンターバックは規格外の高さと強さを持つので、日本のフォワードが中央で競り勝てない可能性があるからです。

齋藤学のように中央に切れ込んでいけるドリブラーはペナルティエリア付近でファールを獲得したり、自らPKを奪える可能性もあるのでDFとしては厄介な存在です。縦に行ける宮市、中央突破できる齋藤の両輪を揃えれば、対戦相手やゲーム展開に合わせて有効なオプションを選択できるでしょう。